第7話 孤児院でお叱りを受ける

 白けてしまったので、ルイスは報告しに行くと言って王城に行くというので、ルイスと別れた私達は屋台でイカ焼きを買って食べながら孤児院に帰ることにした。


「院長先生。護衛必要なんです?」


 もぐもぐ……ゴックン「ルイスも似たようなこと言っていたわね。

自分たちより圧倒的に強いのに自分たちがミリス第2王妃を陰ながら護衛する意味あるんですかねって」


「じゃあ、もぐもぐ……にゃんで護衛してくているの?」


「ミリー口にものを入れてたまま喋るのはダメよ。陛下の命だから逆らえないからじゃない」


 私も必要ないと思うんだけど、ジュラルが万が一があったらどうするんだって言って折れないからから1人だけならって事になったのよね。


「陛下も院長先生の強さ知っているんですよね?」


「陛下たちの前で王城にある鍛錬場で私対王国騎士団の精鋭20人と魔法師団の精鋭10人の合わせて30人で模擬戦して勝ったからね」


「1人対30人で戦って蹴散らしちゃったんだね。騎士さんと魔法師さんたち可哀想」


「ちゃんと手加減したわよ」


「「更に可哀想(です)」」


「でも騎士と魔法師の皆、次はもっと長く戦えるように鍛えますって張り切っていたわよ」


「それは圧倒的に負かされて開き直ったんだと思います」


「私もそう思う。さっき言っていたけどダニエルはこんな話聞かされて院長先生に鍛えてもらおうって今も言える?」


「……」


 なぜ黙るダニエル。


「私と鍛錬続けて初めて模擬戦した時より騎士団も魔法師団も強くなったわよ。

諦めなければ強くなれるわよダニエルも」


「それまでに何百回命の危機にさらされることになるんだろうな……」


「何百回で足りるかな?」


 そんな事しませんって2人は私のこと何だと思っているのよ。


「「「ただいま」」」


「おかえりなさい。街に行ってどんな事がしたましたか?」


「色んなお店に行って欲しいものが買えたのも楽しかった」


「まあ……最後の方にトラブルもありましたが楽しかったです」


 ダニエル!!報告は必要だけどそんな言い方したらシシリー副院長に根掘り葉掘り聞かれるでしょう。


「トラブルとは?」


「ダニエルとミリーが孤児だからって屋台の店主さんに売り物を盗んだ犯人と勘違いされちゃったんだよね」


「まあ……そんなことがあったの。2人とも大変だったわね」


「でも院長先生が犯人は私たちじゃないって言ってくれて助けてくれたの。

あと私たちが着ている服や税金ご飯食べられてるのにって文句言ってきた大人たちが何も言えなくなるくらいこてんぱんに言い負かしてくれたよ。

あとはルイスさんが院長先生が第2王妃ってバラしちゃったりした」


「あららら……第2王妃というのは周知されてはいませんが隠しては無いのでいいのですが……ミリス院長がどう言い負かしたの?」


「孤児院は税金ではなく、院長先生個人のお金で運営されているとかですかね」


 ダニエル!!ナイス!!それは事実だから問題ないやつ。


「あと、自分の子供に私たちと同じ服を着せたいなら孤児院で預かるよとか孤児院を出た後は家業とは別の仕事に就かせてやるとか言ってた」


「ミリス院長はそんな事を言ってしまったのね……」


 ミリー!!それは言っちゃだめなやつ。

 シシリー副院長の声が低くなった。

 これはお説教されるな……。確定だな。


「ミリス院長。院長室でお話しましょうか。

ダニエルとミリーちゃんはもうすぐ夕食だからお風呂入ってらっしゃいね」


「はぁ〜い」


「はい」


「行きますよ。ミリス院長」


「ははぁい」


 私の方が立場上なのに〜。まあ、私もやり過ぎだったかなと思わなくもないから着いていく。

 しかし、シシリーには頭が上がらないな。


「気持ちはわからなくもないですが、ミリス院長は院長という立場だけでなく、第1王妃殿下に比べて表に出られる事は少ないですが……

王妃の立場である事には違いないのですから民が不満を抱きます。

王侯貴族は民から絶対に舐められてはなりませんがやり過ぎてはなりません」


「わかりました。もう少し気をつけます」


 そして、院長室で屋台での事を全て吐かされて叱られた。


「しかし、屋台の店主の奥さんは問題ありますね。

店主は家督は継いでいないけど商人でも貴族籍を持ったままとのことですし、奥さんも貴族の出なのでしょうかね」


「どうなんでしょうか。店主は男爵家ですから平民の可能性も考えられますよ」


 それは聞いていないので私にもわからない。

 貴族でも下位貴族は平民の女性を妻にする事がある。


 下位貴族でなくても家督を継いだり、当主の補佐、他家に婿や婿養子、王城の武官や文官になれず貴族籍を外され平民となり平民の妻を娶ることになったりもする。


 王侯貴族として最悪なパターンとしては、問題を起こして廃嫡や廃籍され平民となり平民の妻を娶るしかない場合。

 犯罪者を出した家として家名にも傷がつく。


 それから王族や高位貴族嫡子が平民の女性に入れ上げ廃嫡せざる得なくなり、当主の座を下の者に譲り、廃嫡されて平民の妻を娶って平民となる場合だ。

 特に後継者として申し分ないなかったりするとたまったものではない。


「ルイス殿が報告に行かれたのですから詰所の兵士に命が出されているでしょうから門番に店主一家が王都から出ようとしても留められるので後にわかるでしょう」


「そうね……」


 そんな話をしているとルイスが孤児院にやって来た。







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