第9話 かみねんどで固まった国と上司

「…遠路ご苦労。して、要件とは?」


「なるほど。わかりました。では期日までに。」


 ふう。トップも楽じゃないんだね?甘い蜜吸ってるかと思ったけど、しっかりしてる人でしばらくは安泰だね。


「はい。あの分野に対して国民から発せられた声です。ざっと30,000程かと。はい、では。」


「資料まとめは楽じゃない。実際に聞いた声をデータに落とさなければいけないから。」

我が国では現在、動物を飼うことが義務化されている。そこにかかる費用と国民の保護、支援金でトップ率いる政治団体が3つに分かれてしまった。


全面保護

(金銭面から生活面の全て、生活に必要な分のみ全面的に支援する案)

その他の強化

(困窮者に与えるのではなくサポートしてくれる人材を増やすように血税を使うべきだと主張)

論外

(そもそもこの義務化をやめるべき)


の3つ。他にもあるが大雑把に分けるとこう。そして今トップに提出した書類は「国民の声」そのもの。パーティーやイベントに来てくれた国民に意見を聞いて周った。あとはトップが動くだけ。


「…んでだよ?」

「えーまずはこちらをご覧ください………。」

だいぶかみ砕いてわかりやすくするとこうなる。

「支援をしてくれる施設をリストアップし、携帯で気軽に見れるアプリを作ります。なんなら協力してくれるお店に月額決まった金額を支援します。」

ふざけるな。探すのにどれだけの労力と時間が奪われる?トップ公認のアプリだと?色々こだわって予算オーバーが目に見える…手に取るようにわかるぞ。そして月額の支援金支給?どこから出すんだよその金??規模を想定してないのか…いやそもそも大きくなることを想像してないな。都心部だけで終わろうとしてないよね?まさか。失敗したな。



「あの分野に対して国民から発せられた声」


「飼育の義務化について政治パーティーに出席した上級国民から聞いた言葉をまとめた資料」




渡したものがまずかったな

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