第4話
「おはよー」
何とか間に合った。席に座るとすぐに私の親友であり、幼馴染みである鳴海蘭子がやってきた。
「おっはよ!今日はずいぶんギリギリじゃない。何かあったの?」
蘭子が可愛く首を傾げる。相変わらずあざとい。
これで校内の男子生徒を手玉に取っている。
だが私だけは知っている。この女は中学まではなく子も黙るヤンキーだったのだ。私とは昔から何故か気が合って、裏表ない潔い性格が好きだった。
今は裏表どころか双子なんじゃないかと疑うこともある。
「ちょっと朝寄り道してただけ。それよりも数学の宿題やったー?」
私はすぐに話題を変えた。とにかく自分の霊力のことは例え親友といえどもそう簡単には話せないのだ。私はできる限り普通の女子高生として生きて行くのだ。いつか私が霊力比べをしたいと思う人物が現れるまでは。
しかし、今日の校舎の中はいつも以上に淀んた空気に満ちている。
昔は斎宮様が祈りを捧げて、美しい清浄な空気に包まれていたのに。
時の流れは寂しいものだ。いつの間にか色んなものが忘れ去られて、そして時にこちらに牙を剥いてくるのだ。私は小さく印を結び、式神を裏山に行かせた。おそらく神社の穢れが溜まりに溜まっているのだろう。
私には数体の式神がいる。その中でも一番長くいるのは桔梗という式神だ。何しろ前世からの付き合いだ。霊力と浄化の力はトップクラスだ。
そして椿という式神は戦闘力に特化した式神だ。この子は今の時代になってから作り出した子だ。
とにかく今の時代の怨霊の多さに辟易して作った子だ。まだ経験は浅いが、なかなかの戦闘力を持っている。ただ力の調節がヘタでまだまだ修行が必要だろう。
偵察に行っていた桔梗が帰ってきた。
『主様、裏のお社自体には変化はございませんが、何か別の霊力がうっすらと流れ込んで来ているようです。』
別の霊力?なんだろう。とりあえず裏の社が変わりないなら、後で確認にいってみるか。
チャイムの音を聞きながら考えていた。
実はこの時に美味し···いや、とんでもない事態が起こっていることを私はまだ知らなかった。
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