第7話 義妹は寝たふりをする
「ただいま」
────あれ。
いつもなら「おかえり!お兄ちゃん!」と、結深が元気に出迎えてくれるはずだが、今日はそれが無い。
もしかしたらまだ帰っていないのかもしれないとも思ったが、玄関には結深の靴が置いてあるため、家に居ることは間違い無いだろう。
どういうことだろうと思いながらもリビングに入る。
「……あぁ、そういうことか」
そして、その理由がわかった。
何故出迎えが無かったのか。
それは、結深がリビングのソファで制服を脱ぎかけの状態で眠っているからだ。
俺は結深のところまで歩くと、なんとなく結深の顔を見てみた。
……相変わらず綺麗な顔をしている、小さな顔で全体的に整っている顔、唇には艶があって髪の毛もサラサラだ。
────というか。
「制服を脱ぎかけで寝てるから、上の下着と胸が少し見えてる」
それにしても……あくまでも妹なため、邪な感情は無くただ事実を言うが、結深は本当に胸が大きい。
そして他のスタイルも良いと来ている……本当に厄介な妹だ。
「……はぁ」
俺は仕方なくそのはだけている部分のボタンを閉めようと思った時、結深の背中に何かが挟まれていることに気が付いた。
もしかして、何かが置いてあることに気づかずそのまま寝たのか?そんな物にも気づかないなんて、結深にしては珍しく疲れてたんだろうか……でも、疲れてるなら尚更変なものを背中に挟んでいたら寝づらいよな。
そう思い至った俺は、ソファに合わせて腰を屈めて、結深に覆い被さるようにして結深の背中に手を回してその挟んであるものを取ろうとした────その時、とても至近距離から艶やかな声が聞こえてきた。
「ダ、ダメだよお兄ちゃんっ……!私たち兄妹なのに、こんなこと……!」
「え……!?」
その声はどこからしているのかと思えば、今俺の覆い被さっている結深から発されているものだと気が付いたため、俺は一度結深から離れ────ようとしたが、結深は俺の両肩を掴んで言った。
「ダメ、ダメだってば!お兄ちゃん、我慢して!」
「ダメって言うなら俺のことを離せ!」
俺の両肩を掴んでいた結深の手を俺から引き剥がすと、俺はとりあえず結深から少し距離を取った。
すると、結深は体を起こして言う。
「お兄ちゃんの方から私に迫ってくるっていうのと、兄妹だからダメ!みたいなことを一度は体験してみたいなって思ってしてみたけど、兄妹だからダメっていうのは、やっぱり私たちにはしっくり来ないね」
「しっくり来ないね、じゃない!まさか、ずっと起きてたのか!?」
「起きてたよ?もしかしたら服をはだけさせて寝てたらお兄ちゃんが私のことどうこうしてくれるかなって思って……でも、その甲斐はあったね!お兄ちゃんに迫られるっていうのはまた体験したいって思えたから!」
「じゃあ、もしかしてその背中に挟んであるやつも、俺が結深に覆い被さるようにするための仕込みか?」
俺がそう聞くと、結深はその挟んでいたものを取り出した。
「うん、クッションだけど背中の下から少ししか見えないようにしてたら何かわからないから、お兄ちゃんなら私の寝心地のためにそれを取ろうとしてくれるかなって思って」
「末恐ろしいな……その頭を使って、俺のことをどうにか本当の兄として見れないか?」
「見れない〜!お兄ちゃんの方こそ、私のこと女の子として見てよ」
そう言うと、結深は自分のはだけている胸元を強調してきた。
「早くボタンを閉じろ!」
「もう〜!わかったよ、じゃあ私もう作ってある料理取ってくるから、お兄ちゃんはリビングで待っててね!」
そう言うと、結深はキッチンの方へと向かった。
……この先どうなるのかと考えるだけで、本当に思いやられるな。
「お兄ちゃん、大好き、えっちしたい、結婚したい……さっきので一気にそれ来ちゃった……今日からは、今までよりもちょっと本気でお兄ちゃんにアタックしてみよっかな」
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