第51話 デート
いよいよ、デートの日が来た。
昨日は緊張と心配で着ていく服を何度も確認したりプランを見直したりと落ち着きのない一日を過ごしていた。
「ふぅ、大丈夫」
覚悟を決めて集合の場所まで電車に乗って行くことにする。
集合の時間よりも20分くらい早いが遅れて慌てるよりは幾分かマシだろう。
「戸崎くん!?早くない?」
「え!? そういう長谷川さんこそ」
「わ、私は遅れたら嫌だなって思って早めに出ちゃっただけだから……」
「俺も誘った側が遅れるのは申し訳ないと思って」
ほぼ同時に集合の場所に現れた俺たちはお互い驚きつつもゆっくりと目的地へと足を進める。
なにか話さないとと思いながらも声が出ないほど緊張しており無言の時間が続く。
「「……」」
気まずい、ど、どうする?
誘った側の俺がなにか話さないと……
「服、凄い似合ってて可愛いですね」
「ふぇ!? あ、あ、ありがとう……ございます」
何とか口から出たのは可愛いという感想だった。
本当は出会って直ぐに言うべきもののはずだが緊張でそれどころではなかったのだ。
「今日は、来てくれてありがとう」
「こちらこそ、誘ってくれて嬉しかったから」
会話のキャッチボールは数回で終わり、これが何度も続く。
ゲームだとスラスラ話せるのに現実だと世間話もたどたどしくなってしまう。
このまま本当に告白して大丈夫なのか?
幸せにできるだろうか?
そんな疑問符が頭の中に次々と浮かぶ。
「長谷川さん、ちょっと覚悟決めます、嫌なら言ってください」
「え?」
「瀬奈って呼んでもいいですか?」
「え?」
「ダメですかね?」
「い、い、いいよ? ですよ」
瀬奈と呼ぶと一瞬ゲームの方のセナが見えた気がするのは気のせいだろうか?
そういえば昔はこんなに丁寧な喋り方じゃなかったって言ってた気がする。
「瀬奈、あれ乗らないか?」
「ひゃい!」
呼び方を変えれば少し落ち着くのは積み上げてきたゲームでの信頼の力なのだろうか?
逃げと言われるとそうなのかもしれないが今はその力に頼らせてもらうしかない。
「もしかして、絶叫系苦手だったりするか?」
「す、好きです、だよ?」
「っ!、何その喋り方w」
「なっ、笑ったな! い、伊織くんのせいじゃん! せっかくお淑やかな私だったのに台無し!!」
やっぱり、こっちの方が好きだと感じる。
お淑やかで優雅な瀬奈も好きだけど、こうやって無駄口叩けて笑い合える、そんな明るい
もう迷いはなくなった。
あとはめいいっぱい遊んで、遊んで、最後に告白するだけ……
◇瀬奈
朝から動悸が止まらない。
予定よりも早い時間に家を出て目的地に着くとちょうど戸崎くんが居た。
なんて声をかければ良いのか分からなくて戸惑って
かけてもらった声にも上手く返事を返せなくて
こんな私で良いのかな?
こんな私がもし告白されたら、戸崎くんを楽しませてあげられるのかな?
そんな疑問が私の恋心を覆い隠そうとする。
「長谷川さん、ちょっと覚悟決めます、嫌なら言ってください」
「え?」
「瀬奈って呼んでもいいですか?」
「え?」
「ダメですかね?」
「い、い、いいよ? ですよ」
でも、やっぱりいつも私を笑顔にしてくれて不安を消し去ってくれるのはいつも
「もしかして、絶叫系苦手だったりするか?」
「す、好きです、だよ?」
「っ!、何その喋り方w」
「なっ、笑ったな! い、伊織くんのせいじゃん! せっかくお淑やかな私だったのに台無し!!」
砕けた口調で、本当の私を見つけてくれる。
みんなが私に抱くようなイメージをこの人だけは抱いていない。
清廉潔白でお淑やか、いつも静かで真面目な文武両道ができる天才。
そんな周りのイメージに応えることなんてどうでも良くなるくらいに私はこの人の事が大好きだ。
だから、もし、今日、告白されなくても私の恋は終わらない。
何度でもアタックしてものにして見せる。
だって私は天才でなんでも出来るあなたの相棒なんだから。
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ちょっとなんか納得してないから修正入るかも
修正する時は近況ノートと最新話に告知するので是非作者フォローして待っててください。
つまらなかったらごめんなさい。
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