第4話 アリサ・ラプリワール
「あれ…ってなんだよ……?!」
将星の目線の方向に視線を向けると体の特徴と服装からして若い女性と思われる人間が後ろ手にされ縄で縛られている。
が、なんだか全体的に艶かしい縛り方だ。口には猿轡と目には目隠しの布を巻かれ身動きが取れない状態で置き去りにされていたのだ。
「とりあえず縄をほどいてあげよう」
女性に近づくと意識はあるのがわかった。
こちらが近づくことに気づいているが、女性は目隠しをされているので警戒しているようだ。
目隠しと猿轡を外して話しかける
「落ち着いて下さい。もう緑色のやつらはいません。今縄を外しますから。」
縄はきつく縛ってあり解くのが難しい、さらに縛られているのは女性だ。親密でなければ触れてはいけない部分も触れなければうまく縄を解けない。
女性の顔をふと見ると恥ずかしさだろうか恐怖だろうか顔を赤らめて涙が浮かべている。
ようやく縄が解けた。
「あ、あ、あ、ありがとうございます。」
今まで置かれていた状況から解放されたことを理解して彼女は安堵しているようだ。
「怪我はありませんか?どこか痛いところは?」
「えぇ、大丈夫です。命を助けていただき本当にありがとうございました。」
彼女は立ち上がり涙を拭っている。
「さっきのヤツらはいったい…?」
「ご存知ないですか?あれはゴブリンです。人間を見つけると集団で捕まえて連れて帰り首輪を付けて労働力として使役したり、…あの、他にも人間にいろいろ酷いことをしてもてあそぶ怪物です。あのままでしたらきっと酷い目に会っていました。」
「それは危ないところでしたね…」
先程の縄の縛り方を見る限り、ゴブリンに捕まってしまった女性は陵辱の限りを尽くされるのではないかと想像してしまう。
「申し遅れました。私はアリサ、
アリサ・ラプリワールです。…えーっと、お二人はこのあたりの方ではなさそうですね」
「ええ、俺は紫藤平次、こっちが大神将星です。」
将星は軽く会釈する
「すみません、アリサさん大変な目に会った直後で申し訳ないですが、お察しの通り、我々この辺りのものでなく迷っていまして…いくつか聞きたいことがあります。お時間大丈夫ですか?」
「えぇ、命を助けていただいたわけですし、私でご協力できそうなことがあればなんですが…ただ、ゴブリンに捕まってしまっていたので早く街に戻らないと、このあと予定があるんです。」
「街があるんですか!??良かった、一緒に付いて行ってもいいですか?」
「えぇ、では街へ向かいましょう。こちらです。」
歩き出すアリサに俺と将星はついていく。
しかし、今まで置かれていた状況を鑑みると普通なら冷静ではいられないはずだ、すぐに会話して街に戻ろうとするのはこのアリサのメンタルが強いのか、それとも危険な状況が日常的で慣れているのか?
何気ないアリサの挙動一つですら、この先の道のりが平穏であることを願わずにいられなかった。
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