第44話 アーツ
「アーツなんて誰でも使えるだろう?誰でもは言い過ぎたかもしれないな、冒険者なら大抵の人間が使えるはずだよ」
「「え?」」
「なんだ、知らなかったのか? どうりでお前たち開拓者はアーツを使わない戦い方をすると思ってたがそういう事か」
頭を殴られたような衝撃がはしる。
俺たちが超重要の新要素だと思っていたものはどうやらいとも簡単に否定されてしまった。
ある意味これは運営からの啓示なのかもしれない、NPCと関わることを必要以上に進めてくるのはこういう現地のNPCしか知らないようなことがこれからもっとたくさんあるかもしれないということだ。
「はぁ、俺たちが使えるようになるにはどうしたらいいんですかね?」
「そうだな、習いたいアーツを持っている人から教わるのが1番だな、自分で作ることはできなくもないがかなりの熟練度を求められるな」
「ギルマス……教えてもらったりって」
「忙しいから却下、私を唸らせる酒のひとつでももってこい」
「ですよね〜」
棚ぼたでのギルマスアーツ狙いは却下されてしまったがこれでアーツ習得の目処がたった。
誰か仲のいい現地人に頼み込んで教えてもらうか、お金を払って教えてもらうなど、色んな選択肢が見えてくる。
「では、また明日待っているぞ」
「はい、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
セナと明日何時集合にするかという予定を立てながらギルドから出て鍛冶屋に向かう。
もちろん武器のメンテもだが、セナの新しい弓を探すのも兼ねている。
和弓というかなり大きめな弓を好んで使うらしく、なかなかしっくりくるのがなくてあちこちの店を見ているらしい。
「「お邪魔しまーす」」
「なんじゃ、お主らか」
「武器のメンテとセナの弓を探しに来ました」
「武器はそこに置いておけ、弓は……ワシの専門じゃないのでな、そこまで力になれんぞ」
「そうなんですか……残念」
武器のメンテついでに色々話を聞いて感じたのはそろそろ開拓者の生産職と繋がりを作った方がいいということだ。
現地人は家もあり定住した街があるので簡単には動けない、そうなった時にプレイヤーの生産職と繋がりがないのは致命的な遅れを引き起こすことになりかねない。
「ふむ、ワシも教えるだけならやってやらんことはないのでな、1人くらい開拓者を連れてきたらどうじゃ?」
「ホントですか?」
「連れてくればワシの技術を叩き込んでやるわい、歳じゃからな技術を抱え持ちするというのは師匠に申し訳が立たん」
誰か生産職1人をこのクエスト出汁に勧誘するしかない、誰か有望そうな鍛冶師を探さないとな。
レイドという特殊クエストが目前だというのにどんどんと新しいクエストが溜まっていく。
悪いことではないのだがなかなかどれから手をつけるべきなのか迷ってしまう。
「「ありがとうございました〜」」
「うむ、また来るといい」
今日の収穫は多すぎると言ってもいいくらいなので市場で回復系のアイテムを買い足してログアウトしようと言う話になった。
「ふぅ、明日はいよいよあのバケモノと戦うのか……勝てる……よな」
今でもあの絶対的な存在感を覚えている。
勝てないと感じる、VRで久しぶりに心から恐怖した感覚。
でも、今度こそ、きっと勝てる、勝たなきゃいけない
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