第3章〜逆転世界の電波少女〜④
「そ、それは、もしかして、オレと関係あることか……?」
すると、
「あれ、どうしてわかったの?」
その返答に、悪い予感が的中してしまったことを内心で嘆いていると、彼女は、苦笑いしながら、続けて自身のみた夢について語り始めた。
「何日か前のことなんだけど……朝、いつもみたいに
自分ではおかしなことを言っていると認識しているのか、幼なじみであり、
スマホの画面越しに語る健気なその姿を目にすると、彼女を困惑させてしまったという自責の念にかられ、心が痛む。
「ゴメン……
ただ、不意に漏れた、そのつぶやきに、彼女は、さっきよりも驚いたようすで、目を丸くしたあと、はにかみながら返事を返してきた。
「そんな……
いや、自分の方こそ、
「わたしがみた夢のことで、勝手にモヤモヤしたり、イライラしていただけだから、それを誰かにぶつけるなんてしたくなかったんだよね……でも、その気持ちは、やっぱり消化しきれなくて……男の子にこんな話しをしちゃうと、絶対に嫌われると思ってたのに……」
「いや、嫌うなんて、そんなことは……」
彼女が夢と思い込んでいる出来事は、オレ自身の行動に原因があることは明白なので、後ろめたさを感じながら、そう答えると、
「100点……100点満点の答え……」
「えっ、なに?」
意味がわからず、そうたずね返すと、彼女はつぶやくように答えを返す。
「『オレが、不安にさせてしまったせいだ……』って言うのは、100点満点の答えだっていうこと……」
(いや、なぜ、それが100点の回答なんだ? どういうことだ……?)
ふたたび、彼女の言葉の真意がわからず、その意味を考えあぐねていると、
「わたしの勝手な思い込みなのに……
最後は、早口になりながらも、自身の想いをコチラにぶつけてくる
そんな彼女の言葉は、オレ自身を全面的に信頼し、オレの存在を肯定してくれていることがうかがえ、オレの自尊心を満たすのに十分すぎるほどの効果をもたらす。
ただーーーーーー。
オレが彼女に掛けた言葉、そして、その言葉を生むきっかけになったのは、すべて、自分の軽薄で愚かな行為だったことを意識すると、
オレにとっての『ルートA』、銀河連邦政府の管理番号No.141421356のセカイの
ただ、それは、オレが、自分自身の都合が良いように、いくつものセカイを股にかけて、何度もやり直しを経験したうえで成り立っている関係に過ぎないとも言える(すでに、自分の目で確認したように、彼女は、オレと交際していないどころか、
このセカイ(=『ルートA』)のオレと
本来ならやり直しの効かない人生において、こんな
しかし、そんなオレの後悔をよそに、一途な彼女は、こんな提案をしてきた。
「あ〜、こうして通話してたら、やっぱり、
自室の壁掛け時計を確認すると、時計の針は九時前を指していたが――――――。
オレと会えないことで不安を感じてしまっているという
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