第35話
「次が来たな」
「だね」
俺たちはもう一度少し離れた木の上で第2波の観察をしていた。
他にもチラホラと近くにプレイヤーが見える。
第1波を倒し終えてそんなに時間が経ってないって言うのにかなりきつい防衛になりそうだ。
「あれは」
「中ボスかな?それともボス?」
「ボスにしては実力が足りないような気がするな」
1つ目の大きな巨人方のモンスター、サイクロプスというのだろうか?
中ボスかボスかは分からないがなかなか厄介な敵になりそうだ。
第2のモンスターの雪崩が始まった。
先程より平均のモンスターのレベルが高いせいか少し押されている場所があるようだ。
しかし、今俺たちが取るべき最前の行動はしっかりと後ろにいる精鋭を討伐して前の負担を減らすこと、運悪く初心者が防衛しているところに強いモンスターが行ってしまえば戦線が崩壊してしまう。
「さっきと同じ方法で行こうか」
「私はここから援護するよ」
セナを木の上に残し、ウルフと鷹が俺に付いてきてくれる。
第1波より敵が強くなっているので撤退を早めに行うそうだ。
フクロウによる回復が送れるのは10分に1回くらい、1度目のフクロウが来たら撤退するくらいがちょうどいい頃合いだと考えながらモンスターの群れに横から突っ込む。
「っ!ぶっねっ!」
殺しきったと思っていたモンスターのHPが1割ほど残っている。
さっきまでなら胴体一発で何とかなっていた敵なのに急所を狙ったクリティカルでないとワンパンができないらしい。
「あぁ、うっざい!」
先程までの無双とは打って変わって、回避を主軸にしながらモンスターの数を減らしていく戦い方にならざる追えない。
ウルフも力尽き、空から援護してくれる鷹と飛んでくるひよこが唯一の救いだ。
「見つけたァ!さっさとその首置いてけや!」
納刀、からの魔法を使った抜刀。
風を纏わせた刀で続けざまに一発、二発とダメージを蓄積させる。
少しHPが残ってしまった。
しかし、俺は雑魚の処理と撤退に全力を注ぐ。
パシュッ!
セナならきっとやってくれる。
そして手強かったモンスターの頭上では突き刺さった矢にくくられていたひよこが鳴き叫びモンスターを集める。
「ふぅ、ナイスセナ」
「任せてよ」
少しモンスターに囲まれて危なかったりと色々あったものの何とか第2派も半分というところまで来ている。
しかし、まだ中ボスであろうモンスターが残っているのだ。
「先制仕掛ける?」
「目まで攻撃が届かないから決定打になる一撃を当てれないと思う」
不意打ちと急所攻撃を合わせればそれなりにダメージが出そうだが背が高いせいで首まで攻撃が届かなさそうなのだ。
「懐かしの魔法が使えるようになったって言ったら?」
「え?」
「チェンジ」
視界がブレたかと思うと俺は木の枝に引っかかっていた。
懐かしいこの感覚は召喚士専用スキルでこれまた扱いが難しく、パーティに迷惑がかかるせいで使いどころが少ない技。
しかし、召喚獣とパーティメンバーの位置を入れ替えることが出来るかなり強い技だ。
色々制約や仕様の難しさのせいで使えこさなせていた召喚士は数人しかいなかったはず。
「よっと、いきなりびっくりするだろ?」
「これがあれば一撃決めてこれるでしょ?」
「そうだな、行こうか」
できるだけ大回りで波の後ろまで行き、セナがヘイトを引いている間にサイクロプスに見つからない位置で納刀した状態で構える。
鷹がヒットアンドアウェイで気を引く。
セナが準備を始める。
俺はこの一撃のために全神経を集中させる。
光虫の眩い光が見えた。
サイクロプスのうろたえる声。
ひよこの鳴く声が聞こえた。
「チェンジ」
ひよこによって気を引く。
目を潰したところに鳴いたひよこと俺をチェンジで入れ替えることによって俺を上空へとほり投げた。
風魔法で空気を圧縮して足場にし、残りのありったけのMPで一太刀を入れる。
パン、バンっ!
足場にした空気の爆ぜる軽い音の次は、抜刀と共に聞こえる重い重い爆ぜる音が戦場に響き渡る。
目に向かって飛んだ俺は目を切り裂きながら進み、サイクロプスの目を潰した。
サイクロプスが悲鳴をあげてのたうち回る。
上空から落ちていった俺だが何とか無傷に着地に成功した。
「イオリ!逃げて!」
「なっ!」
謎の黒い影がサイクロプスの真上に落ち、着地によって出来た風が俺たちを吹き飛ばす。
「きゃっ」
「っ!なんだよあれ!」
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気になるところでまた明日。
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