帰路
(シエル視点)
「お父さん、大丈夫かな?」
館の前で使い魔のフェニちゃんと一緒にお父さんを待っていた、私がいるとお父さんが本気で戦えないので、おとなしく待つことに、、、
フェニちゃんもずっと私の事を気にしているようでそばから離れなかった
「フェニちゃん大丈夫だよ、、ありがとう、、」
お礼を言うとキィーと甘えた鳴き声で返事してくれた、可愛い、、、
見た目は大きくて怖いけど、お父さんが初めてフェニちゃんを連れてきてから私たちはずっと仲良いだったので怖くはなかった、、むしろ可愛い
「えへへ、モフモフ」
フェニちゃんの体を抱きしめた、羽がモフモフしていて炎のように赤く暖かく優しい、まるでお日様で干したお布団ようで安心した、、
しばらくすると私がさっきまでいた館からドカンっと爆発音が聞こえる、爆発があった方を見ると館が半分が爆風で吹き飛んでいた、丁度私のいる位置とは反対の方で正面から見ると外傷はないように見えるまるでハリボテの様だった
お父さんがやったのだろう、、
と考えていると最初にお父さんが吹き飛ばした入り口からお父さんが出てきた、私が目を凝らし入り口の方から中の様子を見ると奇麗に館が消えており、青い空が見えた、、
お父さんはゆっくりと私とフェニちゃんの方へ歩いてきた
「お待たせ、何もなかったか?」
「うん、フェニちゃんもいたから、、、」
「そうか、、フェニックスもシエルを守ってくれてありがとうな、、」
フェニちゃんがキィーと返事をした、
「どういたしまして」と言いたいのだろうか?
「盗賊さん死んでない?また団長に怒られちゃうよ、、、」
騎士団のルールで『罪人は出来る限り生け捕りにしろ!』と言われてるみたいでお父さんはいつも手加減するのが難しい、、と呟いていた、だから戦闘時は出来るだけ魔法を使わないようにしているようだ、、
今回は魔法を使ったのでお父さんが団長さんに怒られるような事をしていないか心配になった、、
「これでも死なないように手加減はした、、、それより腕の具合はどうだまだ痛むか?」
「うん、動かしたら少し痛いけど大丈夫だよ、」
「少し見せてみろ、、、ひどいな骨にも少し傷が行ってるかもしれない、、、村に戻って治癒石をもらおう、、」
そう言ってフローラ村に私を連れて戻ろうとした
が私はそんなお父さんに『待って』と一言かける、それに反応してお父さんが足を止め、こちらを向く
不思議そうな顔をしていた、一体何があったんだと言いたそうだったので私は左足を見せた
「、、、、靴ない」
左足は誘拐の時暴れまわった為にサンダルが脱げてしまい、裸足だった、この状況で山道を歩くとケガをしてしまう可能性があって非常に危険だったので靴を履いてない事を知らせた、、
「あ、靴持ってくるの忘れた、、その状態で山道を歩くのは危ないしなぁ、、仕方ない」
そう言って私の事をお姫様抱っこしてくれた、髭の一本も生えてないお父さんの顔が見え、お父さん特有の良い匂いがした、そして私はある思い出を呼び起こす。
それは初めてお父さんに抱っこされた時の事だ、、
4年も前の出来事なのに良く覚えてるなぁ、、、
と私は思いつつお父さんを【ぎゅー】と抱きしめて聞こえるか聞こえない声で
(守ってくれてありがとう、、大好き、、)
恥ずかしさのあまりにお父さんの顔が見れなかったのでこの気持ちが伝わったかは今の私に知る事が出来なかった
・
・
・
そのまま十数分の道のりを歩きフロール村にまで戻って来た、、村の目前で村の人が怖がるからと言う理由でフェニちゃんとお別れになった、終始私の事を心配していて帰るさえも不安そうだった、
ケガが治ったらまた会って安心させてあげよう。
村に戻ると村長と村人の人たちが私の無事を喜んでくれた、
その中で一番すごかったのがアマンダお姉ちゃんだった
私の姿を見るなり急に泣き出して
【シエルちゃ~~ん、、、うわぁ~ん、良かったし、無事でよかったし、、私のせいでごめんねぇぇぇ~~】ってずっと泣いていた
私はお父さんに抱っこされながら困った表情で対応していた、、
少しすると落ち着いたのか泣き止んだでもとの調子に戻り始めた
やっぱりアマンダお姉ちゃんはこうじゃないと、、、
「シエルちゃんそれにしても、、、」
「な、なに?」
「お父さんに抱っこされて、、本物のお姫様みたいだし、、」
私は急に恥ずかしくなった、、そうだ私は今お父さんに
お、おお、、お姫様抱っこをされていたんだ、、
顔の温度が急激に上がるのが感じれた、
「お父さん、みんなの前で恥ずかしいから、、お、降ろして」
「何が恥ずかしんだよ、、俺ら親子だし別に恥ずかしがらないでも大丈夫だろ?」
「でも私、もぅ6歳だよ、、もうすぐで7歳になるし、、もう子供だないんだし、、恥ずかしぃ、、」
「6歳はまだまだ子供だよ、、」
「もぅ、、そういう事じゃないんだよ、、、、、」
私は恥ずかしさのあまりどうにかなりそうだった、
お父さんに目で必死に【降ろして】と訴える、
フロール村の人たちにも見られてる
もう泣きそうだった、
「でも靴ないからなぁ、、」
「飛び降りよ?」
「はやくシエルの靴持ってきて、、はやく、、」
お父さんが慌てて言うとアマンダお姉ちゃんが私のお気に入りのサンダルを持ってきてくれた、私はようやく自由の身になったんだ、、
別に抱っこされるのは嫌じゃないんだよ、、
でもね、、、、、
みんなに見られると恥ずかしんだよね、、、、
私が靴を履いてる時にアマンダお姉ちゃんが私の手首の傷に気付いて驚愕した、私もあまり責任を感じてほしくないから見せたくなかったんだけどなぁ、、、
「その腕、、、」
「あ、これはその、、、」
「見せて、ひどい傷だし、、手形からして男に強く握られてるし、盗賊にやられたし、、、私のせいで、、」
また泣き始めた、私自身が誘拐されたのは私の不注意と盗賊の人たちが悪いと思っているからみんなは悪くないと思っている、
これは本心だ、、
でも私の周りの人たちはどうしても自分の責任として考えてしまう人ばかりだった、お父さんもアマンダお姉ちゃんを見て気にしている様子だ
「アマンダ泣かないでくれ、この件に関してはお前は悪くない、悪いのは盗賊だ、、そんなに自分を責めるとシエルも悲しい気持ちになるから笑ってあげてほしい、、」
【盗賊が悪い】と言っていたがこれは本心ではないと思う、お父さんの性格的に責任は自分にあると考える人だからだ、
今回の件は自分に責任があると言うとお姉ちゃんに逆に気を使わせてしまうと考えであの言葉を言ったんだと思う
私的はお父さんも悪くないと思ってる、、、
が何を言った所で自分を責めるのをお父さんは止めないだろうし、お父さんの良い所でもあるけどダメな所でもある、、
「うぅ、、そうだね、、、」
「それより治癒石あるか?あるならシエルの治療に使いたい。。」
治癒石、、、
それは魔鉱石の一種【クラル石】を原料として一時的に自然治癒力を上げて傷を早く治すと言うものだった、しかし脆く壊れやす石なので一個で治る傷は小さな切り傷ぐらいだった、
今回の傷を治すとしたら治癒石が最低でも6個は必要になると思う、、
私の傷を治す為に村人の人が治癒石を家から持って来ようとしたその時、アマンダお姉ちゃんがその村人をとめた、、
「待つし、、私が治すし、、」
「治す?」
「私こういうの得意だし、、」
アマンダお姉ちゃんが私の傷ついた手を自分の胸に近づけるそして魔法を唱えた
「
ーーーーーーーーーーーーー
【第5位】草色魔法
適性レベル
フロール村 村長の孫
アマンダ
ーーーーーーーーーーーーー
アマンダお姉ちゃんの胸の辺りが奇麗な草色に光ると、私の体が暖かくなる、、
この感覚を私は知っていた、私がケガした時にヒルダおばさんが使ってくれる草色魔法
その魔法のお陰で手の傷がみるみるうちに治っていく。
「すごい、もう治っちゃた、、」
「すごいっしょ、、」
「ありがとうアマンダ、シエルの傷を治してくれて」
「いいって、少しはこれで私の気も紛れたし、」
「ありがとう、アマンダお姉ちゃん」
アマンダお姉ちゃんに抱きつく、
「よし、ケガも治ったことだし、帰るかシエル、」
「うん、、、」
私はフリューゲルに帰るために馬車に乗り込もうとした、その時アマンダお姉ちゃんが【ちょっと待つし、、】と言い、自分の家に戻り青い色の花で出来た花冠を持ってきてくれた、
「これシエルちゃんにあげるし、、」
「わぁ、ありがとう、、でも私の花冠は、、」
誘拐される前にお互いに交換する為に作っていた花冠を持って来てくれた、が私の作った白い花冠は盗賊達に誘拐される時に壊れてしまって渡すことが出来なかった、
お姉ちゃんは【気にしなくていいし、今度来た時に作ってくれたらいいし、】と言われた、
「分かった、じゃあ次は私がお花冠作るね、、」
「楽しみに待ってるし、、、」
「でも、、この花冠の青い花ってどこにあったの?私見なかったよ、、」
私がそう言うとアマンダお姉ちゃんがポケットから一粒の種を出しその花を再び自分の胸に近づける、、
なんの種だろう?と思っていると再び草色魔法を唱え始めた、、
「
胸が草色に光ると持っていた種がすごい勢いで育ちあっという間に一本の青い花に育った
「こうやって、作ったし、、」
すごいと感心していたら頭に先ほどの育てた青い花を私の髪に差し込んでくれた、キレイですごくいい香りがした、、
アマンダお姉ちゃんにお礼を言うとお父さんが馬車を走らせる
お姉ちゃん、村長、村の人とお別れをした
「シエルちゃん、また来てほしいし、、」
「うん、絶対来るね、バイバイ」
私は皆が見えなくなるまで手を振り続けた、
・
・
・
村を離れて数十分後、私たちが乗る馬車は最初に盗賊達に襲われた山道に当たりにいた
それまでお父さんと談笑してたが、いつもとは少し違ってお父さんに元気がない気がしたが私はその時あまり気にしなかった
今日は色々あって疲れたなぁと思った瞬間、、、、
強い睡魔に襲われた、疲労と
「シエル、眠いなら荷台で寝ていいぞ、、、」
「ううん、大丈夫」
ウソだ、、、ぜんぜん大丈夫ではない、
今にでも気を失いそうなくらいの強い眠気だった、正直今すぐに寝たいけどそれをしなかった、
理由は簡単わたしは今お父さんと離れたくない気分だったからだ
それを見かけたお父さんは「仕方ないな、、」と呟くと私のリュックから来る時に下に敷いていた毛布を取り出し、わたしに被せお父さんの方へ引っ張られた、その反動で私はお父さんの方に倒れる、
「落ちないように見ているから、、町に着くまで寝てなさい、、」
「、、、、分かった」
私はお父さんの言葉通り眠る事にした、正直限界を超えていた、夢の世界に入ろうと思えば一瞬で入れる程にねむたかった私は信じられない速度で眠りに付いたのだった、、
「おやすみシエル、、、」
夢に入る直前に聞いた最後の声はお父さんの優しい声だった、、、
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