【番外編】シエルの忍び込み術②
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この話は【物語の始まり】でシエルが父の馬車に乗り込むまでのお話です
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【シエル視点】
お店を出てお父さんにバレないように付いて行った。
お父さんは私たちが住んでる北住居エリアから東商業エリアの中に隣接している東門に向かう、店から出て左に行くと大きな道があるそこを道を通って行くと東門までは歩いて15分ぐらいで着く、その道のりをお父さんに気付かれないように慎重に付いて行った。
(お父さん歩くの速い)
大人と子供だと歩幅が違すぎて付いて行くのが大変だけどがんばった
すると東門が見えてきた。
東門はいつもと変わらない雰囲気だ
東門は2種類あった、人が出入りする人専用の小さい門【東小門】
もう一つは馬車などが出入りする為の大きな門【東大門】、今の私は東大門の中にある停留所にいる
停留場には馬車が20台近く並んでいた形や大きさは様々で中には魔獣が引いている大きな馬車まであった、私なら100人余裕で入りそうだなぁ
何とか無事に東大門の潜入する事に成功した。途中で町の人に話かけられて危うくお父さんにバレそうになったが今の所はバレずになんとか来れた
がしかしここで安心はできない
むしろここからが本番なんだ
お父さんに気付かれないように馬車に乗り込まなくてはならないのだから
慎重にお父さんにバレないようにお父さんの馬車を探す、
いっぱい、馬車があってどれがお父さんの馬車か分からなくなり、あたりをキョロキョロ隠れながら探し回る
探してる私の姿を見ていたら一人のおじさんが私に声をかけてくれた。
「また来たのか、嬢ちゃん」
「あ、クライツさん」
おじさんの正体はクライツさん、フリューゲルの町全体の物流を管理してるそう。
結構偉い人見たい
「また、イグの馬車に乗り込む気か?」
クライツさんは険しい表情をして訪ねてきた、町の子供たちの中では有名なほど怖い顔をしている。そんな人に睨まれたら誰だって裸足で逃げ出すそれほど怖い顔をしている
がしかし私は別である
なぜなら
「うん、今日はお父さんについて行くんだ」
「ハハッ、そうか、だったらウマを取に行ってる今のうちに馬車に乗り込みなぁ、案内してやるよ」
「うん、ありがとう、クライツさん」
なぜなら実はクライツさんは子供にとても優しい人だから。
もちろん私も最初はクライツさんの事を怖がっていた、けど何度か話すうちにクライツさんと仲良くなった、それからは全く怖く感じなくなったのだ、
クライツさん自身も子供が大好きだけど、どうやって接すればいいか分からずにあんな怖い顔になるそうだ、笑えば少しは怖い顔もマシになるのになぁ
と思っていたらクライツさんが馬車を案内してくれた私がすぐ隣にあった馬車がお父さんの馬車だったみたいだ
最近本で覚えたことわざで例えるなら「灯台もと暗し」だね
「クライツさん、ありがとう」
「いいってことよ、積み荷もあるから気を付けて入りな」
「うん、わかった」
馬車に乗り込むと中は【卵、瓶詰めの食品、小麦、米、調味料から日用品までいっぱい積んであった
手前には丁度大人一人が入れるくらいのスペースが開いていた私はそこに自分の部屋から持ってきた布を床に引きサンダルを脱ぎ素足のまま腰かけた、
秘密基地みたいで逆にこの狭さが落ち着くだよね
「嬢ちゃん、分かってると思うがそこの魔法盤には触るなよ、危ないからなぁ、」
「大丈夫だよ、、、、私の身長じゃあ届かないから、、、」
私は少ししょんぼりしながら答えるとクライツさんは大声で笑い始めた。
「はは、ちげぇねぇ、」
「あ、わざと言ったでしょ」
「わるいわるい、ついなぁ」
クライツさんが意地悪を言ってきた、
私は他の子よりも小さいからよく身長をネタにされる事が多い、確かにもうすぐで7歳になるのに今でも5歳児と間違われる事があるが皆してイジワル言う事ないじゃん、
何て事を考える
お父さんが言うにはイジワル言った時の私の反応が可愛いみたい、なんか不服だなぁ
ちなみに魔法盤とは魔法回路を出す
荷物を運ぶ時なんかに積み荷が崩れないように使うと便利みたいだ
「おっと、そんな話をしていたら、イグが来ちまうな、これリンゴ、途中でイグに剥いてもらって食いなぁ、甘くてうまいぞ、、」
「うん、ありがとう」
「じゃあな布おろすから気を付けて行って来いよ」
「うん、行ってきます」
私は手を振った
クライツさんが馬車の布を下してくれた。
太陽の光が消え、布越しの太陽の光が車内に広がる
馬車に乗れたがまだ安心は出来ない、
なぜなら町を出てすぐに見つかってしまうと町に引き返して降ろされてしまうからだ、町に引き返せない距離までは気付かれたらダメなんだ、でも今回はついて行ってもいい仕事だからバレても問題ないけど、なんかここまで来たらどこまでバレないか気になってしまったのでこのまま隠れ続ける事にした。
なんて事を考えていると外からお父さんの声が聞こえる、戻ってきたようだ、お父さんの声を聴くと私はものすごく安心する、少し距離が空いていてよく聞き取れないがクライツさんとなにかお話をしてるようだった、聞き取れた単語は【2時間、休憩しないと、馬が、シエル】だった。
単語をつなげて勝手に文章を作ってみるとこうなった
(2時間休憩しないと私が馬になる?)
(なに言ってるの?)
心の中でツッコミを入れた
しょうもない事を考えるのをやめ、持ってきた自分のリュックから本を取り出す、私は唯一趣味があった、それは読書、小さい頃から本が好きで今では15歳が読むような少し難しい話でも読める程である、今日は魔法石についての本を読んでいる、12歳ぐらいで習う魔法基礎学の教育本だった、本当は本を部屋に置きたいが部屋が狭くて置けないので、だから読み終わった本をカミ姉に送ると新しい本が送られてくるシステムになった、あとは町の図書館で本を借りたりしていた。
本を読み始めて数分後に馬車が動き始めた、馬車が出る前にクライツさんが【自分の娘が乗ってると思って慎重に運転しろよぉ】って言っていた、
(クライツさん、バレちゃうよぉ)
私は小さなため息を吐く、まぁ、お父さん鈍感だし多分気付かれないだろと思いながら内心ヒヤヒヤだった。
馬車を走らせ30分ほど、ここまで来たら安心、作戦成功。
次に休憩で馬車を止めた時に馬車から出ようと思う。走らせてる時に降りるのは危ない
それまで読書を続けようと思ったが
「、、、、、ねむたい」
今、睡魔に襲われてる。
朝は強い眠気を押し殺して起きて、急ぎ足でお父さんを追いかけたおかげで今ものすごく眠い、さらには朝食でお腹いっぱいになり、その上太陽のおかげで車内は丁度眠るに最適な温度になっている、こんなの起きてられるはずがない、
(よし、馬車が止まるまで寝よう)
私は素直に寝る事にした。馬車が止まるまでお父さんの所に行けないし、この状況で本を読んでも集中できない、すると残された選択肢は寝ることだけだった、私は床に引いた布の上に寝転がり夢の中に入る準備をした。
(おやすみなさい)
私は数秒で夢の中に入った。
この暖かさだからいい夢を見ていたと思う、
夢の内容は覚えてないがこの状況で悪夢を見る事は無いと思う
スヤスヤと気持ちよく眠っていたら急に馬車が大きく揺れた。
その衝撃に驚き少し悲鳴をあげたそれと同時ぐらいのタイミングで壁に頭を少しぶつけてしまった、私は思わず手で頭をさする、さすったから痛みが和らぐ訳でもないがなぜかさすってしまう
「イテテ」
「また荷台に忍び込んだのか、シエル」
馬車の積み台の部分を閉じていた布をめくり赤髪の男性がこちらを見ていた。
私のお父さんだ、
「えへへ、ついて来ちゃった。」
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