第4話 みんな可愛かった。
なんてかわいいの!
私はその小さい靴下に悶絶してしまった。手のひらよりも小さい、新生児用の靴下。
初めて友人に子どもが生まれて、今から会いに行くところだった。
何を持っていくか散々悩んで、「何はなくとも結局おむつケーキが一番」と育児の先輩に聞いたので、そうするつもりだった。
何なら今、予約していたおむつケーキを裏から取ってきてもらっているのだ。
けれど、小さいそのかわいい靴下に私は夢中になってしまった。
散々迷って1足だけ追加で買って私は子供服売り場を後にした。
生まれたての赤ちゃんはふわふわで、小さい手足がかわいくて感動した。
恐る恐る抱っこもさせてもらった。体温の高いからだ。つぶらな瞳。ミルクの匂い。
可愛いを集めた存在がそこにあった。
家に帰った後も、自分の服に少し残っているような新生児の香りが自分も柔らかい存在にしてくれているようで、テンションが高かった。
買った靴下は1足だけなので、そのまま持って帰ってきてしまった。
開いてみるとやっぱりかわいい。
ただ、独身一人暮らしの女性の家にこれがあるのはどうなんだろう。
少し考えて、私はToDoリストなどを張るコルク板に、その靴下をピンでとめた。
かわいいな。みんなみんな、小さい頃はこんなにかわいかったんだ。
次の休み、靴下を買って来よう。今月ちょっと使っちゃったから3足1000円の分だけど、今までで一番かわいいものを選んで買おう。
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