第73話
俺たちのパーティは王都を拠点に活動をしていてもうかなりクエストもこなしたからかNPC達とも顔見知りが増えてきた。
「そういえばイオリさん達のパーティに招待状が届いて居ましたよ、王都の研究所からです」
「研究所......ですか」
「はい、不浄の地についてと書かれていますね」
今日はパーティメンバーが俺しかいないのだが重要そうなクエストが来たみたいだ。
こういうのはできるだけ人数が揃っている時に進めたいし招待状だけ貰っておこう。
あとはノイマンさんにこのことを伝えておこうか、明らかなイベントフラグだし。
「お、イベントの告知か......」
初心者島が開催されてからかなり時間が立っているので時期的には何もおかしくない。
そして開催されるイベントはPvPコンテンツだ。
「マジかよ、すげぇ面白そう」
団体戦と個人戦両方が行われ、終了時一定のレートを保っていた人は後日行われるトーナメントに出場できるというものだ。
パーティ戦についてはみんなと相談だが個人戦は確実に出たい。
色んな強い人と戦えるなら渋る理由なんてないだろう。
「それならそれで新しいアーツも習得しないと......やることが山積みだな」
最近はずっとパーティメンバーの誰かが近くにいたので久しぶりに1人でセトラを遊ぶ。
案外やることがパッと見つからなく、少し寂しさも感じるがこれはこれで良い時間だ。
「そういえば近くに英雄の遺跡があるって現地人が言ってた気がするな......」
もしアヤのようなアーツを教えてくれるようなタイプなら他と差をつけるいい機会になるだろう。
「そうと決まれば早速行くか」
回復系を店で買い揃え、準備が整ったら黒連に跨り地図を見ながら手探りで探す。
「どこだよ......」
なかなか見つからない英雄の遺跡を探しつつ探索を進めていく。
森の中を進んでいくと木々に囲まれた遺跡を見つけた。
「どおりで見つからないわけだ」
100年の歳月が経ったせいか木々に覆われて遺跡らしきものは蔦に覆われて注意して見ていなければ見落としてしまいそうな程に自然に溶け込んでいた。
「よしっ、行くか」
入口辺りの蔦を切って取り除く。
階段状になっている遺跡は降りると薄暗い空間が広がっているだけで敵も見えなければ英雄も居ない。
「もしかして違ったか?」
「ぁ、あのぉ、何か用でしょうか」
「え?」
「ふぇ?」
「えっと、ここの遺跡の主さんですか?」
「い、一応......そうですけど」
目の前にはオドオドとした女性がこちらの様子を伺うように少し離れたところから顔を出している。
その雰囲気からは英雄なのか疑ってしまうほどにはよわよわしく邪神戦争でどう戦ったのか凄く気になるひとだった。
「あ、えっと、アーツを学びに来たんですよね......私が教えれるのといえば魔法系が多いんですが剣士のあなたには......こ、これなんてどうでしょうか」
そう言うと、目の前の女性は手を前に突き出し何も無い空間に何か透明なものを作り出す。
「魔力弾の元です、これさえ覚えることが出来れば色々応用が聞きますし使い勝手がいいと思いますよ?」
「え、こんな簡単に教えて貰えるんですか?」
「わ、私は専門以外はサクッと教えようって決めてますから、これなら見極めなくてもそこまで問題にならないと思いますし、是非頑張って世界を救ってあげてください」
どうやら試練がある人とない人、ある遺跡とない遺跡があるらしい。
要は運なのだろうが、まあ応用が効くいい物が手に入ったのでいいだろう。
「あ、最後に名前だけ聞いてもいいですか?」
「あわっ、えっと、シルシアといいます......無属性魔法の使い手で......王都の防衛を担当してました......」
「シルシアさんですね! また仲間を連れて来るかもしれないです! ではまた」
「は、はい、また......」
セナが無属性魔法を使ってたし、また連れてこよう。
マップに印をつけて、魔力弾の応用を色々考えながら王都へ帰還する。
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シルシアちょっとオドオドしてて可愛くて好き。
そのうちまた出す気がする。
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