第2話 星になる。

「お母さん、死んだらお星様になるって、どういうこと?」


幼いわが子が大きな目をキラキラさせて聞いてきた。


その柔らかい髪をそっと撫でる。


「星になるというのはね、必要な時にだけキラリ、って瞬くことだよ。気づいた時だけ、心を癒してくれる。ずっとそこで瞬いているんだけどね。お星様になるってそういうことだよ。」


ふうん。と首を傾げられてしまった。うまく、答えられなかっただろうか。


「ほら、みっちゃんも、毎日夜のお空を眺めたりしないでしょう?気づいた時に見上げたら、綺麗だなって思う。そういう存在になるってことだよ。」


「じゃあ、ずっといてほしい時は?」


私は困った顔で、やっぱり優しく髪を撫でるしかなかった。


夫の死を、まだ理解するには少し早くて。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る