第12話 ログアウト

「えっと、たしかログアウトする時も体はこの世界に残るから宿がいるんだよな」


この世界ではログアウトをしている間は寝ているという設定らしい。

俺はミーシャさんに予め聞いていた宿屋に向かう。


「ふぅ、ログアウト」


ログインの時にも感じた浮遊感が終わると俺は現実の世界へと戻っていた。

寝たきりだった体をほぐすように少し体を動かす。

一人暮らしの部屋は静かで作り置きをレンジで温めながらスマホで長谷川さんにメッセージを送る。


戸崎:ログイン出来ましたか?俺はできたのでこれフレンドコードです。

戸崎:0157809581

長谷川:ありがとうございます、私も無事ログイン出来ました。


長谷川さんも無事にログインできたようだ。

抽選でとはいえまだグループ20がログインしたくらいだそうだ。

ログアウトするタイミングはまあいい感じのタイミングだっただろう。


長谷川:あの、間違いだったらごめんなさい

長谷川:動画を共有しました

長谷川:これって戸崎くんですか?


送られてきた動画はセトラの動画のようでPvPの映像らしい。

中身を見てみれば俺と大剣の男が戦っているシーンがバッチリと映されていて、見た感じかなり拡散されているようだ。


戸崎:あ〜、俺ですね




返信が無い、既読は付いているので何か向こうであったのだろうか?

レンジからご飯を取り出して動画を見返しながら食べ始める。

思い返してみれば周りにはかなりの人が居て、プレイヤーも居たので拡散されていても不思議では無いだろう。

コメント欄を見ていると、俺がレティアの頃に付けられていた2つ名の名前がチラチラと上がっている。


「これを見てアイツらが気づいてくれるといいんだけど」


長谷川:あ、あの、レティアでもイオリでしたか?

戸崎:そうだけど

長谷川:えづ)よ

戸崎:?


長谷川さんが壊れた……

どうやらこの反応的にレティアの頃に俺を知っていたのか?


長谷川:あ、あの、セナです



戸崎:え?

長谷川:お久しぶりです、イオリくん


セナって言えば、あのセナか?

まてよ、長谷川さんとセナは全く雰囲気も違えばノリも違う気がするんだが……


戸崎:間違いじゃ、ないんだよな?

長谷川:はい、多分

戸崎:全く気づかなかったよ、雰囲気も喋り方も全然違うから

長谷川:そ、それはその、色々思うところがあったんです!

戸崎:じゃあ、とりあえずこのままメッセージで話すのもなんだしセトラで会おうか

長谷川:はい!


反応的に嘘じゃないし、黙そうとしている感じでもない。

もし長谷川さんがレティアのあのセナならまたあのメンバーで揃うことも夢じゃない気がする。

残りの2人は人生勝ち組夫婦だから絶対にセトラをプレイしていると断言できる。


長谷川さんとは明日の朝にセトラで会うことになった。

中央の噴水で待ち合わせということらしい、寝坊だけは避けたいので早く寝るか。



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