第2章〜Everything Everyone All At Once〜⑥
あまりに唐突に、核心に迫る質問が投げかけられたため、声が震えるのを抑えることができない。
「ふ、ふ、普段のオレって、どういう意味ですか……?」
自分の動揺が、相手に伝わっていることは間違いないが、色々な
上ずった声で問い返すオレのようすが
「な、なにが
うろたえながら、言葉を返すと、親友は、「いや、ゴメンゴメン……」と苦笑しながら謝ったあと、
「でも、
と、
「あら、
そのようすは、オレの知っている人間では無いように感じられる。
いつから、
ふたりは、今朝からのおかしな現象やオレのことについて、どこまで知ってるんだ?
そもそも、ブルームとか、ゲルブとか、変な名前で呼び合って、いったい、ナニを言ってるんだ?
そんな疑問が次々に湧き上がって来るのが、室内のふたりにも伝わったのか、
「ブルーム、時間もあまりないし、彼の疑問に答えて、本題に入ろう」
親友の姿をしている男子生徒が、そう提案すると、「そうね……」と、軽くうなずいた
「さて、どこから話したモノかしら……?
いや……いきなり、聞きたいことと言われても……そもそも、自分の周りで、いったいナニが起こっているのかすら理解できていないのだが――――――。
「聞きたいことは色々とあるが……ナニからたずねたら良いのかが、わからん……今朝から起きている謎の現象は、いったい何なんだ? だいたい、アンタらは何者なんだ? そして、オレの身に起こったことについて、アンタらは、どこまで知っているんだ?」
自分の中で、次々にわいてくる疑問をぶつけるように、オレが、一気にまくし立てると、ブルームとゲルブと呼び合っているふたりは、互いに顔を見合わせた。
そして、ブルームと呼ばれた女子生徒が、ふたたび口を開く。
「今日、世界中を騒がせているこの混乱を私たちは、『統合補完計画』と呼んでいるわ。もっとも、私たちは、その計画を阻止するために動いているんだけど……」
「オレのふたつ目の質問の答えが、アンタらの目的ってわけか?」
「えぇ、理解が早くて助かるわ、
「いや、全然、理解できていないんだが……最初の質問に戻って悪いが、そもそも、『統合補完計画』ってなんなんだ?」
自分自身だけでなく、世界中に影響を与えているであろう謎の現象について、再度、問いただすと、ブルームは、ふぅ〜と、ため息をひとつつき、一瞬の間を置いたあと、ゆっくりと説明を始めた。
「もう、気づいていると思うけど、いま現在、
「それは、オレが、
「そうよ……さすがに、自分の行動がもたらした影響については、責任を感じているみたいね」
その一言は、オレが今朝から、うっすらと感じていた罪悪感を刺激するのに十分な内容だった。
「それは、つまり……オレが別々のセカイで親しくしていた
確認するようにたずねると、これまで質問に答えていたブルームだけでなく、親友と同じ姿をしているゲルブと呼ばれていた生徒も、同時に首をタテに振った。
なかば、予想していたことではあったが、結果的に、その内容を確認することになったため、自分の軽率さと不誠実さを突きつけられたような気持ちになる。
腰掛けていたパイプ椅子の背もたれに背中を預け、部室の天井を見つめると、思わず、声が漏れてしまった。
「マジかぁ……」
そして、オレは自分の中で理解が深まりつつある、この現象について、あらためて詳細を理解するため、ふたりにたずねる。
「詳しいことはわからないが……海外で株価が不自然な値上がりと値下がりを繰り返したり、国の代表者を名乗る人間が大勢でてきたり、スポーツの勝敗結果の記録に矛盾が生じていたりするのも、セカイがひとつになってしまったからなんだな?」
オレが、そう質問すると、ブルームとゲルブは、またも同時に大きくうなずくのだった。
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