第26話 義妹と観雫とお風呂

 俺の方が着替えが早く済んだので、一足先にお風呂場に入って結深と観雫のことを待っていた。

 ────今から、妹と友達と一緒にお風呂に入る俺の心境は、複雑以外の何物でもない。

 妹と友達相手に変な考えを起こすつもりは一切ないが、それでもさっきから心臓の鼓動がうるさい。

 妹と友達とは言っても異性は異性、異性二人と一緒にお風呂に入るなんて、当然だが俺はしたことがないし、何だったら異性とお風呂に入ったことなんていうのも今まで一度もない。

 そんな俺に全く緊張するなという方が難しい話で────と、少しでも自分のことを落ち着けるために一人で長々と考え事をしていると、お風呂場のドアが開かれて体にタオルを巻いた結深と観雫が現れた。


「わぁ、お兄ちゃんの体だ……!」

「……」


 結深は言うまでもなく俺の体をこれでもかと凝視していて、観雫は一見表情は変わっていないもののしっかりと俺の体を上から下まで見てきている。

 一応腰にタオルは巻いているため、どこを見られても問題はないがそんなに見られると少し思うところがある────が、それ以上に俺の視界には今結深と観雫の体にタオルを巻いただけの二人の体が視界に映っているため、ハッキリ言ってそのことはあまり気にならなかった。

 ……わかっていたことだが、二人ともスタイルがとても抜群だ。

 二人とも、タオルの上から少し胸元がはみ出ているぐらいには胸元が大きく、腰も出ていて体も細身。

 そして、結深も観雫も透き通るような色白の肌────


「お兄ちゃん!私の体に見惚れちゃった?」


 しまった……少し見過ぎてしまったのかもしれない。


「っ……!ち、違う!」

「否定しなくて良いんだよ?お兄ちゃんが私の体を好きって言ってくれるんだったら私は嬉しいし、何だったらもっと見て欲しいから!タオル取っちゃおうかな?」

「お、おい!そんなこと────」

「結深ちゃんは一入の妹なんだから、一入が結深ちゃんの体に見惚れることも、タオルを取った体を見ることなんかもダメだよ」


 俺が否定の言葉を述べようとしたところで、観雫が冷静にそう言ってくれた。

 そうだよな……観雫が居なかったら、危うく押し切られていた可能性も否定できないが、観雫が居てくれてよかったと言うべきだろう。

 そして、観雫は頬を赤く染めて言った。


「だからさ……もし見るんだったら妹の結深ちゃんの体じゃなくて、私にしたら?……そうして欲しいんだったら、タオル取ってあげるから」

「は、はぁ……!?な、何言ってるんだ!?」

「そうだよ!お兄ちゃんに私以外の女の体なんて見せられるわけないじゃん!」

「妹の体見るよりは良いでしょ、あくまでも体を見たいんだったら妹の結深ちゃんじゃなくて私にした方が良いよねって言ってるだけ」


 それは……確かに、妹の結深の体を見るぐらいなら観雫の体を見た方が色々と良いのかもしれない────が。


「そもそも、俺はどっちの体も見たいなんて思ってない……とりあえず、体を洗おう」

「じゃあ私、お兄ちゃんの体洗いた────」

「体はそれぞれ自分で洗う」


 ということで、俺たちはそれぞれ体を洗っていくと、次にお風呂に浸かることにした……が。


「ここに三人で浸かったら、まず間違いなく体が密着するな」

「私とお兄ちゃんの二人で浸かろうよ!観雫さんはお客さんだし、一人でのんびり浸からせてあげよ?」

「それだと結局一入と結深ちゃんが二人になって、三人でお風呂に入ったのが意味無くなるからダメ……このまま三人で入るのが一番良いと思うよ」

「……そうか」


 その後、俺を中心として右に結深、左に観雫の三人で一緒にお風呂に浸かった俺たちだったが────案の定、二人の体が俺に密着していて、タオルを着ていると言ってもほとんどそんなものが意味をなしていないと思えるほどに二人の体、主に胸元と腕の感触が伝わってきて、全くリラックスすることはできなかった。

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