04 絶対は絶対にない
久太郎が持ち上げた腕、その手は小型のコントロールパッドを握っていた。男の目はサングラス兼用のゴーグル端末に覆われ見えない。
「……なに?」
筐体前のモヒカン男は奇妙な顔になり、しかし迅速に中年男の首から手を離す。
「
筐体上部、
しかしだからといって
「…………で、さっきもう、
久太郎は男の手を下ろし、にこやかに告げてやる。同時に呆然とする男の手からコントロールパッドをむしりとる。ここでの操作を無線接続で筐体に送り込んでいたのだ。いかにもチンピラのモヒカン男は、いっぱしの格ゲーマーならカモだと思うだろう。だが実際に対戦していたのはモヒカンではなく、こちらの男なのだ。それも、不正なコントローラーを使う種類のプレイヤー。
筐体内の基盤やプログラムは鉄壁のセキュリティに守られているが、プレイヤーからの入力に関して、
「捕まって脳みそフライにされない内に、とっととずらかった方がいいんじゃない?」
男は久太郎の目を見つめ、後ずさり、モヒカンに目をやると……脱兎のごとく逃げ出した。
「
周囲のギャラリーに聞こえる音量で、久太郎がわざとらしく言う。
だからこそ、どんな程度であれ、
が、だからといって
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