ホールを駆け抜けるバッファロー
もちっぱち
全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ
今日もいつものように遊んでいた。
幼稚園に通うゆうくんは、
積み木で遊ぶのが大好き。
今日はどこまで積み上げられるかな。
1人黙々と大きなブロック積み木を重ねて
高いタワーを作った。
「やったぁー。できた。」
すると、名前もしらない前髪の長い男の子が突然、その高いタワーに体当たりした。
もちろんのこと、ゆうくんが作ったタワーは崩れていった。
「えーーー、せっかく作ったのに。」
悔しかった。
何も悪いことしてないのに突然ドンってぶつかって倒された。
ゆうくんは泣きそうになる。
前髪の長い男の子はどうだ強いだろっと言ったような顔をした。
鼻に人差し指を横にしてこすっていた。
そうかと思ったら、遠くにあるもう一つの
積み木ブロックのコーナーに
移動してタワーを作りに行っている。
「ちくしょう、せっかく作ったタワーが
台無しじゃないか。
また作り直さなくちゃいけないな。」
ゆうくんはもやもやした気持ちで
いっぱいになった。
すると、突然、ホールの上の方にある
窓からたくさんのバッファローが
おりてきた。
そう、全てを破壊しながら、
突き進んでくるのは
バッファローの群れだった。
あらゆるものがなぎ倒されていく。
掃除をしていた用務員さんや、
同じひまわり組のたっくんや、
しゅうくんもバッファローの群れに
巻き込まれて端に避けていく。
圧倒されたゆうくんは、
ぼーっと立っていたら、
ひまわり組のみんなが周りを
キョロキョロして
どうして体が端によけられて
しまったんだろうと不思議に感じた。
みんな、けがはしていないようだ。
ゆうくんにはバッファローの群れが見えて、
他のみんなには見えていないようだった。
「やったー。
大きなタワー作れたぞ!」
ホールで前髪の長いさっきゆうくんの
積み木を倒した男の子が
大きな積み木を天井高く積み上げていた。
ゆうくんは不機嫌そうな顔で下を向いた。
そうこうしているうちに男の子が
積み上げた大きなタワーがバッファローの
群れに豪快にそれは大きな音を立てて
崩れていった。
「あ、あ、あーーー。なんで、なんで?!
倒れるの!せっかく積み上げたのに…
強い風でも吹いたのかな。」
ゆうくんはその様子を見て、
笑顔を取り戻した。
同じ気持ち味わってるなと
ガッツポーズした。
バッファローの群れは
ホールの壁に向かって走り抜けていく。
壁にぶつかって壊すのかと思ったら、
ふにゃんと虹色の空間に
吸い込まれていく。
ゆうくんは目をこすって
確かめたらそこには何もなかった。
ゆうくんは
不思議なことも起こるんだなと思いながら
また積み木を最後まで積み上げて
自分の手で倒して、片付けた。
満足した顔をして部屋に戻った。
今日のお弁当には
からあげ入っていたかな。
【おしまい】
ホールを駆け抜けるバッファロー もちっぱち @mochippachi
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