第21話 占い師

ピロン♪という軽快な音で私は目を覚ました。

目の前にあの占い師がいることはなくただシステム通知にひとつのアイテムが手に入っていることだけがあの占い師が居たことの証明になるだろう。


「手紙?」


取り出してみれば1枚の紙が出てくる。


《???からの手紙》

私に会えたあなたは幸運よ?誇っていいわ。

運が良ければまた出会うことになるでしょうけど、たまたま伸びしろがありそうな子だからアドバイスよ。

『レベル50までに最高級の素材を用意しなさい、手間がかかっているほどいいわ』

これをクリア出来たならあなたはきっともっと強くなれるわ、なかなか難しいお題ではあるけれど頑張るといいわ。

それじゃ、またどこかで会いましょ。


クエスト『親愛の召喚士』


可能な限り高ランクの素材を集めて????を行う(Bランク以上)


※このクエストは強制です、破棄することはできません。


「なんか凄いイベントを踏んじゃったな」


クエスト名から考えるとこれは召喚士専用のイベント。

運がいいことを強調されてるし本当にランダム出現なのかもしれない。


「Bランクか、できることなら最高ランクを目指したいよね」


とりあえずBを確保したらAやSも狙えそうなら狙ってみたいな。

当初のレベリングとは予定がズレてしまったが少し情報を集めることにする。

冒険者ギルドに戻るとモンスターの一覧が書かれている本や、地図などが見れる、そこでできる限り高ランクな近場のモンスターを探す。


「英雄の遺跡?」

「えっと、セナさんですよね?」

「え?あ、はい」

「良ければお教えしましょうか?今、仕事が無さすぎて暇なんですよね」

「お願いします!」


知っている人に教えて貰える機会を逃すなんてことをする訳には行かない。

英雄の遺跡とは各地にある英雄のお墓らしい。

邪神戦争で命を落とした者やその後に寿命で亡くなった人達のために作られたお墓だったそうだが、気づくと中にはモンスターが発生していてダンジョン化していたらしい。


この街の近くにある英雄の遺跡にはこの街出身の若い女剣士が葬られているらしい。

モンスターが溢れるなんてことは起きないので人々の間では英雄の試練なんだと言う人だって居るそうだ。


「ありがとうございます」

「いえいえ、いい時間つぶしになりました、またのお越しをお待ちしております」

「はい、では」


ギルドの職員さんが見送ってくれたのはいいが正直一人で攻略するのは多分無理だ。

イオリくんが居ても全体的に火力が足りなくなってしまう気がする。


「武器の替え時かな、あの人のところに行こうかな」


イオリくんが紹介してくれた鍛冶屋のおじさん、あの人なら強い弓を見せてくれそうだ。

イオリくんも刀を買いたがってたし、1度パーティの装備が新調された時に提案してみよう。


「転移『イニティム』」


ログアウトする時のような浮遊感の後に私はイニティムの噴水の近くでたっていた。

やはり街と街の間を一瞬で移動できるのは便利だ。

今回は路地裏ではなく普通に正面から入る。

パッと見、正面からだと全然鍛冶屋に見えないのはおじさんの趣味なのだろうか。


「あの〜、すみません」

「ん?嬢ちゃんかどうしたんじゃ」

「弓を新調したくて」

「どんな弓じゃ?」

「出来れば大きめの弓が好きなのでそういうのがあると嬉しいです」

「ふむ、これなんかどうじゃ」


『トレントの大弓』

攻撃力+70 耐久値600


要求ステータス

STR40

DEX90


貫通

矢が弾かれる可能性が少し下がる。


「いいですね、いくらですか?」

「1万でいいぞい、売れ残っておるから早く捌きたいんじゃ」

「あ、なら買います」

「毎度あり、また来ておくれ〜」

「はい、ありがとうございました!」


これで大幅に攻撃力アップだ。

大弓なので少し、連射速度が落ちるかもしれないが問題ない。

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