謁見の仕方が分からない

オーズは牢屋に入れられていた。そこは小さな窓からの明かりしか無くジメジメしていて非常に不衛生だった。

 別の牢屋から何やら物騒な事を叫んでいる男もいる様だ。

 そんな所にオーズは閉じ込められてしまったのだ。

 数刻前二人の兵士が自宅に押し入り有無を言わさずオーズを連行した。後ろからアーティが呼ぶ声が聞こえたのでオーズは

「ちょっと行ってくるよ」

 と笑いながら言い残した。それがオーズが出来る精一杯だった。本当は笑い事じゃないくらい分かっていた。

 縄に繋がれた訳ではないが二人の兵士ががっちり横につき逃げられなかった。それに逃げでもしたらアーティに必ず迷惑をかける。オーズは理由も分からずに大人しく連行される事にした。

 朝の通勤の時間の連行の為多くの人がオーズを見た。オーズは後ろめたさは無かったがこうも注目されると自分が悪い事をしたかと勘違いしてしまいそうだった。

 市民がオーズを見てコソコソ噂話をしている。

「どうしたのかしら」

「あの子姫様の馬車を蹴った子じゃ?」

「えっ?私は姫様の馬を盗んだって聞いたわ」

 根も葉もない噂が街には広がっていたらしい。

 ――そんな事する訳ないじゃん

 オーズは心の中で叫んだ。本当は今すぐに違いますよと訂正しに行きたかったが兵士がそれを許さない。

 オーズは馬泥棒の汚名を払拭出来ずトボトボと城へと連行された。

 城の前に着くと中には入らず城の外にある騎士の詰所に連れてかれた。そしてそこの牢屋に入れられてしまった。

 オーズは抵抗出来るわけもなく大人しく捕まっていた。

「あのーなんで俺は牢屋に入れられてるんですか?」

 オーズは不真面目態度で牢屋番をしている兵士に聞いてみた。不真面目な兵士は面倒臭そうにオーズを見た。

「あ?そりゃお前姫様が捕まろって命令されたからだよ」

「それって馬車の件ですか?」

「そうだよ、なんでも姫様の馬車を止めたらしいじゃねーか、怖いぞーお前無事に帰れないかもな」

 お姫様の馬車を止めるとはそれほどまでに重罪なのか、何も弁明も出来ず牢屋にぶち込まれるとは、とオーズは嘆いた。しかしオーズにはなす術は何もない。大人しくここで待つしかなかった。

 その時オーズは思いついたスキルの事を。

 ――そうだ土下座だ!土下座をすれば何か起こるかもしれない!

 未知のスキル土下座だけがオーズの最後の手段であった。未だ謎に包まれている土下座を今発揮しないでいつするだと息巻いた。

 オーズは出来る限り綺麗な姿勢で土下座をした。

「ここから出して下さい!家には妹がいるんです!お願いします!」

 オーズ渾身の土下座であった。

「いやダメだろ」

 ダメであった。土下座しても何も現状は変わらなかった。土下座スキルなのに土下座しても何も起きないとことん意味が分からないスキルであった。

 最後の頼みの綱がまさかの役立たずだったオーズは牢屋の隅でじっとするしかなかった。オーズは家で心配しているであろう妹の事を考えた。

 ――まさかこっちの世界でも妹を置き去りにしてしまうなんて。なんて妹不幸な兄なんだろう

 しばらく待っていると外で誰かが騒ぎながら近付いて来るのが聞こえた。

 勢いよく詰所の扉が開かれた。オーズは牢屋に入っている為誰が来たのか分からなかった。ドスドスと誰か牢屋に近付いてくる。どう聞いても怒っているようであった。

「姉ちゃんここから出してくれや!」

 牢屋に入っている男が叫んでいる。するとガシャンっと何かを牢屋に叩きつけた音が聞こえた。

 オーズは震えた。何かヤバい人が近づいてくる事に恐怖した。

 その足音の主がオーズの牢屋の前で止まった。

 その人はショートカットの赤い髪に褐色の肌の女性で鎧を着込んでいた。その鎧もそこに居る一般兵士と違い細部まで装飾が施されておりかなり位の高い騎士だと推測された。

「何をしている!」

 女騎士は怒っていた。不真面目な兵士は姿勢を正した。先ほどの猫背で座っていた人間とは思えないほど綺麗に起立して発言した。

「何をと言われましても姫様のご命令通り馬車を止めた男を捕まえました」

「姫様は私の前に連れて来いと言ったのだ!誰が牢屋に入れろと言った!すぐに出せ!」

 どうやらオーズが牢屋に入れられたのは兵士の勘違いだった様だ。

 女騎士に怒鳴られた兵士は慌てて牢屋の鍵を開けた。焦っているため何度もガチャガチャ鍵を回していた。さっきまでの太々しい態度が嘘のようであった。後ろでは険しい表情の女騎士が立っている。

 そしてオーズは牢屋から何事もなく出ることができた。

「すまなかった。何やら兵士達の間ですれ違いがあった様だ」

 女騎士は深々と頭を下げて謝罪した。兵士もそれに合わせて頭を下げた。誰かに頭を下げられるとこちらも頭を下げてしまうのが社畜日本人のサガである。

「いえいえ、こちらこそ気を使えずに」

 オーズも頭を下げた。オーズは何も悪くないのに日本人の習慣がひょんなことから出てしまった。兵士は何してんだこいつと残念そうな目で見ている。

「それじゃあすぐに姫様の下へ」

 オーズは外に出た喜びを味わう暇もなく連れて行かれるようだ。オーズは早足で歩き出した女騎士の後を慌ててついて行った。

 詰所を出て先程素通りした城の前まで来た。オーズは城を見上げて圧倒された。遠くから見る事はあってもここまで近づいたのは初めてであった。

「ほえぇ」

 思わず声が漏れてしまった。

 城に圧倒されているオーズを見てソニアは思い出した。

「そういえばまだ名乗っていなかったな。私の名はソニア・レッドグレイヴだ。姫様の護衛騎士をしている」

 ソニアは簡単な自己紹介をした。オーズも軽く会釈して自己紹介した。

「えっと街に住んでいるオーズと言います。家具職人見習いです」

「よろしくオーズ殿」

 二人の歩きながらの軽い自己紹介が済んだ。それ以降は何も喋らなかった。オーズとしてはもう少し説明が欲しいのだがソニアはどんどんと先に進んでいく。

 城の中に初めて入ってオーズは緊張していた。周りの人間を見ても明らかに貴族のよう服を着ていたり、メイド達も清潔感のあるメイド服に身を包んでいた。一方オーズは何年も着続けているヨレヨレの服で場違い極まりなかった。匂いも汚れもついた庶民の服で城の中の歩くなどテロ行為と言っても過言ではない。

 伏目がちでソニアの後をついていると城の中でも特に豪華そうな大きな扉の前で止まった。扉の前には二人の兵士が警護しておりオーズを疑い深く凝視していた。

「姫様の命により馬車を止めた者を連れてきた。お目通り願おう」

 ソニアが兵士にそう告げると二人の兵士は扉を開けた。大きな扉が音を立てた。

 扉の先は玉座であった。遠くに姫らしい人が座っておりそこに向かってオーズは歩いているが周りの人間の目が冷たく怪しまれているのが分かる。

 ソニアの後ろでビクビクと歩いているとソニアは急に止まり跪いた。オーズも慌てて跪く。オーズは王族への礼儀作法など知らないのでソニアの真似をするしかなかった。

「姫様、この男が姫様の馬車を止めた者とのことです。間違いないでしょうか?」

 ソニアが姫に告げると姫は偉そうにオーズに命令した。

「男よ面を上げよ、それでは顔が分からぬ」

 オーズは慌てて跪きながら顔を上げた。オーズと姫はその時初めて目が合った。

 姫の名はフレイル・スウィンバーン。その名を知らぬ者はこの王国に誰一人いない。このスウィンバーン王国唯一の王族でありこの国の頂点であった。

 姫は手入れされた長い金髪の持ち主で、瞳は青く澄んでいた。何より可愛かった。街中でこれ程まで可愛い女の子はオーズは会った事がない。

 そして幼かった。玉座に座るのはあまりにも不釣り合いな幼さで妹のアーティと同い年くらいに見えた。つまりまだ成人にもなっていないような女の子が偉そうにオーズを見ていた。

「姫様こちらの男で間違いありませんか?」

 ソニアは改めて姫に質問した。

 フレイルはまじまじとオーズを見た。するとフレイルはその可愛い口を開いた。

「名は?」

「オーズと言います」

「其方家族は?」

 フレイルの質問にオーズは戸惑った。

 ――何で両親の事を聞かれるんだ?

 オーズが何て言ったらいいか迷っていると側にいた男が騒ぎ出した。

「姫様が聞いているだろ早く答えろ!」

 その男はオーズを鞭で叩いていたカミガーナーであった。しかしオーズはそんな事気付いている余裕は無かった。慌てて質問に答えた。

「申し訳ありません、妹だけがおり二人暮らしをしております」

 質問の答えがこれでよかった分からなかったがオーズは言い切った。するとフレイルは少し考える素振りを見せて次の質問をした。

「両親はいないのか?」

「はい、既に他界しております」

「交通事故か?」

「いえ、流行り病でございます」

 オーズは先程の反省をして直ぐに答えた。何か失敗したらどうなるか分からなかった。

 フレイルはオーズの答えに黙り込んでしまった。

 ――何か間違ってたのか?なんで何も言わないの?

 オーズは内心滅茶苦茶焦っていた。額に汗をかきながらも精一杯顔を取り繕っていた。

「この者を残して皆退室してください」

 フレイルはまさかの命令を下した。その命令はその場にいた多くの人間が動揺した。もちろんオーズも驚いた。

「いけませぬ姫様、この様な者と二人きりになるなど」

 カミガーナーはフレイルの命令に苦言を呈した。側近としは当然の反応である。

 ――そうだ!そうだ!おっさん頑張れ!二人きりなんて真っ平ごめんだ!

 オーズはカミガーナーを応援した。オーズはカミガーナーが鞭で打った相手だとすっかり忘れていた。

「ならソニアは残ってください、これで問題ないでしょう」

 フレイルはカミガーナーの苦言に折れたような折れていないような案を出す。それでもカミガーナーは納得しない。するわけが無い。

「いいわけないでしょう。姫様に何かあったら私はどうすれば……」

「こんな男一人にソニアが遅れをとるはずないでしょう。それともカミガーナー卿、私の命令が聞けないのですか?」

 フレイルは圧のある声でカミガーナーに言い聞かせた。

 ――頑張れ!頑張れ!カミガーナー!折れるな!折れるな!カミガーナー!

 オーズの応援は全く意味をなさなかった。

 カミガーナーは吃りながらも反論しようとする。

「いえ、そういうわけでは、私はただ……」

「くどいぞ、皆の者退室せよ」

 フレイルはさらに強い口調で命令した。そこまで強く命令されると誰も逆らうことは出来ない。皆姫を心配するように退室した。カミガーナーはオーズを睨め付けている。

――いや睨まないでくれよ、応援してたよ?もっと頑張れよ

 カミガーナーは不満そうに退室した。玉座の間の扉は閉められ広い部屋で三人だけになった。オーズは動くことも出来ずにジッと跪いている。

「其方前世の記憶があるか?」

 フレイルは突然切り出した。何故そんな事を聞くのか分からなかったがオーズは答えることしか出来なかった。

「はい、先日思い出しました」

「その時の名は?」

「佐藤マサルと言います」

 沈黙が訪れた。オーズの頭は混乱していた。するとフレイルはニヤつきながら口を開いた。

「前世の記憶がある者はこの世界に混乱をもたらす。前世の知識は劇物である。放っておけば必ずや王国に仇なすだろう。だから其方はここで処分する。自分の不運を呪うがいい」

 フレイルは物騒な事を言った。オーズは鳥肌が立った。このままでは死んでしまう。そう考えるの瞬間オーズは伝家の宝刀土下座を繰り出した。何か問題があると土下座するのが癖になっていた。これも前世を思い出したからだ。

「どうかご勘弁を!決して前世の事は誰にも言いません!それにその知識で悪事など働きません!家には妹が一人で待っております!どうか命だけは!」

 深々と土下座した。とにかく額を床に擦り付けて誠心誠意土下座した。前世でもここまでの迫力の土下座を繰り出したときは大抵どうにかなった。

 必死でオーズが土下座しているとフレイルから笑い声が漏れた。

「兄ちゃんだっさー!こっちの世界でも土下座してるのー?」

 フレイルは腹を抱えて笑っている。オーズは混乱した。

 ――え?なに?笑ってる?許されたの?それに兄ちゃんって何のこと?

 オーズがアワアワしていると呆れた顔したソニアが喋り始めた。

「姫様お戯れが過ぎます」

「だっておかしいんだもん。妹に土下座なんかしちゃって」

 オーズには妹がいたが決して姫ではない。今家でオーズの帰りを待っているはずだ。だからフレイルの言っている事は無茶苦茶であった。

 しかしオーズは一つの可能性に気付いた。この傲慢で自分勝手な少女に心当たりが一人だけいた。オーズは前世を思い出した。ならば他にも前世を思い出した人間がいてもいいはずだった。そして辿り着いた答えが

「もしかしてアカリ……いやアカリ様ですか?」

 オーズは念の為前世の妹らしき人物に様付けした。間違えていたら最悪不敬で首が飛ぶからだ。

「アカリ様だって!おかしいー」

 フレイルは笑いながら玉座から立ちオーズの目の前に軽やかな足取りで来た。ドレスは楽しげに揺れていた。そしてその華奢な手でオーズの手をとった。

「そうだよ兄ちゃんの可愛い妹のアカリ様だよ」

 フレイルは満面の笑みを浮かべた。オーズは口を開けたまま閉められなかった。まさかの再会はあまりにも衝撃的だった。


 オーズは落ち着きを取り戻した。それでもグッタリと力が抜け座りこんでいた。フレイルは玉座に戻り頬杖しながら偉そうにオーズを見ていた。

「何で俺がマサルって分かったんだ?」

 オーズは妹に話すような言葉遣いになっていた。

「大通りで土下座したでしょ。何か見覚えがある土下座だなって思ってたらなんか前世を思い出してね。もしかしてあの土下座の人兄ちゃんかなって、根拠は無いけど。直感だよ」

 フレイルも砕けた言葉遣いなっていた。ソニアは不満はそうにフレイルを見ているがフレイルは気にしていない。

「もし俺じゃ無かったらどうしてたんだ?」

「その時は適当に理由をつけて帰した。それに鎌かけてみたら簡単にゲロったし」

「鎌?そんなものあったっけ?」

 オーズは検討がつかなかった。そもそも質問の内容も全然思い出せない。

「私が交通事故で両親を亡くしたって質問して兄ちゃんは疑問に思わず答えたでしょ?」

「そうだったかな?」

「この世界に交通事故なんてものは無いの、馬車に轢かれる事はあってもそれを交通事故とは呼ばない」

 オーズは納得した。死亡原因が交通事故は前世では当たり前の事だがこちらではそうでは無い。聞き慣れた言葉に自然に返答してしまっていた。

「なるほどね、そういう事か」

 フレイルの説明に納得したオーズは立ち上がった。全ての疑問が解消されてスッキリした。

「それじゃあアカリが無事でよかった。じゃあ俺はこれで仕事があるから」

 オーズが帰ろうとする。

 ――妹も無事で俺の罪も無かった。いやーよかったよかった全て丸く収まったな

 フレイルがソニアに命令した。

「ソニアその不届きものを取り押さえて」

 フレイルが言うや否やソニアはオーズの手を極めた。

「痛い痛い痛い!帰らないから!」

 オーズは渋々残ることにした。オーズの背後にはソニアがいつでも取り押さえられるよう待機していた。

「兄ちゃんにはお願いがあるの」

「お願い?」

「そう、私の生死に関わる大切なこと」

 それはいつになく真剣な表情であった。オーズも生死が関わってくるとなると真剣に話を聞いた。

 フレイルは長々と説明を始めた。

 フレイルの両親、つまり国王と女王は旅先で魔物に襲われて崩御した。その事はオーズも知っており王国全体で一ヶ月に渡り喪に服した。

 二人の間にはフレイルしか子供がおらずフレイルは幼いながらも王国の頂点に君臨する事になった。しかし王国の法では未成年は王位を継ぐことができず今なおフレイルは姫という地位であった。

 フレイルの成人するまで政治を大臣達が代わりにやることになった。フレイルは今年で17になり来年には成人し正式に王位を継ぐ事になる。

 しかしその事をよく思わない者もいた。フレイルが口を出せないのをいい事に多くの大臣が好き勝手に政治をしていたのだ。このままフレイルが王位を継げば必ず立場が危ぶまれる、そう思った者がフレイルを暗殺しようと考えているのだ。

 王位継承権はその血によって決められる。直系でなくともその血を引いている者は王国に多い。そうなれば王国は血みどろの後継者争いが繰り広げられるのは目に見えていた。そして他国に嫁いだ王族もいるため最悪他国からの介入もあり継承戦争の可能性もあった。

「暗殺って本当なのか、それに戦争って」

 フレイルの話を黙って聞いていたオーズは声を漏らしてしまった。フレイルの目は真剣そのものだった。

「本当、だから一人でも味方が欲しいの。今は誰が敵か味方か分からないから。兄ちゃんならその点は安心でしょ?」

 フレイルは可愛く言ったがことのほか重大な事案であった。

「ソニアは私が小さい頃から護衛騎士をしてくれてるから大丈夫。前世の話も分かってくれたし」

 フレイルはソニアにウインクをした。ソニアは困った顔を浮かべた。

「最初は何かの冗談かと思いましたがオーズ殿が現れて流石の私も納得しました」

「さすが私の護衛騎士様」

 フレイルはご機嫌だった。久しぶりに兄に会えた事で本音で話せる相手がソニア以外に見つかったからだ。

「それで俺は何をすればいいんだ?」

 オーズはフレイルに質問した。オーズが出来ることなんて何も無い。

「私の護衛騎士になって欲しいの」

 フレイルは笑顔で堂々と宣言した。それをソニアは真っ向から否定した。どうやらこれは聞いていなかった様だ。

「なりません姫様!姫様の願いといえど一般市民を護衛騎士にするなど許されません」

「いいじゃない、一人より二人の方が」

「見たところオーズ殿は武術の心得はありません。姫様おろかオーズ殿も危険な目に会うでしょう」

 オーズもソニアの説得に同調した。フレイルの事は心配だが無理なものは無理である。

 ――頑張れ!頑張れ!ソニア!折れるな!折れるな!ソニア!

 フレイルは少し悩んだ。そして何かいい事を思いついたように喋り出した。

「それじゃあソニアと勝負してみて納得すればいいんでしょ?」

 オーズは本物の騎士と試合をする流れになっていた。ソニアは悩んだ、何とか姫のわがままを取り下げさせる為に。

「いいでしょう、それならかないません」

 ソニアはオーズの意向を無視して承諾した。ソニアはオーズが自分に勝てるわけないと踏んだのだ。

「じゃあ庭に行きましょうそこで一対一の試合をしてもらうから」

 フレイルは立ち上がり玉座の間から出ようとした。

「姫様約束は守ってもらいますからね」

「分かってる」

「あの俺の意見は?」

 オーズを置いてけぼりにし話は勝手に進んで行った。

 

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