第3章〜逆転世界の電波少女〜③
「『ラディカル』のメンバーは、トリップの能力を持っている
このブルームの認識が正しいのであれば、あの日のキルシュブリーテのように、『ラディカル』のヤツらが、オレの周りの人間に接触を図ってくる可能性は高いと思う。
そうしたこともあって、一度、その身を危険にさらしてしまった
自分のそばに居ることで、これ以上、
そうすると、必然的にオレの活動の場は、自宅でも
ブルームやゲルブの話しを聞き、キルシュブリーテと遭遇して、身近な人間の危機に直面して以降、いくつもの
それぞれの
そのすべての人たちが、自分たちの人生を肯定し、幸福な生活をしているとは言い切れないかも知れないが……。
それでも、数え切れないほど多くの人たちの想いを考慮することなく、他人が勝手に、
(シュヴァルツとかいうリーダーや、『ラディカル』のメンバーは、いったい、なんの権利があって、セカイ統合なんて無茶な計画を立てるんだ……)
彼らに対して、憤りに近い感情を覚えながら、オレは、『ルートA』と名前を付けておいた
中学生以降は、イベント好きの陽キャラな性格が全面に出てきた
この日も、彼女が学校に登校していなかったことを確認したオレは、スマホのメッセージアプリを起動し、
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お疲れさま
今日の活動は、どんな感じ?
時間があったら、
返信してくれる嬉しい
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送信ボタンをタップすると、すぐにメッセージに既読がつき、続いて彼女からの返信が届いた。
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レコーディングが終わって
いま、帰ってきた!
ねぇ、ちょっと話せない?
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♪ トゥルトゥ・トゥルトゥ・トゥルトゥ・トゥルルン
と、聞き慣れた着信音が鳴った。
1コールで応答ボタンをタップすると、ディスプレイに小学生の頃から見慣れた近所に住む幼なじみがあらわれ、着信音以上に聞き慣れたその声がスピーカーを通じて聞こえてきた。
「ちょいと、お兄さん! 彼女の帰り際を狙って、メッセージを送って来るなんて、どんだけわたしのこと好きなん?」
その弾んだトーンの声に心がなごみ、朗らかな彼女の表情を目にすると、こちらの声も穏やかなものになる。
「今日は学校で会えなかったから、どうしてるのかと思ってさ……」
そう返答すると、少し驚いた表情の彼女は、
「そうなんだ! 実は……わたしも、帰ってきたら
と言ったあと、はにかむように微笑んでクスクスと笑う。
その笑顔に、ドキリと鼓動が早くなるのを感じ、同時に、チクリと胸が痛むのを感じた。
オレは、数日前、屈託なく笑う彼女の表情を曇らせてしまったのだ
その事実から目を逸らすように、オレは、話題を変える。
「そうか……それなら良かった……ところで、最近、周りで変わったことはなかったか? 普段とは違った言動をする人が居るとか……」
慎重に行動をしようと考えながら、とっさのことで、前日の
「そうだなぁ……変わったことと言えば、最近、見たおかしな夢のことかな?」
と、またも、オレの心臓に刺さる言葉を返してきた。
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