第2話 適性属性との向き合い方

王都から来た無属性魔術師が屋敷から出た後、父から


「三属性だったか、良かったな、カール。基本属性

が3個あるとは良い方じゃないか」


この言葉の様に基本属性に三個適性があるだけでも凄い方であり、

全ての基本属性を持つものが現れたのならそれは化け物といっても

良いだろう


そんな三属性に適性を持つ本人であるが、

カールは自分の適性属性を調べる時、もしも適性が無いと言われたら...と少し心配していたのだが、自身には“氷”を主として“風”と“無”に適性が有ると言われ、安堵していた。


無属性魔術師の人が帰った後、カールは、適性属性を調べる際に使われた

という無属性魔術や、自身の適性である“氷”や“風”の事を

魔術書では読みはしたが、もっと知りたいと思った。その後父に


「父様!もう僕の適性は分かったので魔術についてもっと調べても

良いですよね?」


これに対し父は


「ああ良いぞ。頑張りなさい。しかしお前の魔力量は膨大である故、独学よりも

家庭教師等を付けた方が効率がいいだろう?此方の方で人を手配しておくぞ」


その言葉に対し頷いてはいたが、内心の方は

カールはこれから学んでいく魔術に対して嬉しさや期待感が収まらない

という感じであった


少し話は戻るが、適性属性を調べるために来た魔術師と会った時や

鑑定魔術を使用された際、何故魔力量の事を言われなかったのか、

これにはちゃんとした理由がある。

カールは物心着いた頃から自身の中にある魔力の事を知覚し、限界まで

隠蔽していたのである。これがの人間ならまず物心ついた時

に隠蔽などできず、出来たとしても、肝心の隠蔽の精密さが足りずバレる。

だがカールはこれをやってのけた。カール自身も今はあまり分かっていないが、

の多さ等というものを超える

を持っている。まさに天才怪物

と言うのが相応しい人物である



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ただその才能故の悲劇が起こってしまう事は、まだ誰も知らない...

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今カールが家庭教師が来るまでにこっそりしている事とは、魔術書

に記されている氷柱アイスピラーなどの基礎的な魔術を発動し、精度を高めていく事...

であるのだが、この天才怪物は当然の様に一発でこなすため

時間は掛かっていなかった。因みにであるが、魔術は基礎な術に関してはもしくはが発動手段となっている。

《詠唱》は発動しやすく威力が高くなる代わりに発動にがかかり、逆には詠唱するより発動が難しく威力が少し低くなる代わりに発動までの時間がかからないという様になっている。

を応用したは威力や規模が爆発的に上がる代わりに、求められる魔力量やその制御が格段に難しくなり、更には魔法陣を要する。

それによってを使えるほぼ全ての人がをする訳なのだが、極々稀に、で放つ者も居る。この様な者を人々は大魔術師グレイトマジシャンと呼ぶ



魔術、これに関しては魔術に無限の可能性を与える代償として

で放つ事は不可能となっている。ただその代償による恩恵は中々

大きく適性のあるものなら、その魔術の形のというものが無くなる。

だが、その可能性の為か、求められる魔力量やその制御は応用魔術を遥かに超える他、しっかり魔法陣も要る。


更には詠唱文字マジックレターの内容や魔術名によって効果も大きく変わる



〜〜〜〜

適性属性を調べて1週間 あろう事か、カールは基礎魔術を全て覚えてしまっていた。


「こっから如何しようかな...父様から貰った魔術本は基礎だけだからもうやる事ないし...そうだ!オリジナル魔術を作ってみよう!」



そんな事をカールが考えてから更にもう1週間が過ぎていた。

適性検査から計2週間過ぎた為、もう家庭教師が来る頃合いであった。


カール自身は応用魔術を何とか学ばせてもらおう。

だったり、作ったを皆んなに見せたいな

と思っている。


だが、僅か5歳でオリジナル魔術を作ろうというものなど居ないだろう



それから更に1日が経った後、家族と使用人が屋敷で待っている中、

遂に家庭教師が来た。


「初めまして。御子息様の魔術を指導させて頂く上位魔術師ハイマジシャン

フロリーナ・アベンドと申します」



そう言ったのは二十代後半に見える黒髪黒目の綺麗な女性であった。

だが、カールにとっては、自身も兄達の様に人から学べる事への嬉しさや、

魔術へと思考が傾いていた為、余り聞いていなかった。

それにより、教えてもらうフロリーナ・アベンドからの初対面での印象が悪め

であったのは説明する迄も無いだろう。


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屋敷の大きな庭にて魔術の授業と実習が始まった。


「まず、基礎魔術というのは...『こうですよね?』え?」


「...他にできるものは...ありますか?」


「自分の適性なら全部使えます」


フロリーナ・アベンドはその言葉を聞いた時、疑ってしかいなかったのだが、実際に三属性の全ての基礎魔術を見せられた為、信じる。という事しか出来なかった



魔術師には修めている魔術により階級が変わる。基礎魔術が使えれば下級魔術師、基礎魔術がほぼ出来れば中級魔術師、基礎魔術が完璧で応用魔術が少し出来るのが上級魔術師、そして基礎魔術の他、応用魔術を無詠唱で行えるのが大魔術師となっている。因みにだがオリジナル魔術を作るのは上位魔術師や大魔術師の様な実力者であったとしても、がするには中々に困難である

そして、フロリーナ・アベンドは20代後半にて上級魔術師まで上り詰めている

いわばエリートである。そんな彼女には当然、自身への才能への自信や、プライド

があったのだが、カールに会ってしまった事でそれが狂い、当主の方へ


「何なんですか!あの子...私が苦労して覚えたものを最初っからできて...

なら私じゃ無くても他の人からか独学で覚えさせても良いじゃないですか!」


声を荒げそう言ってしまった。あの天才怪物に対して

そして不運な事に、先程の言葉がたまたま執務室の近くを通りかかった


カールは、今まで自分も魔術を身内にすら余り見せていなかった。これは没頭

していたからであるのだが、今回はそれが凶となり、家庭教師が5歳の子供に

嫉妬と妬み等の負の感情を持ってしまい、それが本人にも伝わってしまった。



それにより、身内以外に魔術を見せると怒らせてしまうとカール自身が

考えてしまい、

翌日以降は時々魔術について触れる程度で、以前の様な魔術への熱は


その後、カールは魔術書の次に興味のあった冒険譚をもう一度読み漁ったが、

結局は自身が魔術を使う事になると感じ、自身も冒険者になろうかと思っていた

思考を放棄した。




天才というのはいつの時代も何かを成したりするが、本当の天才怪物は、

自分以外の人すら狂わせ、牙を向く。まだまだ幼いカールは、果たしてそれに耐える事が出来るのか。そして、その要因の一つとなった魔術に対して今後如何

向き合っていくのか—————






——————————

天才って設定付け足した事何気に後悔してます。

後、今の所魔術に関する事以外描けていないため、3話からは主人公ことカールの

子爵の子供としての生活諸々を描こうかと思います










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