本編2 強豪校の寮ってどんなとこ? その2

「はーい!みなさーん!お話してるところすみませーん!これから、は・ん・わ・け・発表でーす!!」

 さっきの陽気な男。こちら側の人間だったのか。次々と所属を発表していく。皆緊張した顔持ちで聞いている。どうやら全て第10以降の所属だ。後方なのだろうか。


「えーと、そこのピンクの可愛い子ちゃんと金髪美人のねーちゃんは第18中隊ね」


「よかった。女騎士さんと一緒です。」

 聖女様が安堵した顔を見せる。女騎士の方も「よろしくね」と笑顔を見せてる。見てると姉妹のようだ。


「んで、その横に居る野郎はーっと…、は?」

 陽気な男が固まった。隣に居る人も覗き込んで固まっている。


「えーと・・・そこの野郎は第1連隊…です。」

 は?一瞬時が止まった。ナンダッテ?

 上層から笑い声が降ってきて我に返る。


「ギャハハハハハハ!!!!こいつ死んだわ!」

「よお!ルーキーお前の初任務は墓穴堀りだな!」

「ルーキーが何日生きれるか賭けしようぜ!」

「馬鹿。賭けになるかよ!」

「へーい!隣の彼女たち!今夜慰めてやれよ!今生の別れだからよぉ!!」


 言われたい放題だ。

 そんな中、上層から弓を携えた一人の女性が降ってくる。


「ちょっと待ってヴォイス。なんでルーキーが最前線の第1なのよ。」


(あの陽気な男、ヴォイスって言うのか。)


「そんなの俺っちだって聞きてーよ。でもミスじゃないみたいよー。」


「代表はこの剣士君を無駄死にさせる気なの!?」


「俺っちに聞かれても困るっちゃー。そんなに言うならヘッドシューターが面倒見てやればー。」


「はぁ!?私の所は中遠距離部隊よ!?この子どうみても近距離じゃない。隣の子達と一緒にやってきたみたいだから18中隊に組み替えてあげなさいよ!」


「いやだから、俺っちにそんな権限ないってばー。代表に直談判してこればー。どうなっても知らんけど。」

 代表の名を出した途端ヘッドシューターと呼ばれた女弓使いが大人しくなる。


「まー。あれだ。ヘッドシューターのとこでもさー、荷物運びとかあるでしょ?そういうので使ってやれば?俺っちもこの兄ちゃんあんまり嫌いじゃないしさー。」


 そう言われて女弓使いは『うーん・・・』と考えを逡巡させ、『よし!』と何かを決めたかと思うと、

「あんた、私のところに入れるようにしてあげるから感謝しなさい!もし集合場所で迷子になったら『ヘッドシューターのお姉さまのとこはどこですか?』って聞くのよ?いい?」

 と、自称お姉さまは言うだけ言って身軽に飛ぶように上層へ昇って行った。


 それにしても登場の時といい、去る時もすごい身体能力だ。まるでパルクールを見てるみたいだ。

 容姿も釣り目にボブカット、残念な二つの天保山にツンデレとはモリモリだな。まあ弓引くのにチョモランマは邪魔になるもんな、うん。

 あとさっきから死角で足蹴るのやめてください聖女様。

 そんなにふくれてばっかりだと可愛らしいお饅頭になっちゃいますよ。


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