第39話 王都

「こちらです、シンジ様」

「その、シンジ様っていうのやめてくれないかな? それに場所ならわかるから大丈夫だよ」



 外出したいとクリムゾン田中さんに伝えるとあっさりと許可は出た。ただしのその条件だったのが彼女だ。

 銀色の髪に血の様に真っ赤な瞳、そして、豊かな胸元がまぶしいローブをみにまとった美女である。

 年齢は二十歳前後にみえる。そう、見えるのというのは彼女が人ではないからだ。



「申し訳ありません、あなた様も田中様と同じチー牛だと聞いています。そして同じように敬意を持って接しろと命じられておりますので……」

「エリザベートさんも大変だね……」

「そんなことありませんよ。あの人のお役にたてることが私の生きがいですので……」


 俺に対するときは無表情だけど、田中さんの名前が出たときだけやたらと目をキラキラとさせながらそういった。


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■キャラクター/エリザベート=ノクターン


 クリムゾン田中によってその命を救われた吸血鬼。かつては人間を見下していたが命を救ってくれた彼に心酔しており、命令は絶対と考えている。

 クリムゾン田中とよく一緒にいるやたらとフリフリとした服を好む女性との関係がきになっているが聞き出せないでいる。


ユニークスキル

『?????』


コモンスキル

 

 血液魔法レベル7

 気配遮断

 料理レベル-5

 変化

 状態異常耐性

 夜の眷属(夜になると身体能力が向上)

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 こっそり、異世界ウィキで調べたところこんな感じだ。ちなみに吸血鬼のランクはAランクであり、『世界樹』と同等である。これだけで田中さんのチートスキルのやばさがわかる。

 俺の異世界ウィキも育てば同じくらい有用になるのだろうか……



「それで、シンジ様、まずはどこにいかれますか? ここは王都です。なんでもありますよ」

「そうだね……じゃあ、冒険者ギルドに連れてってもらっても良いかな?」



 本当は異世界ウィキを使えば一発だけど、黙ってエリザベートさんについていくことにする。

 田中さんは友好的ではあったけど、何を考えているかわからないからね。まだ、俺のスキルを教えるべきかどうか悩ましい。



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【冒険者ギルド】


 冒険者たちは集う集会。冒険者のランクは上から『チー牛、A、B、C、D、E』となっている。

 王都アルカディアでは貴族たちが多いこともあり、強い冒険者たちが集まっている。主な任務は貴族の護衛やダンジョン探索である。

 時々だがクリムゾン田中が稽古をつけに来てくれるため、それ目当てで訪れる人も多い。


〇さすがは王都だぜ……つわものが多い……

●クリムゾン田中さんにファンサしてもらっちゃった。ラッキー。

〇貴族の仕事はしがらみがおおくてめんどくさいなぁ……

●冒険者ギルドに出会いを求めるのはまちがいだろうか?


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 クリムゾン田中さんむっちゃ慕われてそうだな……。そう思いながら扉をあけると、冒険者たちの視線が集中する。

 値踏みするような目線にグロリアと冒険者ギルドに行ったことを思いだして少し懐かしくなった時だった。

 背後からすさまじいプレッシャーが放たれ冒険者たちの間に緊張が走った。



「エリザベートさん?」

「あなたはクリムゾン田中様と同様の扱いをするように言われています。それなのにこのような舐めた真似をしたやからをしつけただけですよ」


 さすがはAランクの魔物である。ここにいる冒険者たちは凄腕のはずなのに……そして、予想外のことがおきてしまった。



「あいつ弱そうだけどあんなに強そうな女性を連れているのか……」

「どっかの貴族か? いや、でもあれはDランクの冒険者だぞ」

「すごいスキルを持っているんじゃないか?」


 なんか変な注目を浴びてしまったので逃げるように受付にいき依頼をする。



「冒険者ギルドを通して連絡をしていただきたいのですが、Bランク冒険者のグロリアにシンジは無事で王都にいると伝えていただけますか?」

「伝言サービスのご利用ですね、お任せください。グロリア様が冒険者ギルドに立ち寄ったときにお伝えいたしますね」


 これでとりあえずは連絡がつくはずだ。俺が街に戻るよりも彼女がこっちに来てくれた方が早いだろうし、行き違いになったら大変だからね。

 受付嬢にお礼を言ってエリザベートさんの方へと戻る。



「シンジ様用は済んだようですね。このあとはいかがされますか?」

「そうだなぁ……何かおもしろい博物館とか図書館とかがいいかも」



 俺のスキルは色々探索することで強化され、知識を得れば意外な情報も手に入る。グロリアと合流する前に少しでもこの世界の情報を集めておこうと思ったのだ。


「では……チー牛博物館はいかがでしょうか?」

「は?」



 予想外の施設に俺は思わず間の抜けた声をあげるのだった。




新連載です。

よろしくお願いします。


巨乳好きの俺が転生したのは貧乳優遇異世界でした〜俺だけ巨乳好きな異世界で、虐げられていた巨乳美少女達を救っていたら求愛されまくるようになった件


https://kakuyomu.jp/works/16818093075826685289

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