家族と釣りに行って自分が釣り上げられたはなし

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　皆さんに質問です。漁船の魚を釣り上げるためのロープで、溺れていたところを引き上げてもらった。もしくは、それと似たような経験をした。という人は、どれくらいいるでしょうか。

　多分、そうそういないと思います。自分の周りにも、この経験をした本人（私）しかいません。

　今日は、皆さんにこの黒歴史を話して、読み終わる頃には面白ネタのひとつになっていればとても嬉しいです。

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　私は海が綺麗な地域に生まれ、父の仕事が休みの日には父と一緒に釣りに出かけることがよくありました。

　私は脳性麻痺で自力で歩くことができません。それでも、父は色々と考えてくれて釣りを楽しむことができていました。

　･･･黒歴史の日は、私が三歳になる年のゴールデンウィークでした。その日もいつものように、父と二人で朝から夕方まで釣れない〜と言いながら楽しんでいました。日も暮れ、 家に帰るために父が荷物を車に積み込んでいる最中でした。

　その時の私は『今なら立ち上がって、自力で歩けるんじゃないか』と思って、立ち上がるために釣りの時に使う椅子をガタガタ揺らしていました。

　しかし揺らす力が強すぎたのと、父が椅子を漁港のコンクリート部分ギリギリまで前に出してくれていたので、派手に海にドボン。 今考えれば、そんなに簡単にいかないことくらいすぐ分ります。今でも時々ふと歩けるんじゃないかという感覚になることはありますが、このことがあって以来無理に動かすことはしていません。

　私が落ちた音にすぐに気がついた父がすぐに海にとびこんでくれ、深くに沈む前に浮き上がることができました。

　私が覚えているのはここまでで、その後どんな相談がされて漁船のロープで引き上げるということになったのかは全くわかりません。私はこのことがあって以降、父の誘いをほぼ断り、父と釣りに出かけたのは、この日が最後だったと思います。小さいながらに申し訳なさがあったのと、溺れた時のフラッシュバックで何も無い時に急に涙が出たりしていたのもあると思います。

　この出来事から一ヶ月もしないうちに、この黒歴史は家族の中の爆笑話に変わり（本人を除いて）下の兄弟達は、この出来事をネタにして楽しんでいました。（本人はトラウマを克服するのに二、三年かかりました。）

　また機会があれば、ロープを動かしていただいた漁港の皆さんにお礼を言いに行きたいです。

　それから、やっぱり好奇心って恐ろしいなと思いました。これ以上こんな黒歴史が増えないように落ち着いて過ごそうと思います。

　これが私の一番の黒歴史です。