第65話 アヤのステータス
アヤ Lv40
HP 250/250
MP 50/50
STR 150
VIT 10
INT 10
DEX 150
AGI 120
アヤの最終的なステータスはこうなった。
色々戦いながら考えた結果、完全な脳筋器用戦士と行った感じになった。
本人は満足しているようでガラハの近くで無双を楽しんでいる。
モンスターの首がバッサバッサと飛ぶ姿は見ていて爽快だ。
「可愛ぃぃ」
「はぁ、そろそろ離してあげな」
「新品のお洋服だよ!? 愛でなきゃこの子の親じゃない!!」
「いつの間にか親になってるし……」
セナはアヤのことを本当の子供のように扱っている。
オシャレを一緒に楽しんだり、食べ歩きをしたり、一緒に冒険したりとこの世界ならではの交流の仕方も相まってなかなか信頼を勝ち取れたと思う。
その証拠に今もアヤは俺とセナの間を歩いている、その姿はさながら両親の買い物に着いてきた子供だ。
「ふふっ、楽しいね〜」
相変わらず、あれ以来喋ってくれることはなかったが、ここ一週間で時々、ちょっとした言葉を喋りそうになるのだ。
口を開いては、悩んで閉じる、きっとなにか引っかかっている事があって喋れていないのだろう。
それが恥ずかしさなのか、それとも他の原因なのかは俺には分からない。
これからもゆっくり喋ってくれるようになるのを待とう。
「ふふ、いつかアヤちゃんにママって呼んでもらうんだ〜、もちろんイオリくんはパパね?」
「気が早過ぎないか?」
「予行練習だよっ! アヤちゃんは私たちの娘!」
相手が俺であることに安堵し、そこまで未来を考えてくれていることに心の底から安心できた気がする。
セナは俺に向かってニコッと笑うとまたアヤを愛で始めた。
「……ママ」
「「え?」」
「……パパ」
「「え!?」」
「……」
俺たちの脳は凍りつき思考が停止する。
状況を理解すると同時に、叫びそうになったが慌てて口を塞ぐ、こんなところで叫んだら怪しい目で見られてしまう。
「と、とりあえず宿に戻ろう」
「ママ? イオリくん、ママだって、ふふっ、えへへ」
「アヤ、着いてきてセナが壊れちゃった」
「わ、私なにかやっちゃいましたか?」
「いいや? これはアヤが可愛すぎて固まってるだけだよ」
「……パパはそんなことを軽々しく言うべきじゃありません、ママが悲しみます」
「そ、そうだな」
急に随分と饒舌に喋り始めたアヤを見て驚きながら、何がトリガーだったのか考える。
思い当たる事が無さすぎて、考えても一向に分かりそうにないので、宿に戻ってセナを座らせるとアヤと話すことにした。
「どうして急に喋ってくれるようになったんだ?」
「ずっと、距離感が分からなくて……なんて呼んでいいのか分からないし、私はお2人のなんなのかが分からなくて」
「そうだったのか、アヤ、お前は俺たちの娘だ、誰になんと言われようとこれは変わらない、呼び方は呼びやすい呼び方でいいよ」
「パパとママで……」
「改めて……よろしくな、アヤ」
「はい! パパ!」
「ママ……ママ……ふふっ」
あとはこの幸せトリップしているセナを引き戻すだけだ、頬が緩みきっていて美人顔がふやけきっている。
これも可愛いので写真だけ撮って、セナを何とか呼び戻す。
「おーい、セナ」
「ママ、起きてください」
「はい! ママだよぉ、どうしたのアヤちゃんギューしてほしいの?」
「え? あ、えっと、ぎゅー?」
「可愛っ」
あぁ、心拍が上がりすぎて強制ログアウトさせられてしまった。
アヤが召喚士不在によって戻るまでの少しの間で、気にするなということと少し雑談をした。
「ふぅ、俺もログアウトするか……」
第二陣が来るまで残り2日くらいか……
これであの二人会えるといいんだけど、、、
レティアの頃に見た頼もしい2人の背中を思い出す。
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