第4話 掲示板

【セトラ・オンライン雑談スレ】


 :もうゲームできてるやついいよなぁ

 :俺待機グループ15なんだけど

 :俺は20だぞ、全然いいじゃん!

 :今ちょうど待機グループ10が入ったらしいね

 :セトラのギルド受付嬢、めっちゃくちゃ可愛いんだけど

 :ガタッ

 :(ガタッ!!

 :よし、話を聞こうじゃないか

 :まあ、落ち着けって、これを見ろよ


 掲示板に貼られたのはポニーテールの元気な小さい受付嬢。

 ミーシャだった。

 隠し撮りされたであろうその写真だけでも彼女の魅力は伝わるだろう。


 :ッー

 :カワィィ

 :え、笑顔が眩しい!

 :可哀想なお前らに中継しててやるよ

 :お前!神か!?

 :主神よ

 :別スレ立てろー


 こうして発足されたミーシャたんを見守る会


【ミーシャたんを見守る会】


 :お前ら、あくまでも紳士に見守るんだ、分かったな?

 :もちろんだぜ兄弟

 :任せろブラザー

 :デュフ

 :ミーシャたんの脇ぺろぺろしたい

 :↑アク禁しろ

 :それにしてもホントにNPCなのか?反応とか仕草がガチで人なんだけど

 :やばいよな

 :ここまで再現してるってことはNPCと結婚出来たりするのか?


 セトラの規約を隅から隅まで読んでいる人になら分かる仕様なのだがNPCとの結婚は可能だ。

 セトラはそれにより起こる問題の一切に関与しないと明言されている。


 :ってことはミーシャたんと赤ちゃんを作れるってこと!?

 ※匿名プレイヤーのアクセスを禁止しました

 :優秀

 :ナイス

 :はやっ

 :作り込みすげぇよな、レティアの頃からマジでこだわり感じるわ

 :なんかミーシャちゃん絡まれてね?

 :おい、止めに行けよ!

 スレ主:無理だ、こ、怖くて立てねぇよ

 :無能

 :無能

 :無能

 :改名したら?

 無能主:ごめんなさい

 :謝れてえらい

 :でも、ガチでどうするんだよ

 :誰か助けてやれよ


 映像にはミーシャがひたすら文句を言われているのが流れ続けているだけである。

 誰も助けない、現地の冒険者は出払っている時間帯であり、周りのプレイヤーもレベルを見て怖気ずく。


 :おい、誰か行ったぞ

 :なんかリアルスキンっぽくね?

 :分かる、普通に多分リアルスキンだよな


 リアルスキンとは現実の自分を元に作るアバターのことである。


 :リアルスキンでよく面倒事に首突っ込むよな

 :めちゃくちゃ煽ってるw

 :決闘システム知ってるってことは結構ガチ勢か?

 :レティアからやってる説あるくね?

 :なら結構強いのでは?

 :あんまり関係ないと思うけどVR慣れしてる説はあるな

 :お、始まった、絡んだゴミ男は大剣で6レベルかリアルスキンの子は5レベルで片手剣、一発当たったらやばそうじゃね?初期装備だし

 :結構キツそうだな

 :始まった!

 :え?

 :え?

 :え?

 :ぐ、グロいな

 :手も足も出ないとはこういうことか

 :自分がされたわけじゃないのに首がちょっと痒いんだけど

 :てか、この人どっかで見たことある戦い方なんだよな

 :え、分かる、レティアの狂犬に似てるんだよ、戦ってる時の笑い方とか容赦ない殺し方とか

 :まあ、流石にないだろ

 :こいつめちゃくちゃミーシャたんと仲良くね?

 :う、羨ましい、しかもリアルスキンだから絶対楽しい……俺もリアルスキンにしようかな

 :やめとけ、周りとの顔面偏差値差に泣くだけだぞ

 :もう泣いてるよ……


 セトラのことに飢えている人が多い今、無名がセトラのタグをつけて配信するだけで同接が10人は超えるのだ。

 そんな時にネットに投稿された決闘の切り抜きは多くの反響を呼び拡散されていく。


 そして、彼女の目にも止まることになる。


「これって戸崎くん?え、でもプレイヤーネームはイオリだし、戦い方も……まさか……そんな訳ないよね?」


「もし、イオリくんが戸崎くんなら……ふふ、えへへ」


 1人の少女がセトラの待機中に妄想に思いを馳せる。

 その妄想はきっと現実の物となるだろう。

 彼女の名前は長谷川瀬奈

 偶然に偶然が重なった奇跡が彼ら彼女らを再び集める。

 かつてレティアで最強と言われたパーティはこの動画をきっかけに再集結することになるだろう。




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 作者です

 他に投稿している作品があって、でも書きたくて書いた作品です。

 人気が出ても出なくてもゆっくり投稿していこうかなと思っています。

 人気が出たら投稿頻度が上がると思うので応援よろしくお願いします。

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