本編2 強豪校の寮ってどんなとこ? その1

 転移が完了したのか意識が覚醒してくる。目を開けると縦穴の大空間。

 自然窟を利用して居住化したような場所の最下層に立っていた。

 周りを見ると次々と人が転移してきていた。

(あの闘技場に居た人数よりも多い…他の場所でも同じようなことが行われているのか。)




 きょろきょろ見渡していると見知った顔があった。向こうも気づいたようで駆け寄ってくる。

「やあ!剣士君。先ほどぶりだね。こっちだったのか。」


「女騎士さんもこちらだったんですね。ということは転移者ですか?」


「あー・・・実は違うんだ。私はあの重戦士の仲間でね。彼が転移者だった。」

 とても寂しそうな顔をする女騎士。僕と聖女様のようにこれまで色々な事があったのだろう。


「そうですか・・・残念な事でした。でもそれならどうしてこちらに?」


 すると彼女はハンカチを取り出し広げて見せた。

「彼の骨だ。これだけしか残らなかった。立派な男だったよ・・・彼を故郷に返してやりたい。」

 良い人だな。話や仕草からも誠実さが感じられる。


 ふと不意に服の裾を引っ張られる。

「あ、あの…こちらの方は?」


「あー…と。あのカエルの戦いで一緒に協力して倒したんだ。」


「そ、そうだったんですか。は、はじめまして騎士さん。すみません気絶して何もできなくて…」


「いやいや、あなたのおかげで勝ったようなものですよ、可愛らしい聖女さん。」

 女騎士が聖女様に向かってはにかむ。


 金髪ロングに整った顔立ちの美人さん、なのになんだこのイケメンオーラは!!

 聖女様も眼が潤んでるし、宝〇が始まりそうな雰囲気だ。

 なにこれ?百合タワーが建っちゃうの?


「ゴホンっ!えーと・・・これからよろしく!女騎士さん。」

 握手を求めると気さくに応じてくれた。


「おっと!こちらこそよろしく。スマートボーイ君。」

 しかも、ウインク付きで!何この人。めちゃくちゃ可愛い。天然ジゴロなんだろうな。

 あと、『むー』と頬を膨らまし、ふくれっ面しながら足蹴ってくるのやめてもらえませんかね?聖女様。あなたもさっきデレてましたよね?


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