06 浮世絵に描かれたタコと海女のように
「やっぱり私、手を出した方がよかったんじゃないですか?」
「……まあ、反論はしない」
久太郎と色葉は並んで立ち、目の前の惨状を見つめた。
「金返せ! この、この、
中年男は必死の形相でモヒカン
「私の、私の金だ! この、イカサマ、チート……
不法上京者は叫ぶ。
「私、こっちのおじさん応援したくなってきました」
「僕も……あ、おっさん、ポケットあさってる」
よく見ればでたらめに拳を叩き付けているように見えて、
感慨深い思いを味わっていた久太郎だったが、浮世絵に描かれたタコと海女のように絡み合いながら転がる二人が、どんどん筐体へ近付いていくのを見て顔を青くした。
……まずい。
一瞬、色葉に動いてもらうことを考えたけれど、一瞬だけでその考えは捨てる。周囲に対して配慮しながら暴れろ、と色葉に言うのは、小学校低学年の鼻を垂らした男子に、外で遊んでも服を汚すな、と言うようなものだ。
久太郎は
一般に、
しかしそれなりの質量が、筐体そのものにぶつかった場合はどうなるか?
跳んできた久太郎を見た
……来ませんように来ませんように来ませんように……!
と、必死で祈った久太郎の思いも空しく。
一陣のフリル、レース、リボンがそこに舞った。
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