第25話 ギルドマスター
「出来ましたよ!訓練頑張ってましたか?」
「あぁ、目標までもう少しってところですかね」
「凄いですね!じゃあこれどうぞ!」
少し濁ったような水?は少し飲むのに抵抗を感じたが口に含んでみるとどこかで飲んだことのある味。
アク〇リだ!!!!
「美味しい」
「やったぁ!」
汗をかいた後のアクエリほど美味しいものはなかなかない。
そもそもVRで汗をかく訳でもないのだから素でこの美味しさということなのか?
それならだいぶ腕が良いみたいだ。
「あら、ミーシャじゃない、そっちは開拓者かな?」
「うぇ!?ぎ、ギルマス!?」
「そんなに驚かなくたっていいじゃないか」
「少し遠くの方まで遠征に言ってたじゃないですか」
「早く終わったんだよ」
ギルマスと聞いてムキムキの男を想像していたのだが出てきたのは華奢にも見えるスラッとした女性で腰には剣を2振りぶら下げている。
「ねぇ、そこの開拓者、練習中なんだろ?模擬戦なんてどうだい?」
「イオリさん!辞めておいた方がいいですよ!!死んじゃいまs」
「ミーシャは黙ってなさい」
「うぐむぅーうぐ」
口を塞がれてジタバタしているミーシャさんは目で必死にやめておけと訴えてくる。
しかし、NPCでしかもかなり強そうな人と戦えるなら挑戦する価値はある。
「お願いします」
「いい返事だ」
「ぷはぁっ、ふぅ、イオリさん!いたぶられて死んじゃいますって!」
「ミーシャ?」
「何も無いでございます!」
この数分でこの2人の関係がなんとなく分かったような気がした。
それより早く模擬戦がしたい!
このワクワクする高揚感を抑えるのは中々に辛い。
早く剣を交えて、戦いたい!
「それじゃあ、私はこれで行こうかな」
「......舐めプですか?」
「いやいや、適切な判断だよ」
2振りの剣を腰にぶら下げていたにもかかわらず。
手に取ったのは木でできた片手剣1本、持ち武器ですらなく舐めプにしか見えないその行為に少し腹が立つ。
「来るといい」
「はっ!」
自慢のスピードで様子見の突きを入れる。
ギルマスが何かをしたと思った次の瞬間には俺は訓練所の天井を見て転がっていた。
「まだだ、立て」
「うっす!」
回復薬をかけられて再び立たされる。
舐めプではなく適切というのは本当らしく全く歯が立たなかった。
次は突きをするフェイントでカウンターを誘いつつさらにカウンターを入れる作戦。
「ぐっ」
何とかギルマスの剣に触れることが出来たものの直ぐに対応されて顎をカチ上げられる。
目の前がクラクラするがかけられた液体のおかげか直ぐに回復した。
「ふぅー」
集中する。
目に見えない攻撃でも予測して攻撃を触ることは出来た。
賭けになるが予測でつまり勘で何とか斬りあうしかない。
「ふっ!」
体をかがめて足元に剣を一閃。
避けられたが次はきっと上から叩きつけてくる。
「うぐっ」
予想は正解、しかし受けるだけでもかなり限界だった。
バランスを崩してしまったらもうお終い。
尻もちをついて倒れた俺の目の前に切っ先が向けられる。
この短い時間でかなりボコボコにされてしまった。
「ふむ、なかなかやるじゃないか」
「太刀打ちできませんでしたけどね」
「そりゃ、当たり前だよ、私に勝てるなら邪神の手先ともう戦えるくらいには強いってことだからね」
「えっ、レベルって」
「100を超えてるってことは教えてあげるよ」
「そりゃ、勝てないわけだ」
レベル100ということは単純にステータスが800ポイント分違うのだ、そこにほかの要素や経験が加わっているのだから勝てるわけが無い。
「まあ、少し手解きしてあげようじゃないか」
「いいんですか」
「帰ってきたばかりでまだ仕事に追われていないからね」
そこからはかなり手加減してもらいながら刀での対人戦闘の訓練をした。
俺のスピードに合わせてくれているのでギリギリの戦いが本当に楽しい。
いつか本気のこの人と戦ってみたい。
「今日はありがとうございました」
「構わないよ、きみがいるなら開拓者が世界を救うってのは案外実現したりするのかもしれないな」
「やるだけのことはやりますよ」
「期待しているよ」
「す、凄かったです......あっ、イオリさん、これおかわり欲しいですか?」
「欲しい!」
「どうぞ」
俺はミーシャさんからア〇エリを貰うと一気に飲み干す。
「ふぅー、美味しい!」
「良かったです......!」
俺はその後、ギルマスとミーシャさんに別れを告げて宿へと向かう。
かなり時間も経ったし1度ログアウトしよう。
刀の熟練度は目標より上がったので次は刀を見せてもらいに行こうかな。
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