第三話 面接試験

コンコンコン


「失礼します」


俺はそう言って会議室の中に入った。

中にはいかにも偉そうな白いひげを生やしたおじいさんが三人がいた。

こいつらが面接相手か。

前世で高校には推薦で入ったからこういう時のルールは分かる。入ったら扉を音を立てずに閉める。この時ケツは相手には向けない。閉めたら面接官に一礼して椅子の横に行き、また一礼。困ったら一礼しろって中学の先生に言われたわ。


「では、年齢と名前を教えてください」


「はい、水谷爽。十六歳です」


「それでは座ってください」


「失礼します」


俺はまた一礼して椅子に座った。



「では、さっそく面接を始めていきたいんだが、まず…」


まぁ、最初の質問は志望動機とかだろうな。あんなの聞かないところないだろ。


「君の能力、何?」


「はい?」


あまりにも予想外の質問だった。一応前もって履歴書的なものを作って提出したのだが、そこに能力どっちも書いたはずなんだけど…


「いや、書類には能力書いてあるんだけどなんかの間違いで二つ記入してあって、どっちが君のなのか知りたくて…」


ああ、そういうこと。そりゃ初見ビビるよな。


「はい。どっちも私のです」


「はい⁉」


「血液暴走もキランリバイブも私の能力です」


「は、はい…え~…」


「そんなことあるのか?」


「絶対嘘だろ」


「そうだ。そうに決まってる」


面接官はこそこそ話してるつもりだろうけど、めっちゃ聞こえてますよ。


「でしたら、実技試験のほうで確認してくださると幸いです」


「そ、そうだな…」


こいつらいつまで困惑してんだよ。はやく面接続けてくれ。


「で、では…自分の強さにどのくらい自信がありますか?」


「はい。一人で世界救える程度の実力はあります」


てか一度救ってます。


「あ、はい。そうですか…」


やべちょっとイキりすぎたかな?


こうしてこの面接は面接官が混乱しまくりながら終わった。


「あ、水谷さん。どうだった?」


廊下に出ると白星さんがこちらにやってきて、聞いてきた。


「なんか、面接官の調子がおかしかった。困惑してるみたいな…」


「え?あの人たち、そんなにすごくはないけど、経験だけは多いから困惑するようなことはないはずなんだけど」


あいつら、偉くないのかよ。


「次、実技試験だよね?」


「ああ、そうだよ」


「刀、持ってる?」


「あ!」


やべすっかり忘れてた~


「まぁ、前世…別に拳で何とかなると思うし大丈夫」


うっかりぼろが出そうになったがなんとかごまかせた。


「うーん…そうだ」


すると、白星さんは自身が持っている刀を渡してきた。


「使っていいよ」


「え?いやさすがに悪いよ」


「大丈夫。それメインで使ってるやつじゃないから」


じゃあなんでそれを持ち歩いてるんだ?


「そうか…じゃあ、ありがたく使わせていただくね。ありがとう」


そう言って俺は刀をとった。鞘に入っているので刀身は見れないが、両刃造りで反っていない。個人的に日本刀のような片刃だけの反っている刀が好みだが、こっちは借りてる身だ。文句は言えない。


「そういや実技試験って何やるんだ?」


俺は白星さんに聞いた。そういえば詳しく何やるか全く教えられてなかったな。


「毎回細かいところは変わるけど、訓練室で架空の敵を出せる装置があるからそれを使ってやるらしい」


そうか架空の敵を出せるマシンが…ん?


「架空の敵を出せるマシン⁉」


正直自分でもびっくりするくらい大きな声ができた。


「うん。詳しいことは知らないけど、そういうのができる能力の人がいるらしい」


「そ、そうか…」


さすが異世界ってところか…


~水谷さん、水谷爽さん。一階訓練室まで来てください。


面接のときのように、アナウンスが鳴り響いた。


「あ、もう時間か」


「そうだね。敵は数はそれなりに出るけど、一体一体はそんなに強くないから落ち着いていってね」


「うん。ありがとう。じゃあ、行ってくるね」


「うん。がんばってね」


俺は走ってその場を後にした。


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