【第3話】 お嬢様と執事
師匠?
(イグナルト視点)
「たくっ、たった一日休日を貰うだけでこんな面倒な仕事を頼まれるとは」
フルーゲルに戻る道の途中で悪態をつきながら馬車を走らせる。
数日前に会話を思い出す。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
〜4日前〜
「クライツさん、一週間後に1日だけお休みをいただきたいんですが」
クライツさんに休日の申請を申し込んだ。
一週間後に1日だけどうしても外せない用事があった。
その日だけは仕事を休みたかった。
しかし、運悪く繁忙期の為に休みを貰う事が難解していた。。
「休みかぁ、何か用事でもあるのか?」
「はい、実はその日は俺の誕生日でシエルが祝ってくれる事になりました。」
なぜ休日が欲しいのか・・・その理由は俺自身の誕生日を祝うからであった。
今年で24歳になるので別に祝ってほしいと自分の願望は一切ない。
しかし、シエルが『何歳になっても誕生日は祝うものなの』と言って強引に誕生日を祝われる事になった。
シエルは結構頑固なところもあるから一度こうと決めたら考えを変えない所がある。
これでもし仕事を休めなかったらシエルが拗ねてしまう。
「そうか、イグの誕生日か。それならこちらで調節して1日休めるようにしよう。」
「ありがとうございます。」
「その代わりと言ってはなんだが一つ頼みたい仕事があるんだが聞いてくれるか?」
「頼みたい仕事ですか?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
~現在~
「それがなんで遠方への運送なんだよ!!」
クライツさんに頼まれた仕事とは往復約4日かかる場所への物資の運送だった。
たった、一日休暇を貰うだけでこんなに面倒な仕事を頼まれるとは思いもしなかった。
しかし、クライツさんからはこの仕事を済ませれば1日と言わずに3日間休日をくれると約束した。
その為に渋々とこの仕事を受けた。
今は物資を村に届けて帰宅している途中であと1日馬車を走らせればフリューゲルに辿り着くとこまでいた。
3日後が誕生日だからこの調子で順調に進めば余裕で帰宅ができる。
順調に進めばの話だけどな。
今、馬車を走らせてる道は物凄く治安が悪い地域にある場所であった。
その為に強盗や盗賊と言った人間による被害以外にも魔獣なども多く生息しいる為に魔獣に襲われる事もある。
以上の理由でこの辺りは危険地帯として有名であり、
一般的に運搬や移動などでこの辺りを通る時は護衛用の馬車を一台付けるのが普通。
しかし、俺はそんな危険極まりない道を護衛の1人も連れずに馬車を走らせていた。
俺であれば護衛など居ない方が逆に楽だったりする。
さらに仕事的にも通常数人を雇い運送する仕事が俺1人行くだけで済むのでギルド的にも助かる様子だった。
この道を通る運送をクライツさんから頼まれる事はよくあった。
しかし、こんな面倒な仕事を毎回受けていたらシエルとの時間が減ってしまうので今回の様な事がない限りは滅多に受けない仕事。
「さて、早く帰ってシエルと・・・・って?なんだ?」
気を引き締め直し、手綱を強く握り、馬を誘導させようとした時、近くから人が叫ぶ声が聞こえ握り締めた手綱が手からすり抜ける。
声と言っても楽しそうな声ではなく数人が怒っているよな叫び声だった。
俺は声がした方へ馬車を走らせた。
するとそこには豪華な装飾がされた一台の馬車があった。
その馬車に5人ほどの人が馬車に向かい怒号を浴びせていた。
それを見た瞬間にすべてを察した。
あの馬車は盗賊に襲われてる。
・・・なんで、俺はこんなに犯罪者と会うんだよ。
はぁ、めんどくさいが見た以上は助けるしかないか。
襲われてる馬車に駆け寄り、盗賊達に声を掛けた。
「おい、お前ら・・・何やってるんだ?」
「なんだぇあ!!てめぇは?」
盗賊達は頭悪そうに返事を返してきた。
全く、盗賊達は全員こんな頭の悪い話しかできないのか?
「まぁ、なんだ。・・俺も面倒だから今回は未遂って事で騎士団にも通報しないからそのまま大人しく帰ってくれるか?」
「なんだ、舐めた事を言いやがって。・・・死ね!!
一人の盗賊がこちらに向かい魔法で攻撃を繰り出した。
すぐにキレて、小型犬かよ・・・
めんどくさいな、とりあえず避けよう。
こちらに来た
しかし、その魔法は俺の立つ位置とは少し離れた位置を飛んでいく、元々当たるはずのない攻撃を避ける必要などないので棒立ち状態であった。
すると相手の
「クソ、外した。」
「全く、どこ狙ってるんだよ・・・はぁぁぁぁ!?」
すると、そこには半壊した自分の馬車の変わり果てた姿があった。
運悪く、相手の魔法が馬車に当たってしまったのだろう。
「ふ、ふざけるなよぉぉ!!クソ野郎がぁぁぁ!!」
そこからの記憶はあまりなかった。
馬車を壊された事、ギルドに借りてる馬車なので弁償しないといけない事、馬車が壊れ町まで帰れなくなった事。
全てが怒りのトリガーになり爆発した。
俺が気が付くと盗賊達が全員顔面が腫れあがり地面に伏せていた。
自分の拳を見ると相手の返り血で真っ赤に染まっていた。
・・・やってしまった。
うっかり、全員必要以上に倒してしまったたが・・・まぁ、こいつ等は自業自得だが。
壊れた馬車はこいつ等を殴っても治るわけないし、どうしよう?
生きずまり状態で頭を悩めていると一人の初老が盗賊達に襲われえていた馬車から降りてくる。
身長は大きく2メートル近くある、奇麗に着こなしたタキシードの上から分かる程の筋肉質な肉体をしていた、年齢からは考えれない力強さを感じた。
俺はこの人を知っていた。
「イグナルト様は相変わらず激昂されると周りが見えなくなりますね。」
「・・・セバスさん!?」
セバスさんは俺の格闘を教えてくれた【師匠】だ。
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