成宮ちとせは超能力者である

@sakamiti39

第1能力:成宮ちとせは超能力者である

僕は普通の高校1年生。

今日は友達の成宮ちとせに遊びに誘われたので、のんびり遊んでいる。


スタバでお決まりのドリンクを飲んでいるだけの…至って普通な最近の高校生の休日。

だが、普通ではないことが今目の前にひとつ。


一緒に来ている成宮ちとせの様子が何かおかしい。

いつもなら明るく笑っていて、会話も割と弾むのに、合流してスタバに来るまで、何かずっと考え事をしている感じだ。


思い切って聞いてみる。

「なんかあった?」

もしかしたら、何か悩んでいるのかもしれない。

友人として、やはりそういうのは聞いておかねば。


少し間をあけて、成宮ちとせが言った。

「実はさ、ずっと話そうとおもってたんだけど…」

普段の会話では絶対にしない入り。

相手は笑いそうにもないし、こっちが笑ってもおかしいような雰囲気。


何か重大な事を告白するのかもしれない。

少し緊張する。


一体何だ?重い病気が見つかったとか?

いやそれなら遊んでる余裕なんてないはず…

じゃあなんだ?

いや、深刻そうな感じして意外とくだらないことを言うボケをかましてくるとか?


…考えてもわかりそうにない。


「私実は…」

「…うん」


「超能力者、なんだよね」

「ん?なんて?」

「だから、超能力者」

「は?」

「超能力者なんだ、私」


突然すぎて、脳内でエラーが発生する。

いや、言葉の意味は理解出来たのだが、頭に入ってこない。何だこの現象は。


超能力者?何を言っているんだ、ちとせは。

そんなの2次元だけでの話だろ。

もし本当にあるなら、隠すのだって困難なはず…


「急にごめんね、でも本当なんだよ」


日常生活の中で違和感に気付くはずだ…

そうだ、ありえない。これはただの冗談だ。

一旦深呼吸をして、情報を処理する。

いや、やっぱりありえない。どう考えてもおかしな話だ。冗談じゃないわけが無いんだ。


きっと漫画か何かをみて感化されたか、ドッキリだ。そういうことだ。

その思考を踏まえて…


「えっと、うん。どうした?」

色々考えてみたけど、やっぱりここだよな。

何があったかをハッキリさせておかないと。

ドッキリなのかなんなのか。


「いや、信じられないと思うんだけど、ほんとなんだよね」

本当なわけないだろ。今までこの世に居なかったじゃないか、超能力者なんか。


「え?超能力って、本当に?」

「うん…」

中々ネタバラシをしてくれないな。なんだ?

しかもやけに素直にうん、と答えるな。


「あー、心読めるとか、透視できるとか、温度操れるとか、なんか変なの出せるとか?できるの?」

「えっと、ある程度できるかも」

ちとせが手を見ながらそう言った。

手…?手からドッキリ大成功!みたいな、出すとか。


「…え?まじ?」

「まじ」


あれ、本当なのか?

ずっとネタバラシしないし、嘘をついているようにもあまり見えない…。

いやいや、そんなの口ではなんとだって言える。まずは証拠というものを見せてもらわねば。


「証拠とかある?」

「うん。ちょっとまって」

成宮ちとせが手を僕の方に向ける。

なんか、怖くなってきた。


本当に、超能力者なのか?


ちとせがこちらを見て言う。

「いくよ?」

「…うん」

その眼差しは、至って真剣だ。

ちとせがテーブルの上に手をかざした。

その数秒後。


店内に、パリンという何かが割れたような音が響いた。

机が少し濡れている。


「…」 それを見て、一瞬固まった。


「…ええええええぇ!?」

「ほら、ほんとに超能力者なんだよ、私」


今見たのは間違いじゃない。気のせいでもなんでもない。

今、確かにちとせの手の下に氷が突然出てきて、

落ちて、割れた。


机が濡れているのは、割れた氷が溶けたからだ。

そしてたしかに、割れた音もした。

その音に反応し、何人かがこちらを見たのも確か。

僕達だけに見えたり聞こえたりするものではないのがわかる。


…本当に、超能力者なのか。

今、どうやって出した?

普通、アニメや漫画とかなら、

アイス!とか技名言って出すものじゃないのか。


不思議だし、謎だらけだ。まだ、信じられない。

おかしい話だ。友達が超能力者なんて。

有り得るわけない、有り得ては行けない。


でも、今見えた氷は、どう考えても気のせいじゃない。だって見たんだから、この目で。

瞬きもせずにちゃんと見た。


ちとせが、

「ちょっとは信じた?」と笑って問いかけた。

「…うん、本当にそうなんだね。」

「びっくりした?」

なんだかちとせは嬉しそうだ。超能力のこと、友達にずっと言いたかったんだろうか。


「マジでびっくりどころじゃないよ」

「引いた?」


「…いや…めっちゃ興味湧いた。」

その言葉を発した瞬間、頭にひとつ、アイディアが浮かんだ。


「ねぇ、これで小説書かせてよ」

「いいよ!」

笑って返事をくれるちとせ。

…間違いない、いつも通りに笑う、ちとせだ。


そして、僕の中でタイトルもすぐに決まった。


タイトルは…

成宮ちとせは超能力者である。

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