【創作落語】全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ

あそうぎ零(阿僧祇 零)

全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ

 昔アメリカに、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れがあったそうですな。

バッファロー1「おい、そんなに押すなよ」

バッファロー2「俺も、後ろから押されてんだよ」

バッファロー3「俺なんざ、頭が血だらけだぜ。俺は、石頭じゃねぇんだがな」

バ1「あれ? 俺たちが、あらゆる物をぶっ壊しながら突き進んでるのは、いってぇ何のためだっけ?」

バ2「そんなことも知らず走っているとは、オメエ、相変わらずの慌て者だな」

バ1「そう言うオメエは、知ってるのか?」

バ2「いや、知らねぇ」

バ3「二人とも、なに寝ぼけたこと言ってやがるんだ? 俺らが突き進んでるのは、進路にある物を全部ぶっ壊すためじゃねぇか」

バ1「違ぇねぇ。だが、何のためにぶっ壊すんだ?」

バ3「俺らが、突き進むために決まってらぁな」

バ2「違ぇねぇ。おや? 俺らより前を行く奴らがいるじゃねぇか」

バ1「あんな奴らに後れを取ったとなると、おかしらにこっぴどく叱られるぞ」

バ3「あいつらに追いつこうぜ」

バ2「おう! 死に物狂いで走れ」

バ1「奴らの最後尾に追いついた!」

バ2「しかし前の奴ら、後ろ脚を巻き上げたり、糞したりして、俺らが追い抜くのを妨害しやがる」

バ3「あ! 糞が目に入った。俺は抜けるぜ。あばよ」

バ1「おい、待て!」

バ2「行っちまいやがった。あいつ、お頭にひどい目に遭わされるぞ。軽く済んでも、しっぽ詰めだな。下手すると、根元からガブリだ」

バ1「馬鹿な野郎だぜ」

バ2「だいぶ疲れてきたが、走り続けるしかねぇな」

バ1「あれ? この場所、前も通ったんじゃねぇか? あそこに見える、お座りしたピューマみてぇな形の岩、前にもあったぞ」

バ2「そんな岩、どこにでもあるさ」

 バッファーローたちは、堂々巡りの挙句、チョコレートになってしまいました。これこそ、バッファロー頭数激減の顛末でございます。

 今生息しておりますのは、糞が目に入って脱落したバッファローの子孫だとのことでございます。

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