今までありがとう。

「お父さん、お母さん。私結婚するよ。]


花嫁衣装の真っ白なウェディングドレスを身に付けたセリナは村の墓地にある墓石の前に手を合わせて祈るように呟く。


「あんなにワガママだった私が結婚なんて想像できないでしょ?私も想像出来ないもん。・・・でもね、ロアルはそんなワガママな所も含めて全て愛してくれる人で最高の夫になると思うわ。2人にも見せたかったなぁ〜。

って、天国から見てるよね。私いつも2人に見られてる気がするもの!。」


墓石にはセリナの両親の名前が彫ってある、彼女は天国にいる両親に花嫁姿を見せていた。自分の花嫁姿を楽しみにしていた2人へ・・


セリナは久々の両親との会話を楽しむあまりセリナは自分の披露宴の時間を忘れ会話を楽しんでいた。


そんな彼女に1人が話しかける。


「セリナ、時間ですよ。」

「あ、ロアル」


旦那のロアルだった。彼は披露宴の時間になるのにも関わらず一向に戻ってこない花嫁を迎えに来た様子だった。


「ごめんなさい。お母さん達と話してったら時間を忘れていたわ。」

「全く・・・セリナらしいですね。お母様方もそう思いますよね?おてんば娘なのは昔から変わりませんか?」


セリナの隣に並ぶロアルはセリナの両親に話しかけるように墓石に向か問いかけた。その姿を見たセリナは頬を軽く膨らませロアルに甘えるように起こった。


「ちょっと~!」

「あはは、すいません。セリナを少しからかい虐めたくなりました。・・さぁ、皆さんが私たちを待っていますので急いで戻りましょう。シエルちゃんなんて『セリナお姉ちゃんが来ない~』って軽く狼狽してましたよ。」

「それは大変ね。行きましょう!・・・お父さんとお母さんも天国から見といてね。」


ロアルはセリナに手を指し伸ばす。その手を彼女は握り共に会場へと向かった母さん。私結婚するよ。]


花嫁衣装の真っ白なウェディングドレスを身に付けたセリナは村の墓地にある墓石の前に手を合わせて祈るように呟く。


「あんなにワガママだった私が結婚なんて想像できないでしょ?私も想像出来ないもん。・・・でもね、ロアルはそんなワガママな所も含めて全て愛してくれる人で最高の夫になると思うわ。2人にも見せたかったなぁ〜。

って、天国から見てるよね。私いつも2人に見られてる気がするもの!。」


墓石にはセリナの両親の名前が彫ってある、彼女は天国にいる両親に花嫁姿を見せていた。自分の花嫁姿を楽しみにしていた2人へ・・


セリナは久々の両親との会話を楽しむあまりセリナは自分の披露宴の時間を忘れ会話を楽しんでいた。


そんな彼女に1人が話しかける。


「セリナ、時間ですよ。」

「あ、ロアル」


旦那のロアルだった。彼は披露宴の時間になるのにも関わらず一向に戻ってこない花嫁を迎えに来た様子だった。


「ごめんなさい。お母さん達と話してったら時間を忘れていたわ。」

「全く・・・セリナらしいですね。お母様方もそう思いますよね?おてんば娘なのは昔から変わりませんか?」


セリナの隣に並ぶロアルはセリナの両親に話しかけるように墓石に向か問いかけた。その姿を見たセリナは頬を軽く膨らませロアルに甘えるように起こった。


「ちょっと~!」

「あはは、すいません。セリナを少しからかい虐めたくなりました。・・さぁ、皆さんが私たちを待っていますので急いで戻りましょう。シエルちゃんなんて『セリナお姉ちゃんが来ない~』って軽く狼狽してましたよ。」

「それは大変ね。行きましょう!・・・お父さんとお母さんも天国から見といてね。」


ロアルはセリナに手を指し伸ばす。その手を彼女は握り共に会場へと足を向けた。


会場へ向かう途中でセリナはロアルに一つ問いかけた。

それはロアルが自分を迎えに来た瞬間に思った疑問だった。


「ねぇ?、なんでロアルが迎えに来たの?」

「私だと不満ですか?」

「いや、ロアルで嬉しんだけど・・・私はお兄ちゃんが迎えに来ると思っていたから。」


なぜロアルが自分を迎えに来たのか?それをセリナは疑問に思っていた。

ロアルが迎えに来なくても他の人が・・・いや、こういう状況だといつも兄のスラクが愚痴を言いながら迎えに来る。

そのため、ロアルが来た事を疑問に思ってしまう。


「お兄さんが好きなんですの?」

「べ、別に・・・」


兄が好きの言葉に素直に答えれないセレナは頬を赤らめる。その姿を可愛らしく感じロアルの頬も緩むのだった。


「実はお兄さんにセリナを迎えに行くか聞いたんですが。披露宴の準備に忙しいと言って断られました。・・・それに」

「それに?」

「お兄さんに『セリナを迎えに行くのはもう俺の役目じゃない』と言われました。」

「ふふっ、お兄ちゃんらしい」


セリナはいつもの兄らしく安心したのか、いつしか心の中にあった疑問と言う名の霧は綺麗に晴れていた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

~結婚式会場~


「もうすぐで開始の時間だよぉ~!」

「シエル、大丈夫だから落ち着け。」


もうまもなく披露宴開始の時間だと言うのに未だに今日の主役である花嫁と花婿の姿が見えずに焦り慌てるシエル。

その状況を見て落ち着くようにイグナルトが宥める。

そんな状況を知らずに呑気にセリナ達が会場に現れた。


「あっ!!キタ!」



セリナは関係者に時間がギリギリになってしまったことに対して軽く謝罪をしていた、その中には1番心配していたシエルも例外ではなく謝罪を受けていた。


しかし、謝罪を受けているシエル自身は謝罪の言葉は頭に入っていなかった。

それはなぜか・・・理由は簡単。

セリナの美しい花嫁衣装に見惚れてしまったのだ。


「お姉ちゃん・・綺麗。」

「ありがとう。シエルも可愛いわね。」

「えへへ、ありがとう。でもお姉ちゃんの方が綺麗だよ。」

「いやシエルの方が・・・」

「はい、お2人とも披露宴がもう始まりますのでそこまでにして下さい。」


ロアルが褒め合う2人を制止させた。シエル達もロアルのいう事を素直に聞き褒め合うのを辞めた。


「それもそうね。シエルとイグナルトさんは先に会場に向かってください。」

「うん、また後で。」


シエルはセリナに手を振り別れた後、父親と共に挙式の会場に着席した。

着席し数分後に「只今より結婚式を開始します」とアナウンスが流れる。


二列並んだ長椅子の間にある壇上に続く長い赤い絨毯の上を花嫁花婿のセリナとロアルが共に歩み入場する。これから二人で共に歩む人生と言う名の長い道に比べ短い道を歩み壇上に立つ。


神父が式の進行を進め、セリナの兄ロアルが結婚指輪を壇上にいる二人に渡し指輪の交換が始まる、そのあとに誓いの言葉と誓いのキスを行った。

誓いのキスを行う際にセリナが『こんな大勢の前でキスをするのって、私達いい見世物ね』と呟き会場が一瞬爆笑に包まれた。


こうして正式に夫婦になった二人と共に披露宴が始まった。披露宴と言っても各自で好き勝手にご飯を食べたり騒いだりしており、統率が取れていない祭り状態であった。


「お姉ちゃん、ごはん美味しいね!」

「そうね。お兄ちゃんの唯一の特技だからこれぐらいはしてもらわないと・・・それにしてもケーキ大き過ぎない?噂には聞いていたけど予想以上ね。」

「あはは、そうだね。・・・・それよりお姉ちゃんは私と二人でいていいの?ロアルお兄ちゃんと一緒にいた方が良いんじゃいの?」

「いいのよ、ロアルとはこの先飽きる程一緒に行動するし、今日はそれぞれ別行動。」



シエルとセリナは二人で仲良くご飯を食べながら会話をする。傍から見たら年の離れた仲の良い姉妹にしか見えない。


「イグナルトさん、お酒飲みませんか?」

「いや、今日夜にここを出るから酒はやめとく。」

「そうですか・・・ロアルは飲むか?」

「そうですね、久々にお兄さんと飲むのも良いですね」

「おぉ、さすが俺が認めた男だ!」


ロアル、スラク、イグナルトは三人で集まって酒と料理を肴に話に花を咲かせる。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

~その日の夜~


「ちょっと、お兄ちゃん飲み過ぎよ。」

「ヒック・・・たまには良いじゃないか!」


酔い潰れたスラクが妹の肩を借りて、フリューゲルに戻る馬車の荷台にセリナは兄を投げ捨てた。


「痛って~!!、もうちょっと丁寧に扱えよ。」

「うるさい、酔っ払いが何を言ってるの?・・・イグナルトさんウチのバカ兄をよろしくお願いします。シエルちゃんもまた遊びに来てね。」


セリナはイグナルトとシエルに話しかける。

2人とも返事をしてシエルは荷台に乗り込んだ、イグナルトは操縦席に座った。

出発の準備をしていると遠くの方からロアルが大きな荷物を持って近づいてきた。


「セリナ、お兄さんの荷物を忘れてますよ。」

「あら、ごめんなさいロアル。」


セリナは荷台に兄の荷物を積み込む、そして積み込んだ荷物とは別に一つの奇麗に包装された箱を兄のスラクに手渡した。


「セリナ?なんだこれは?」

「これは・・・その。」

「セリナからのプレゼントです。結婚式を盛り上げてくれたお礼で渡すって言ってました。ね?」

「そうそう、結婚式のお礼だから受け取って。」

「そんなに・・気を使わなくてもいいのに。」


言葉とは裏腹にスラクは妹の手からプレゼントを嬉しそうに受け取った。

早速中身を確認しようとしたがセリナに中身を確認をする事を止められたので渋々と後で確認する事にした。


「よし、準備も出来たし出発するぞ。」


イグナルトは夜の馬車操縦の為に周りに灯りとして炎色魔法、光る炎グフラを唱え馬車の周りに明るい炎の玉を浮遊させていた。


「じゃあね、お兄ちゃん。」

「おう、セリナもあまりロアルを困わせるなよ!ロアルも妹を頼んだぞ?」

「はい、お兄さんもお体に気を付けて。」


三人は別れの挨拶をした後にすぐ、馬車がゆっくりと発車した。

シエルも二人と別れの挨拶をした。


馬車が発車して数分後、馬車の姿が見えなくなり、カカ村に残った二人は急に寂しい気持ちになった。


「行っちゃたね。」

「そうですね。・・・でも、本当に良かったんですか?」

「なにが?」

「プレゼントの中身を確認してもらわなくて?」

「いいのよ!だって、お兄ちゃん私の前だと強気になっちゃうもの。これ以上私に気を使わないでほしいから。・・・さぁ、家に帰りましょう。うるさい奴が居ない私たちの家に。」


セリナは静かになった家に戻った、最初はこの静けさになれないが時期に当たり前の様になれるだろう、

その慣れがセリナを悲しい気持ちにする。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


~2時間後~


「お父さん、隣で寝ていい?」


馬車を走らせ2時間が過ぎた頃、目的地までまだ4分の1も進んでいない道中でシエルは荷台からひょっこりと現れ馬車を操る父親の隣に腰を掛ける。

披露宴が盛り上がった影響で出発の時間が大幅にずれ、現時刻は夜の22時になる、子供のシエルは就寝する時間であった。


「いいけど、荷台で寝た方が横になって寝れるぞ?」


荷台に行けば広く就寝するには十分なスペースがあるのに・・

なぜ、わざわざ自分の隣に来たのか疑問に思ったので。


「え~とね、・・・理由は聞かないでくれる?」


シエルの返答に疑問に思いながらイグナルトは自分の隣に座るシエルの小さな体を大きな腕で馬車から落ちない様に優しく包む様に抱きしめた。


「お父さん、いい匂いする。」

「いつも通りだろ。・・まぁ、シエルが理由を聞くなと言うなら無理には聞かない。」

「ありがとう。」


イグナルトはシエルがこちらに来た理由を薄々気付いた。

その理由は後ろの荷台から聞こえるすすり泣く声が関係してると思った。


「シエルはホントに良い子だな。」

「えへへ、気が付いちゃったんだね。」

「まぁ、スラクはずっと一人で頑張っていた。今日ぐらいは好きにさせてやろう。」

「そうだね!、ふわぁ~、」


シエルは急に睡魔に襲われ大きなあくびをする。


「シエルはもう寝なさい。」

「うん、分かったお休みお父さん。」

「おやすみ。」


こうして馬車は静かにフリューゲルに向け走り続けた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

【箱の中身】

(スラク視点、)


あぁ~、酔った、酔った。

しかし、セリナの奴がくれたプレゼントって何だったんだ?


妹から結婚式のお礼として頂いた。綺麗に包装された箱を丁寧に開いた。

箱の中には一本の包丁と手紙が入っていた。


おい、この包丁「ブルースミス」の包丁じゃないか!?

最高級品で一番安い物でも俺の給料2か月分になるぞ?

なんでこれが・・・それに良く包丁を見たら刃元の部分に何か花の模様がある?

これは、カスミソウ?


俺は結婚式のお礼でこんな一級品を貰った事に疑問を持つ、その疑問を晴らすために同封されていた手紙を開いた。

その手紙にはこう書き記されていた。


◇大好きなお兄ちゃんへ◇


箱をあけてビックリしたでしょう?

まさか、ずっとお兄ちゃんが欲しいって言ってたブルースミスの包丁が入ってると思わなかったでしょ?。

本当に高かったのよ。包丁一本でこんなに高価な物になるとは思わなかった。私がお兄ちゃんに隠れてこっそり仕事して貯めたお金で買ったんだから絶対に大切にしてよね。

そして、その包丁で世界一有名なお店を作ってね!

お母さん達がいる天国に知られるくらいの名店を・・・・


って、ごめんね。

多分だけどお兄ちゃんが今一番気にしてる事はそうじゃないよね。

なんで、結婚式のお礼でこんな高価な物をくれたのか?

それが気になっていたいるよね。


ごめんなさい、結婚式のお礼は嘘です。・・・いや、ウソではないけど。

このプレゼントは結婚式だけじゃなく、私をここまで育ててくれた12年間の感謝を示したプレゼントです。


本当は直接伝えた方が良いんだけど、やっぱり直接は恥ずかしいから手紙にしました。


お母さん達が亡くなってからお兄ちゃんは私を養うために遊びもしないでずっと私の為に働いてくれて。

ありがとう。


自分は村を出て料理の修行をしたいのに私が自立するまでずっとそばに居てくれた。

ありがとう。


私が思い悩んで、自分らしさを失った時にお兄ちゃんは私に我慢をしないでいい、自分らしく生きろと勇気付けてくれた。

ありがとう。


何回・・・いや、何万回ありがとうを言い続けても足りない。


本当にありがとう。


その包丁には私の感謝の意味とお兄ちゃんの優しさを表せた花を刻んでもらったの。


その花はカスミソウ。

花言葉な「感謝」「無垢の愛」


ホントにここまで育ててくれてありがとう、

いつまでも大好きなだよ!お兄ちゃん。


セリナより


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


手紙を読み進めるにつれ両目から涙が溢れ出した。


本当にセリナを幸せに出来たのか?

俺は良い兄であったか?

セリナにつらい思いをさせていないか?


ずっと不安だった。

しかし、そんな弱音は母と父が死んだ時に涙と一緒に捨て去った。

十二年ぶりに流す涙は・・・懐かしく、しょっぱい。


はぁ~全く、セリナの奴。

酔いが醒めたじゃないか。



【本編第一章2話 完】






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