【番外編】シエルの忍び込み術①
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この話は【物語の始まり】でシエルが父の馬車に乗り込むまでのお話です
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前の話より数時間前の出来事
場所
(シエル視点)
ガサガサと物音で目が覚める
眠い、私は昔から朝は得意じゃない、まぶたが重いけど頑張って目を開ける事にした、目を開くとそこには私のお父さんが仕事に行く準備をしていた。
朝早くから大変だなぁと思った。
目を開けていたら少し目が覚めてきた気がする。
お父さんをまじまじと私の事を見ていた、私が起きた事に気付が付いたようだった、お父さんは私の寝そべってるベットに近づいてきた
「おはよう、シエル」
「、、、、、おはよう」
朝の挨拶を互いにかわすとお父さんが私の頭に手を置き優しく撫でてくれた、お父さんは良く私の頭を撫でてくれる。
心がくすぐったい
私はお父さんに撫でられるのは大好きだけどやっぱり恥ずかしい気持ちもない訳ではない、
いや、正直に言うと恥ずかしい
私は自分でも認識しているが結構
甘えたくても、本心を相手に言うのが恥ずかしい特にお父さん相手にはなぜか素直になれない、お父さんの事は嫌いではないむしろ大好きだ。ママが亡くなってからずっと私の事を本当の娘のように可愛がってくれた、嫌いになれるはずがないよね
「お父さん、、くすぐったいよぉ」
「あ、悪い、、、」
寝起きのせいだろうか、、、、
それとも恥ずかしさからか、、、、
顔が熱い気がする。
「すまない、お父さんのせいで起きちゃったか?」
「いや、なんか目が覚めちゃっただけ、」
嘘であった、お父さんは最近、お仕事ばっかりで早くに仕事に行き、遅くに帰ってくる事が多かった、お父さんとゆっくり話す時間がなかったの
寂しかった
だから今日も頑張って起きた、眠い目を擦りながら、、、
「そうか、お父さんは今から下でメシを食べて仕事に向かうけど、、シエルはどうする?、もう少し寝るか?」
「う~ん、、、、いや、一緒にご飯食べる」
「そうか」
お父さんが微笑んでくれた
【一緒にご飯を食べるか】とたずねられ時、私はわざと考えるふりをした、答えは出てたけど即答するのがなんか恥ずかしかった。
私はお父さんに手伝ってもらいながら服に着替えるいつものお気に入りの白の服だった、私は靴下が嫌いだった、あの締め付けられる感覚がどうも苦手で慣れない、そのためよく裸足でいる事が多い、今日も裸足のままサンダルを履く、オニキスは年中、暖かく過ごしやすい気候の町なので、寒くは無かった、むしろ涼しいくらいだ、下の【レガルメ酒場】に向かった、私たちが住んでる場所は宿屋だった、しかもこの宿屋は他の宿屋と少し違い一階は一般のお客様も利用できる酒場があった。
酒場と言っても料理もすごくおいしい、お父さんが遠い場所にお仕事で帰ってこれない時もグライスおじさんやヒルダおばさんが私の面倒を見てくれていた。
「おはよう」
「あら、シエルおはよう」
「おぉ、おはようシエル」
ヒルダおばさん達と朝の挨拶を交わす、続いてお父さんも朝の挨拶をした
「今日のご飯はなに?」
「今日はシエルが喜ぶと思ってフレンチトーストにしたわよ」
やったー
この店レガルメ酒場は朝と夜でお店が少し変わる
朝は宿泊客限定の朝食メニューで一種しかないが毎日メニューを変えてくれるから飽きずにおいしく食べれる。
宿泊客限定と言ってもこの宿屋はどちらかと言うと、酒場の方がメインなのでお泊りできる部屋数も少ないから宿泊客は多くても6人ほどしかいない
お昼は休憩していて、夕方から夜の営業が始まる、夜はお店の名前にも入っている酒場になる、いろいろな人が集まっていて賑やかだった。酒場と言ってもご飯も食べる事が出来る、私のお気に入りはハニーマスタードのチキンステーキ、甘くておいしいだよね。
「はい、シエルお持たせ」
「ありがとう、ヒルダおばさん」
ヒルダおばさんは厨房に戻って行く時にさりげなく頭を撫でてくれた、
嬉しい
なんて事を考えながら目の前の運ばれてきた料理に目を向けるとそこには卵や牛乳などで出来た甘い液体を食パン浸して焼いたフレンチトーストを一口サイズに切ってくれた物とサラダと少し小さめなソーセージが2本盛り付けてあった、フレンチトーストは私が食べやすいように切ってくれたんだろう、
私は一つフレンチトーストを口に運ぶ丁度いいサイズにカットしてくれていたので食べやすかった、
フレンチトーストを口に入れるたびに口の中いっぱいにフレンチトーストの甘さが広がる、甘すぎずにちょうどいい、隠し味のはちみつもいい。
「おいしそうだな、、」
「うん、、」
「お父さんもたべる?」
「お父さんはいいよ、甘いの苦手だし」
私はお父さんのお皿を確認するとそこにはフレンチトーストの代わりに普通のトーストが乗ってあった、他には野菜と私より少し大きめなソーセージとベーコンと目玉焼きが乗っていた、
お父さんは甘いのが苦手でコーヒーにも一切砂糖を入れないぐらいだ、今もお砂糖なしのコーヒーを口に運んでいた。
楽しくおしゃべりしながらご飯を食べ進めていたらお父さんが先にご飯を食べ終わった、私はまだ少し残っていた。
ご飯を食べ終わってすぐに仕事に向かう準備をしていた。
「シエルはゆっくり食べときな、今日はできるだけ早く帰るからな、、」
「うん、わかった、行ってらっしゃい」
「行ってきます」
仕事に出かけるのを見送った、お父さんが店から出て行ったの確認したら急いで残った1切れのフレンチトーストを口に詰め込んだ。
「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末様でした」
「シエル、今日はお父さんの仕事について行くんでしょう、はい、これリュックとお昼ご飯入れといたから食べなさい。」
「うん、ありがとう」
実は今日、私はお父さんの仕事について行くのだった
ヒルダおばさんも共犯者だ
もう寂しさ限界だったのだ、私は限界が来たらこうしてお父さんに黙って仕事について行く事にしている。
お父さんに素直に付いて行きたいとお願いしたら連れて行ってくれると思うがどうしてもそれが出来なかった、純粋に寂しいから付いて行くと甘えるのが恥ずかしかったと思う、、、
もちろん付いて行ったらダメな仕事もあるけど今日は付いて行っても大丈夫な仕事だった、だからヒルダおばさんも協力してくれたんだろう。
「よし、お父さんについて行くゾ作戦実行」
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