第14話 討伐成功

「これは……スライムの粘液だ!! なんでかわからないけどチャンスだ!!」

「ああ、今の私たちにはむしろ心地よいな!!」


 突如ふってきたねばねば……スライムの粘液のおかげでイビルスパイダーの動きが鈍くなっていく。その反面俺たちには『スライム体液耐性』があるため影響はない。

 おまけに傷口に酸性のスライムの粘液がはいることによりダメージが増していったのか徐々に動きが鈍くなっていき……一瞬輝くとドロップアイテムである巨大な外殻と糸がおちていた。


「やったか……」

「ああ、だけど、そのセリフはあんまり言わない方がよいと思う」

「……?」


 フラグという概念がないからキョトンとしているグロリア。まあ、アイテム落としたし、完全に死んだし復活することはないだろう。

 それに……新しいスキルも覚えたようだ。


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『ジャイアントキリング』


習得条件:一定以上格上の相手を倒すと覚える。

効果:格上の相手と戦った時にステータスアップ。および高揚状態になる。

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 そして、ドロップアイテムを拾った俺たちはグロリアの浮遊魔法で落とし穴から脱出する。


「あ、イザベラさんだ。もう戻るから安心してねー」

「ひぃっ!?」


 こちらを心配してくれたのか、落とし穴をのぞきこんでいた彼女を安心させるべく手を振ると、なぜか彼女は変な声をあげてそのままのけぞるように倒れてしまった。

 緊張の糸がほどけてしまったのだろうか?



「イザベラさん、大丈夫?」



 あわてて駆け寄るとが返事はない、ただの屍のようだ。まあ、冗談だけど。



「気を失っているだけだな……とりあえず彼女は商人のようだ。おそらく、荷を運ぶための馬車があるだろうから、そこまで連れて行ってやろう」

「そうだね。念のために手紙を置いておこう。『困ったときはちからになるから気軽にいつでも相談してね』とこれでいいかな?」


 手紙に自分のいる宿の名前と共にメッセージをかいておいておく。



「それにしてもなんでこんなところにヌシがいたんだろ? 異世界ウィキでも奥に住んでいるってあったのに……」

「さあな……一応冒険者ギルドには報告しておこう」



 そして、俺が意識を失っているイザベラさんを抱き起そうとした時だった。



「ちょっと待った、わたしがやろう」



  なぜか、グロリアが手で制止して、そのまま持ち上げるとシルフィードに再度のせた。

 ああ、確かに緊急事態とはいえ男性がさわるのはまずかったかもしれない。



「その……深い意味はないんだが、この女性とは結構親しいのか?」

「え?」



 そうぼそりと問うてきたグロリアの表情はこちらからは見えない。



「いや、アイテムを買ってもらっただけだよ。この世界に来て一番親しくなったのはグロリアだよ」

「ふふ、私が一番か……なんでもない。変なことを聞いたな」



 長い耳をぴくぴくと動かしながらなぜか満足そうに笑う彼女と共に森をあとにする。そして、俺は一つ疑問に残った。異世界ウィキではこの森にはもう一種類魔物がいるようなのだ。

 だけど、一回も遭遇しなかったと……奥には何かあるのかもしれないなと……

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