第13話

「リアムさんお待ちしてました」


「敬語は辞めてくれませんか中佐、今の私はあなたの部下なのですから」


 リアムが中佐と呼ぶシンシア・ルル・スティングはまだ幼さのこる少女のようだった。


 実際にリアムより若く、細身の体に、整った顔立ち大きな碧い瞳は澄んでいた、まっすぐに伸びた髪の色は彼女がエトアニア人だということを証明する煌びやかな赤色だ。


「わかりました、中尉大事な話があります。ここではできないので外にでましょう」


「ドライブに付き合えということですね」


 リアムが運転する軍用のサイドカーは舗装がされていない固い土の上をがたがた音をあげながら走っていた。


 シンシアは、側車から景色を眺めていた。ジャガイモ畑を越えてから五キロほど走ったところで、リアムはスピードを落とした。横を向いてシンシアに話しかけた。


「話とはやはりヴィンズ大佐のことですか?」


「いえ」


「ではセントラルのデモ抑制部隊の編成の件ですか? あれはまだ……」


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