第3話 私はリッシュランド王国の第2王太子妃となった

「ミリス嬢。貴女の作った魔導具がおおいに役立った。

この魔導具を販売する予定はないのか?」


「うん……今のところ私しか作れないので……」


「そうか……」


「王太子殿下もお気づきでしょうが今回の様に犯罪やトラブルなどの証拠として役立ちますね……

何かあった時の事を考えたら欲しいと思う人は多くいるでしょうから……

すると需要に対して供給が追いつきませんから販売するとしても作れるだけの技量のある人員が確保できてからになります」


「国としても助かるから人員の方は私に任せて欲しい」


「よろしくおねがいします。大変だと思いますが……」


 私が作った魔導具ってレシピ登録したの多くが作れる人が少ないんだよね。


 たまにレシピ購入してくれた魔導具師や錬金術師、付与師に説明してあげたこともある。


 私の説明が下手なのかもしれないがほとんどの人がうまく作れなかった。


 それから度々、王城に呼ばれたりして王太子妃のナージャ殿下と仲良くしていただいたりした。


 ホーロリン親娘おやこだがイライザ嬢は解呪しなかったので私が言った通りに捕縛から4日後の朝に何かに恐怖した様な顔をしたまま牢で死んだそうだ。


 ホーロリン伯爵は屋敷内を調べたら色々とまずいものが出てきたらしい。


 なので、まだ余罪があるだろうと罪が増えるのを牢で待っている状況で処罰は罪が全て明るみになってから決めるらしい。


 ホーロリン伯爵夫人、伯爵が捕縛されてあとに離縁されたので元伯爵夫人か。


 名をシシリーというらしいが彼女は今回の事にも伯爵の不正や違法行為に一切関わっておらずそんな事をしていたというのも知らなかったらしく、それが認められた。


 更に余罪が増えれば伯爵の連座で処罰対象に成りかねないので王家の配慮で離縁することになった。


 しかし実家のミーエハリー侯爵家は代替りしていて兄が当主であり、兄とは不仲なのだとか。


 その兄は父親以上に世間体を気にし過ぎるので実家に出戻っても世間体を気にして離れで軟禁状態となるとのことだった。


 本人は平民となり市井で仕事を探し働くと言ったが元伯爵夫人で実家は侯爵家なので領地なしの一代貴族の男爵位を与え、リクル女男爵となる予定とのこと。


 市井で働くのに抵抗が無いのなら私が孤児院建てたら働いてくれたりしないかな……。


 ある日、王城に呼ばれいつも通りナージャ殿下の私室に行くと王太子殿下も一緒にいた。


 まあ、夫婦であるのだから問題があるわけではないけど……何か王太子殿下が緊張した感じだったんだよ。


「ミリス。いらっしゃい。今日はジュラルから話があるのよ」


 何だ?魔導具を作れる人員が見つかったのか?

 それなら緊張なんかしないか。


 任せてくれと言ったのに全く人員が見つからず、相談したい感じ?


 もしそうなら私もうまくできていないから相談相手としては不適格ですよ。


「ほら、早く言いなさいな」


「緊張しているだ。ナージャ、そう急かさないでくれないか」


「早く言ってしまえば、緊張から開放されるじゃない。例え玉砕したとしても、うまくいったとしても、玉砕したとしても玉砕したとしても玉砕……」


 ナージャ強し。王太子殿下が完全に言い負かされている。


 しかも満面の笑みで玉砕ばかり連呼している。完全に面白がっている。


 実は私も今から王太子殿下から何を言われるのか気づいていたりする。


 ナージャから聞かされているし、お父様からも第2王妃にという話が来ていると連絡があったのだ。


 私がどう答えるかは知らないけど、王太子殿下が私に話す事を私が知っているのを知っていてナージャは王太子殿下をおちょくっているのだ。


 私も面白がって王太子殿下をおちょくっている王太子殿下とナージャのやり取りを見て笑うのを必死に堪えている。


「王太子殿下…クッ……お話とはなんで……グフゥ……しょうか」


「ミリス嬢。何かに堪えている様で辛そうに見えるが大丈夫か?また今度にするか?」


「ジュラル。それってミリスを気遣っているフリをして、ジュラルが緊張に堪えきれないから次回に持ち越したいだよね」


「そうだ。何が悪い!」


「私の時は全く緊張してなかったわよね!」


「それは幼馴染で小さい頃から側に居て、ナージャの性格もわかっていたから緊張するのが馬鹿らしくなったからだよ」


「私の性格が悪いとでも……?」


 普通はこんなやり取りがされている場にいるなど堪えきれない。


 しかしナージャは満面の笑みで言っているのだ。完全に面白がっている。


「ナージャの性格が悪いなんて思っていない。

ナージャは親しい者に対して面白がっておちょくるのが好きな性格だとか、腹黒い性格だなんて思ってない」


 腹黒い人が性格が悪いというのは必ずし同義ではないので確かに王太子殿下はナージャの性格が悪いとは言ってませんね。ブフゥ……


「ジュラル!!」


 ナージャは今までのやり取りと同じく笑顔ですが目が目が笑っておりません。お怒りモードです。


 ここは私が話題を変えるしかない!!


「ナージャ。落ち着いてね。王太子殿下の話というのはってことですよね?」


「!!……」


「……ミリス……貴女……」


 王太子殿下は驚かれた顔をなされている。

 ナージャは呆れできるような顔をして私の名を呼びました。


 話題を変えようとして私なにかやらかしてしまったみたいです。


「ミリス嬢は……私が何を言おうとしているのか知っていたと言うことでよいか?」


「!!」


 おお……!!完全に私やらかしちゃいましたね。


 それはナージャに呆れた顔で見られますよ。


「ジュラル。緊張は解けたわね。ミリス。それで返……」「ナージャ。それは私に言わせて欲しい」


 王太子殿下がナージャの言葉に全て言われる前に被せるようにそう言った。


「ミリス嬢。緊張していたのが馬鹿らしくなるくらいな展開になっているが返事を聞かせてくれないか」


 王太子殿下が真剣な眼差しで言ってきた。


「……ジュラルディン殿下。末永くよろしくお願いします」


「ありがとう。ミリス嬢」


「ジュラル。第2王妃になってくれたんだから敬称付けずに呼び捨てで良いのではなくって。

それからミリス。そこは真面目に返事する前に断ることはできますか?断ることはできず、もし断ったりしたら身の危険がとかですか?

まあ、私は強いので返り討ちにしますけどねとか言わないと」


「ナージャ。君は……」


「ナージャ。私も一瞬思ったけど真剣な眼差しだったから流石に可哀想に思って……」


「ミリス。君まで……」


 王太子殿下は、ショックで気を落とされたのか肩を窄め視線を下に向けしょんぼりされてしまわれた。


「可愛い」


 私は不敬ではある心中でそう思ってしまった。


「!!」


「ミリス。貴女……」


「??」


 私は2人から向けられる視線の意味がわからなかった。


「ジュラル。一瞬過ったけど真剣だったからと気遣われ、ジュラルかまショックでしょんぼりしている姿を見て15歳年下のミリスから可愛いと言われた感想は?」


「!!」


 私は心中だけで言ったつもりだったのに口に出していたようだ。


「悪くない」


「ああ……そうなんですね」


 王太子殿下の言葉に笑顔が消え無表情でそう言ったミナージャ。

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