第8話 義妹はアタックし始める

「お兄ちゃん、今日の放課後私と一緒にお出かけしない?」

「お出かけ、か……そういえば、最近は一緒に出かけてなかったな」

「うん、だからお兄ちゃんがもし暇なら、一緒にお出かけしたいなって思って」

「それは良いが……どこか出かけたいところでもあるのか?」

「お兄ちゃんとだったらどこでも良いよ!街ぶらぶら歩くとか」

「……じゃあ、その時の気分次第で決めるか」

「うん!」


 そして、俺と結深はその後も軽く会話を交えながら一緒にご飯を食べ終えると、今日も学校での授業を終えて、放課後となった。

 すぐに教室から出ようとする俺に、観雫が話しかけてきた。


「一入、今日の放課後一緒に遊び行きたいんだけど、時間空いてる?」


 観雫が期待を込めた目でそう聞いてきた。

 その目を裏切ってしまうことになるため、俺は申し訳なく言う。


「悪い、今日は結深と出かける予定なんだ」

「っ……結深ちゃんと、二人?」

「そうだ」


 俺がそう言うと、観雫は一度目を見開いてから下に俯いた。

 そして、どこか暗い声音で言う。


「……結深ちゃんと二人で出かけになんて行ったら、余計に結深ちゃんが一入のこと異性として見ちゃうかもしれないから、やめておいた方が良いんじゃない?」

「むしろ逆だ、俺は二人で出かけることによって、俺たちが兄妹だってことを結深にしっかりとわかってもらえると思ってる」

「でも────って、どうして私こんなに必死になってるんだろうね……ごめんね、引き留めて」

「……あぁ」


 少し観雫の様子がおかしかったような気がするが、今日はもう結深と出かける約束をしてしまったためどうしようもない。

 観雫とは、また後日たくさん遊ぶとしよう。

 結深との待ち合わせ場所である校門前に着くと、そこにはもう制服姿の結深が立っていて、俺に手を振ってきた。


「お兄ちゃん!こっちこっち!」


 結深と合流すると、早速街の方に足を進める。

 すると、結深がとんでもないことを言い出した。


「お兄ちゃん、腕組んでも良い?」

「ダメだ」

「お兄ちゃん、キスしても良い?」

「ダメだ」

「お兄ちゃ────」

「なんであろうと、ダメだ……そういうのは、兄妹ですることじゃない」

「……」


 俺の言ったことに納得する素振りしか見せなかったものの、結深にしては珍しく特に何も反論をしなかった。

 よくわからないが、もしかしたら少しずつ結深も変わってきているのかもしれない。

 そんなことを思いながら街をなんとなく歩いていると、結深の提案でショッピングモールに入り、その中にある服屋さんに一緒に入った。


「お兄ちゃん!私この服試着したい!」


 そう言って結深が手にしたのは、両肩の部分だけ空いている服と、シンプルなズボンだった。


「そうか、じゃあ試着室に行こう」


 そして、俺と結深は、一緒に試着室の前までやって来た。

 試着室の周りには誰も居なく、一つだけある試着室も空いていることを確認すると、俺は口を開いて言う。


「じゃあ結深、俺は試着室前で待って────」


 俺は試着室前で待ってる、と言おうとした時、結深は口角を上げて俺のことを試着室の中に入れると、結深自身も俺と同じ試着室に入ってきた。

 相変わらずその表情はどこか楽しそうに口角を上げているが、おそらく俺は今それとは全く真逆の表情をしているだろう。

 俺は、この突然の状況に自体が飲み込めず、少し慌てて口を開いた。


「結深……!?何を────」

「大きな声出したら二人入ってるってバレちゃうよ?」


 確かに、さっきは幸い試着室の周りには誰も居なかったから誰にも見られていないと思うが、大きな声を出したらバレてしまう可能性はある……が。


「だったら、どうしてこんなことをしたんだ?」

「そんなこと聞くよりも、男女が試着室で二人なんだからもっと刺激のあることしようよ」


 そう言いながら頬を赤く染めた結深は、俺の手を結深の制服のボタンに触れさせて言った。


「お兄ちゃん……私のこと、脱がしても良いよ?」



 この作品の連載が始まってから、一週間が経過しました!

 この一週間の間にこの作品をここまで読んでくださったあなたの素直な感想をいいねや⭐︎、コメントなどで教えていただけると本当に嬉しいです!

 作者はこの物語をとても楽しく描かせていただいているので、あなたも引き続きこの作品を楽しんで読んでくださることを願っています。

 今後もよろしくお願いします!

 補足ですが、そろそろ一気に物語が進みますのでそちらも楽しみにしていただけると幸いです!

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