第五話 刀

次の日、俺は一人で本部まで来た。白星さんは今日は任務があるらしい。

前世から道を覚えるのは得意だったが、ここまでくる道は複雑すぎて何回か迷ってしまった。なんで途中で十五歩進んだら三歩下がってジャンプしてから進むとかあるんだよ。なぞのばしょじゃないんだから。

まぁ、そんなこんなでなんとか本部についたので、受付で書類を受け取り、そこら辺にあってイスに座り記入することにした。


「えーと、名前と年齢と…能力これまたなんか勘違いされたりしないよな?武器は…刀かなやっぱ」


そんなことを書いて受付に出した。


「はい。では、担当の人を呼びますので少々お待ちください」


受付の人がそんなことを言った。担当の人?新人教育の担当かな?

そんなことを考えながら待っていると


「君が水谷君かな?」


後ろから誰かに声をかけられた。振り返るとそこには、三十代前半ほどの男性が立っていた。


「はい。そうですが、あなたは…」


「俺は、佐久間渉。フレーム佐久間班班長だ」


え?この人が班長?

俺は驚いた。班長ということは強いはずだが、とても強いとは思えないほどに痩せている。この人、大丈夫かな?


「実は今回、君をうちの班に入れることになってね。そのついでに色々と教えることになったんだ」


「そうなんですか。よろしくお願いします」


「じゃあ、ついてきて」


そういって佐久間さん。いや、班長は歩き出した。


しばらく歩くと、金属でできた他のよりも丈夫そうな扉の前で足を止めた。ここは地下一階。地下にあるということもあり、重要な施設があるように思える。


「あの、ここは?」


「わかりやすく言えば武器庫だな。お前試験で使った武器、借り物だったらしいしな」


そういいながら班長は扉を開けた。


そこには、刀、ナイフ、銃といった見慣れたものから、トンファーや鎖鎌などといった珍しいもの、見たことのない武器もあった。


「すごいですね…」


俺はその武器の量と種類の広さに開いた口が閉じなくなった。


「そうだな。初めて見るやつは驚くだろうな。ここから一つ、好きな武器を選べ」


「え?いいんですか?」


「ああ、だが、ちょっと待ってくれ」


そう言って班長は端に置いてあった段ボールからあるものを取り出した。250mlペットボトルと同じか、少し小さいかくらいのサイズだ。


「これは【スターダスト】と呼ばれる隊員全員に配布される武器だ。剣にも銃にもなり、かなり便利でな。本来はサブウェポンとして使うことを想定されていたが、その使い勝手の良さからメインで使う人も多いな」


そう言って班長はスターダストなるものを投げ渡してきた。


「剣にも銃にもか…」


朝のヒーロー番組の武器かよ。

それにしても近距離遠距離これ一つで解決はすごいな。えーと


俺がスターダストをいじってると…


ブレード 起動


スターダストからそのような音が出たと思ったら、刀身が生えてきた。

音なったらそれはDXヒーロー武器なのよ。


「あ、ここでは使わないでくれ」


班長に注意されてしまった。


「あ、すいません」


そう言ってさっきと同じようなことをスターダストにした。


ブレード 停止


これ電源OFFする時も音なるのかよ


「だからそいつ一本でもいいが、個人的にはもう一つなんか持つこと進める」


そうか…


俺は、部屋の中をじっくりと見渡した。明かりが少ないのであまり清潔感を感じないが、整理整頓はちゃんとされている。俺は刀のある所を見た。


俺はひたすらその中から日本刀を探した。この世界には日本なんて国はないが、日本刀はある。一説によると、昔これを作ってた国が精錬するときの炎を太陽光を使って燃やした為、日を元に作られた刀として日元刀と名付けるはずだったが、字にする時に漢字を間違えて日本刀になったらしい。とんでもない奇跡だな。


そんなことを考えながら日本刀を探しているが、全然見つからない。


「班長、日本刀ってどこにあります?」


俺は班長に聞いた。


「日本刀?ああ、それなら、ここに一本だけ」


そう言って班長は日本刀を持ってきて渡してきた。


「あ、ありがとうございます」


「それにしても日本刀か…珍しな」


「え?」


珍しい?


「どいうことですか?」


「だって、日本刀って片方にしか刃付いてないじゃん。切れ味は確かにいいけど、扱いは難しいんだよね。入隊したての戦い慣れしてない人が使うものではない」


「そうなんですか…」


戦い慣れしてない、かぁ…


「まぁでも、使いたいんならいいんじゃね?いうてスターダストも片方にしか付いてないし」


「はい。では、これ使います」


というわけで俺はこの刀でフレームとして戦うことになった。


「じゃあ、さっそくだけど任務仕事頼めるか?」


「はい。大丈夫です」


さっそくか…少し緊張するな…


「とはいえいきなり一人で行くのもあれだろうし、本当は俺もついていきたいところだけど、あいにくこの後別の仕事があってね。代わりにうちの副班長と一緒に言ってくれ」


「了解です」


副班長か…白星さんと同じ身分。少し失礼だけどあまり期待できないな…

まぁ、俺一人で何とかなるか。


「じゃあ、ここ集合って言ってあるから後は頼んだ」


そう言いながら班長は俺にメモ用紙を渡してきた。それには近所の駅近くのカフェに集合と書かれていた。


「わかりました。では、さっそく行ってきます」


俺は、駅近くのカフェまで走っていった。

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