第31話

「うーーーん」


私は今、猛烈に悩んでいる。

街をぶらぶらと探索していたら、鉄製の矢が売っていたのだ。

しかし、驚くことその値段は!石の矢の5倍の値段。

いくら懐が潤っているからとおいそれと大量に買えるものでも無い。


石の矢+5

鉄の矢+20


バカにできない攻撃力の差があるので今回のイベントで他の弓職と差をつけるためには買っておきたい......


「あの、もしこの矢を石を1000と鉄を500買うってなったら値引きとかって......ありますかね?」

「えぇ!?そんなにかい?」

「はい、買い溜めしようかと思いまして」

「そうだねぇ、じゃあ鉄は値引くには供給が追いついてなくて無理だから、石の矢を半額で持ってきな!在庫は余ってるしね〜」

「ホントですか!じゃあ鉄の矢をもう100本!」

「太っ腹だね、お嬢ちゃん!毎度あり〜」


言ってみるものだな、NPCはなかなか高度な会話ができるらしく値引き交渉にも応じてくれるようだ。

まあ、いくら値引きしてもらったからと言っても結構なお金を消費してしまったのだ。

目的の魔法オーブを買ったらお金がすっからかんになりそうだ。


「すみません、無属性の魔法オーブはありますか?」

「はいはい、あるよ」

「いくらですか?」

「魔法は初めてだろ?」

「そうですね」

「どこで無属性魔法を知ったんだい?」

「色々ですね」

「はぁ、無属性魔法を他の魔法オーブと同じ値段で売ると大赤字になっちまうから40万でどうだい?」

「買います」


私の所持金が消し飛んだ。

しかし、弓を使う私にはそれだけの価値がある魔法なのだ。

この魔法を知ったのは公式サイトから読めるイニティム図書館という項目でイニティムにある本をリアルから読めるのである。


そこで登場したおとぎ話の弓使いは無属性魔法を使い無限の矢を魔物に浴びせたと書いてあった。

無属性魔法にどんなことが出来るのかは知らないが少なくともMPを矢に変換することが出来るのだろうと予想ができたのでその可能性に賭けたのだ。


「やったっ!成功」


矢をつがえずにつるを引き絞りながらMPを消費すると頭の中で考える。

すると白い魔力の矢がつがえられて放たれた矢は的にしていた木を貫き少し離れた場所まで飛んで行った。


「え!?MP消費やば」


70あったMPが一瞬にして30も消えていたのだ。

上手く調整しなければ一気にごっそりとMPが減ってしまうという欠点を抱えているが威力が調節出来る弓矢だと考えるだけでできることの幅が増えるのでさらに強くなれたと実感できた。


「よしっ!レベルも少し上がったし、新しい技もできたっ!これでイオリくんを驚かせるね」


レティアの頃は狂犬の飼い主なんてあだ名をつけられていたけど、実際は彼の隣に立ちたくて必死に走っていただけなのだ。

それに、もう振り回されるだけの飼い主はやめだ、イオリくんの手綱をしっかり握ってセトラを爆走してやる。



セナ Lv27 ステータスポイント70

HP 100/100

MP 70/70

STR 20

VIT 10

INT 40

DEX 100

AGI 50


「ステ振り悩むしまた今度でいいよね、もうちょっとレベリングしてこようかな」



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