文章を書くのが苦手な物書きのあゆみ
山川陽実子
第1話
とある物書きの文章に関する黒歴史
黒歴史コンテスト。応募しようと思いましたが、実生活上の黒歴史は到底インターネットの波に放出できるようなものはありません。ということで、市川先生にならって文章に関する黒歴史を放出することにしました。
1.作文の原風景(小学校時代)
確か小学1年生か2年生の時のことです。私が覚えている文章に関する最古の歴史は黒でした。
どのようなお題が出たのかは忘れましたが、私は両親の夫婦喧嘩について書きました。先生に「よく書けたねえ!」と誉められました。
帰宅してから母にめっちゃ怒られました。
2.詩との出会い(小学校時代)
小学4年生の時のことです。国語の授業で「詩を作りましょう」というものがありました。長いものではありません。一言の詩です。先生は言いました。
「では、このチョークの詩を作って見ましょう。チョークを見て感じたことを書けばいいんだよ」
お友達たちは「チョークは小人さんのおうち」「チョークはえんとつ」等の詩を作りました。私は「書くたびに粉が落ちて面白い」という詩を作りました。
「感じたことを書くだけでは詩にはならないよ」
あの時の先生にそう伝えたいです。
3.たまには勝利する(中学校時代)
中学校の卒業文集のお話です。
「なんでも好きなことを書いていいですよ」そう言われました。特に書くことが思い付きません。「好きな言葉とかでもいいよ」と先生に言われました。それならば、と、私は幼少期に親戚のおうちで見掛けたのれんに書いてあった言葉を書きました。
「四十、五十は洟垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十で迎えがきたら百まで待てと追い返せ。とてもいい言葉だと思います」
(今ググったら渋沢栄一の名言でした。今の今まで知らなかったです)
こうして私は卒業文集の原稿を無事に提出することができました。が、クラスに一人書き直しを命じられた子がいました。私は文章で珍しく他の人に勝ちました。
その子は、自分のうちのお店の宣伝を書いたそうです。
4.進むべき道(高校時代)
大学入試の時のことです。作文、読書感想文、小論文等に苦手意識のある私ですが、国語(特に古典)が好きなので、国語系の学部を志望していました。(身バレ防止の為、ふわっと書いてます)
推薦を受けるにあたって、志望動機の提出を求められました。私は書いて担任の先生に添削をお願いしました。先生は言いました。
「ごめん……。どこを直していいのかわからない」
私は初めから書き直しを命じられました。見かねた母(中卒)が「こんな感じでどうか」と試しに書いてくれました。私はそれをそのまま先生に見せました。
「すごい! よく書けたねえ!」
ほっとしました。
5.続、進むべき道(大学時代)
私は大学時代コンビニでバイトをしていました。楽しかったです。「私、この仕事向いてるかも!」と、コミュ障なのに思ってしまった為、小売業を中心に就職活動をしていました。中でも、本が好きなので本屋さんが第一希望でした。
そんな第一希望の書店で、私は書類や面接を突破しました。そして次は小論文でした。
私の学部を知っている採用担当者さんは言いました。
「山川さん(仮名)は得意だから大丈夫でしょう」
落ちました。
6.コミュ障が加速する(二十代)
私はとある小説のシリーズにハマりました。その頃私は少し遅ればせながらいんたーねっとというものに初めて触れ、その小説を書いている作家さんのブログにもよく通っていました。
感想を伝えるとたまにお返事がもらえます。昔では考えられないことです。だから距離感を失敗したのです。
とあるキャラに対する暑苦しい自己解釈押し付け感想を送ってしまったのです。
半ギレされました。
いんたーねっとのお付き合いって難しいですね、と思ったものの、元々リアルのお付き合いが下手だからだろ、と今書きながら気づきました。気づくの遅いですね。
7.その自信はどこから(アラサー時代)
こんな「あたしゃ文章書くの苦手だよ」と認識している人間なのに、小学生の頃からお話書いてました。妄想好きなんですね。
アラサーのある日「そうだ、小説家になろう」と思いたちました。それまで思ったことがなかったのは「人気商売みたいな不安定な仕事はやだよ」と思っていた安定志向の子供だったからです。それがこの年頃になると「小説だけで食べていけるのは小説家の中でもごく一部!」ということを知り「そうか、みんな小説だけで食べてるわけじゃないのか。……目指すか!」となりました。
当時大好きだったコバルトに応募することにしました。応募要項にそった原稿を書き始めました。絶対にデビューできると思っていたので、レシートも取っておいていました(確定申告の為)。
一次落ちでした。
8.その後の山川さん
それから20年近くが経ちました。今でも文章に対する苦手意識はありますが、投稿サイトを利用するようになると変化がありました。読んでくださった方からの反応があるからです。
「あれ? 私、文章うまくね?」とたまには誤解したりして楽しめるようになりました。
めでたし、めでたし。
文章を書くのが苦手な物書きのあゆみ 山川陽実子 @kamesanpo
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