結婚式で花嫁不在?

(シエル視点)


「シエル起きろ」

「あとちょっと~」

「セリナの結婚式に遅れるぞ?」


結婚式?・・セリナお姉ちゃんの?


その瞬間、眠気で働かなかった頭が覚醒する。

昨日、ここカカ村にセリナお姉ちゃんの結婚式に参加する為に来た事を思い出す。

結婚式当日の朝は早いので昨晩は今日の主役でもあるセリナお姉ちゃんと早く就寝してお布団でおやすみなさいをしていたのに・・・


一緒に寝ていお姉ちゃんの姿もなかった。


「おはよう。」

「おはよう・・・寝過ごしちゃった?」

「大丈夫。まだ披露宴までには時間がある、とりあえず顔を洗って、朝食を済ませよう。」


時間を忘れて熟睡していたので寝過ごしてかと思って不安になったがお父さんが笑顔で違うと安心させてくれた、まだボーとして働かない頭のままお父さんに連れられて顔を洗う為に裏庭にやってきた。


「ちべたい・・・」


目を覚ます為にあえて冷たい水で顔を洗ったけど・・・失敗だった。

目は確かに覚めたけど、水が予想以上に冷たく顔から全身にヒヤッと鳥肌が立った。

寝起きのこれは体に悪い気がする。


顔を拭き、軽い朝食を済ませて服を着替えた。

寝巻きの姿で結婚式に参加はできないんでね。

白を基準としたフワフワのフリルを目立たせすぎかつ主張する様に装飾されたレースワンピースを身に纏い準備万端。


私はみんなが待つ部屋に向かった。

そこには黒いスーツを着用したお父さんの姿があった

普段とは違う服装を見て私は今日が特別な日であることを再確認した。


「シエル似合っているな。」

「ありがとう・・・お父さんも今日はかっこいいね。」

「今日は余計だけど、ありがとう」


本当に今日のお父さんはかっこいいなぁ。

あれ?セアラお姉ちゃん達の姿が見えない。先に会場に向かったのかな?


「セリナ達は着替えがあるからと先に家を出た、スラクは婚礼料理の準備があるってセリナ達よりも早く出かけた。」

「そうなんだ・・じゃあ私達も早く向かった方が良いんじゃないの?」

「いや、時間までまだまだ時間がある・・あいつらがせっかちなだけだ。こっちはゆっくりと向かうか。」


ホントはセリナお姉ちゃんのウェディングドレス姿を見たかったけど・・・仕方ない。

披露宴までは我慢をしよう。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

~数時間後~


「わぁ~!!すごい。」


村の一部分、普段は広場として子供たちの遊び場として使われてる場所に長椅子が二列で並べられ間には人が通る為の赤い道が作られてその道の先には壇上があった。

辺りは色とりどりに装飾されていて壇上を一層特別な物に仕上げていた。


「スラク・・・アイツどんだけ張り切ったんだよ?」

「どうしたのお父さん?・・・うげ、何あれ?」


目に飛び込んで来たは私の数倍以上ある巨大なケーキのタワーだった、ここにいる人たち全員に一切れずつケーキを取り分けたとしてもお釣りが来るぐらい巨大。


本当に食べきれるのかと考えているとこのケーキを作ったスラクお兄ちゃんが私達に話しかけてくる

それに呆れ混じりな返事を返す。


「あぁ!、イグナルトさんにシエルちゃん!!」

「お兄ちゃん・・・・こ、凄すぎるね」

「だろう!!」


褒めてるけど褒めてないんだよね。

でも、こんな大きなケーキを作るぐらい自分の妹の事を大切に思っているんだろうな。

私がスラクお兄ちゃんとお話をしていると一人の男性が私に話しかけてきた、その男性は私の知らないだったけど「シエルちゃん」と呼ぶのでは私の知り合いだと思う


「・・・だれ?」

「あはは、分かりませんよね。ロアルです。」

「ロアル・・・ってロアル兄ちゃん!?」


普段はメガネをかけて大人しく性格のお兄ちゃんが眼鏡を外すだけでこんなにも変わるとは。

更に花婿衣装が私のロアルお兄ちゃんのイメージから遠ざける要因になり、判断を難解な物へと変えていた。


「ロアル兄ちゃん、かっこいいね。」

「ありがとう、シエルちゃんも可愛いですね。セリナも喜ぶと思います。」

「お姉ちゃん・・そうだお姉ちゃんは今どこにいるの?」


今日起きてから大好きなセリナお姉ちゃんの姿を見ていない、私は花嫁姿をいち早く見たいんだけど。

当たりを見回してもお姉ちゃんの姿が見えない。


「セリナは衣装を着替えた後に少し用事があると出かけて行きましたが。どこにいたんでしょう?」

「どこに行ったて大丈夫なの?もうすぐで結婚式始まっちゃうよ」

「そうですね。あはは、大変ですね。」


なんでそんなに落ち着いてるの。

普通は花嫁さんの姿が無かったらもっと焦ると思うんだけど。

私の頭には疑問しかない。


「そんなに焦らなくて大丈夫ですよ。」

「でもぉ~」

「セリナの居場所は検討が付いてますので。」

「へ?」

「おそらくですがあの場所にいると思いますので今から迎えに行く所です。」


あの場所?

お姉ちゃんは一体どこにいたんだろう?




















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