本文 3 (無政府主義とSF、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れについてのショート・ショート)

   ………


 さっきの更新から一時間も経っていない。だというのにもう、書き始めている。他にすることがないのかと言われればそうでもないが、することを書いてやろうと思っても特に思いつかない。つまり、することがないのだ。

 この三十分強にやったことと言えば|X《ツイッター)ぐらいだ。未だにツイッターと先んじて書いてしまうので、後からXのルビとして括弧を付けた。Twitterだよ、私にとっては未だに。いや、多分利用者の多くがTwitterとして認識しているのだろう。だが、その認識もそのうち古いものになる。そう思うと中々に寂しいものも感じる。Twitterには侘び寂びがあるのだな。


   ―――


 そんなことはどうでもいい。

 今すべきことは【全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ】についての物語を書くことだ。だが、三十分強で思いつくプロットなどたかが知れている。でも手遊びに何か書きたい。とにかく書きたい。それに、個人的にどこまでこの文章でヤンチャできるか飽きるまでやりたい気持ちも強い。

 この文章は既に三回目の区切りを迎え、ほとんど無政府アナーキー状態である。私は生粋の無政府主義者アナキストなので……というか文章なんかをだらだらと何千何万文字も書くような人間は無政府主義者アナキストに決まっている。文字を書くという行為は反政府的行為だ。アナーキーだ。不道徳だ。不埒だ。

 いや、随分言い過ぎた。冗談として許してほしい。冗談と言う事にしてくれ。いや、冗談と言う事にする。


 ともかく、少なくともこの文章は母なるアナーキーに息子として愛されている。ウクライナ黒衛軍だ。マフノシチナだ。ネストル・マフノだ。私はアナルコサンディカリスムが好きだが。


 まあ自由に書いていけるような土壌になってしまっているのだ。

 そもそも文学自体が何をやっても大抵のことは許される場所なのでどうにでもなるのだが、お約束と言うのは読み易さにも直結するので大抵の場合は守られるものだ。純文学はそれとは微妙に違う立ち位置にあると認識されているので、まあ読み易くなくてもいいのだろう。だからこれは純文学であるという事にしよう。ジャンルレーティングではSFになっているが。

 (ここで私は一時間ほど風呂に入っていたので時間が進んだ。勿論作品内世界の時間は全く進んでいない。いいね?)SFのジャンルについてのアレコレは面倒なので深く言及するつもりはないが、【全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ】についてのSFを書くつもりであったのでこの文章はSFのレーティングが為されているわけだ。


 SFは良い。


 SFは好きだ。


 暇なとき〈といってもいつも他の人と比べれば暇なのであるが〉に架空世界史やIF世界史などを作って遊んでいるほどに好きだ。

 滅茶苦茶で理不尽なSFも好きだ。

 まあ、それ以上にファンタジーが好きなのだが。

 SFもファンタジーと言えば言えなくもないのかもしれないがそんなことはいい。とにかくこの文章はSFの渦中にあるのだ。おお、見よ、この文字こそSF。私こそがSF。とにかくそう言い張っているだけのSFである。サイエンスもあったものではない。


 だが、何だか、この文章がSFを名乗るのは、良くない気がしてきた。エッセイとかを名乗った方が良いのではないだろうか。いや、しかし、これは始めはSFだし、今もなお、SFなのだ。【全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ】について、様々な視点から多角的にとらえ、それを物語として、SFとしてしたためて、書く、それがこの文章だ。この文章はまだまだ途中。たとえこの部分が自叙的な性質を持っていてもそれが本当に真実かどうかは【虚構フィクション】という体裁をはじめに取り、しかも冒頭で結末を規定しているのだから、これは虚構なのだ。

 いやでも、こうやってこんな駄文を長々と書き連ねて『私がSFでござい』と我が物顔でジャンルの枠を穢しながら好き勝手じたばたと下品に書き連ねていくのは良くないと思えてきた。どうしよう。

 でも、どこまでいったってそれを決めるのは現実にいるおれなのだ。それに、今、現状では何の問題も発生していない。トラブルも何もない。だから現時点ではこのまま行ってしまおうではないか。もう、ここはアナーキーの自治区なのだ、マフノシチナなのだ。母なるアナーキーは息子たちを愛する。だからこれでいいのだ!

 

 ―――


 あーもー風呂に入ったせいで思考の『抜け感』が鈍っちゃったなァ。分かる? 『抜け感』。こう『バァーッ』と思考が溢れ出る感じっすよ。なんかエンジンが掛らないというかなんというか。

 これは【全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ】に思考が破壊されてしまったという事なのかもしれない。そう言う事にしておきたい。そうだな……。


 『湯船につかり、鼻歌を歌いながら上機嫌に、次何を書くかを考えていた私だったが、脳内に突如全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れが登場し、私の考えていた思考を全て破壊、粉砕した。

 しかし、バッファローの群れは留まるところを知らず、私の他の思考、果てはニューロンまでも破壊し突き進む。バッファローの群れは遂に私の脳内より飛び出し、私の体内の臓器を破壊し尽くしながら突き進み、私の身体を破壊し、私の使っていた湯船を破壊し、私のいた浴室を破壊し、私の家を破壊し尽くした。

 それでもまだまだバッファローの群れは止まらない。

 それどころか指数関数的な加速と体積の膨張を見せ、私の棲んでいた市を数分後には破壊し尽くし、私の棲んでいた県を二分後に破壊、私の棲んでいた国を一分後に破壊したのち、私の棲んでいた地球を数十秒後に破壊、私の棲んでいた恒星系を数秒後に破壊し、更には私の棲んでいた銀河系を破壊、既に光速を超え、体積を銀河以上に膨らませたバッファローの群れは、最早宇宙さえも破壊した。

 だが、そのあまりの巨大さと速さは自身の存在を留めることも出来ずに自壊し、最終的に全ては消し飛んだ。

 こうして宇宙は終焉し、そして、破壊の末に収束したすべてのモノは再構成という名の始り、イベントホライズンの先の特異点、その先へと向かうのだ。そしてまた宇宙は始まり、その歴史のどこかで全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れがまた生まれるのだ……』

 

 以外にも良い文章が生まれた。よし、この調子で語っていけばいつの日か【バッファロー。その思念。】の本文としての結末も迎えられるだろう。


(続く)

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