第50話 埋め合わせのデートの伊織の苦悩
「どうする、どうする……」
そもそもセナは長谷川さんは俺のことが好きなのか?
ゲームの中のイオリが好きなんじゃないのか?
現実の俺はゲームの中のイオリほどカッコよくないし、イケイケしている訳でもない。
考えれば考えるほど自信はなくなり、告白するという選択肢が消えてゆく。
「……でも、こんな曖昧な関係を続けるのか?」
ぬるま湯に浸かっていつかセナの心がイオリから離れたら?
長谷川さんが他の誰かと付き合ったら?
考えるだけで胸が張り裂けそうな程に苦しくなり、涙が出そうになる。
相手が自分を好きかどうかなんて伝えるまで分からないのだ、なら、やるしかない。
「大丈夫、大丈夫だ、自分を信じろイオリ……」
変わらない関係なんてない。
永遠に友達、なんてきっと無理だ。
どこかのタイミングで親友になるかもしれない、知り合いに戻るくらいに疎遠になるかもしれない、険悪になって二度と顔を合わせないかもしれない。
なら、せめて前に進んでやる。
「よしっ」
:長谷川さん、デートの場所なんですけどここってどうですかね? 夜限定の観覧車から見える景色が絶景らしいんですよ
俺が提案したのはバリバリの告白スポットで有名な場所。
俺にはオリジナリティ溢れる告白なんて難しい、でもムードが大事なのは知っているのでそれらしいところを選んでみたのだ。
:はい、大丈夫ですよ、私の予定はこんな感じですけどいつ行きますか?
:じゃあ、明後日の火曜日なんてどうですかね?
:分かりました、楽しみにしてますね
:任せてください
「覚悟は出来た、あとは言葉にするだけ、明後日までの時間が憎い、早く明後日になってくれ……」
告白すると決めてから鳴り止まない俺の心臓を抑えながら明後日に向けての準備を始める。
といっても大したことも出来ないので最低限の身だしなみチェックを繰り返すだけなのだが……
◇長谷川 瀬奈
「こ、ここって、しかも観覧車、夜景……そういうことだよね? 期待していいのかな?」
戸崎くんから提案された場所はデートスポットで有名な場所で、観覧車はカップルの巣窟と言われているとてもキラキラしているところだ。
「ど、どうしよ、みっ、密室で告白されて……、キスとかしちゃったり!?」
「いやいや、戸崎くんは紳士だしそんな事しないよね」
「……して欲しいな、いやいやいや、ダメ! そういうのは付き合ってから……告白されたあとなら良いのかも!?」
混乱する頭がもう付き合ったあとの幸せな暮らしを思い描き始めている。
ずっと一筋で周りの子に重いとかそろそろ別の人も見てみたら? と言われてきたけど私は
「はい、よろしくお願いします、大丈夫、言える」
何度も何度もYesという練習を繰り返し、明日に大学の講義があることを恨む。
この胸の高鳴りをあと1日と少しの間、感じ続けなければいけないなんて……
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作者のヤスミです
あっれ?当初の予定より瀬奈ちゃん重い子になってるくね?
ちょっと激重感情むきだしになってきてるかも……
まあ、それは置いておいて50話ですよ!
100話まであと半分!
まだまだ続きそうですけど、2人の恋愛にはそろそろ終止符打ってやろうかなということで節目は2人両方の視点からデート前のお話を書いてみました。
今悩んでるんですけど、デートも両者の視点を書くか伊織視点で話を進めきってしまうか……
両方の視点が見たいぜって方は♡でも押してってください。
作者のモチベが上がって2人分の視点書いちゃうぜ!
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