第2章〜Everything Everyone All At Once〜⑤
その日の授業は、各クラスの時間割に被りが出たり、一部の教科担当の教諭が出勤してきていないなど若干の問題があったものの、学年末テストに向け、ほとんどの教科が必要な単元を終了していることもあって、内容に支障をきたしそうな授業は自習という形を取って校内全体で乗り切るという方針のおかげで、あいらんど高校は、大きな混乱が起きることもなく放課後を迎えることができた。
オレの周辺でも、今朝からバチバチと反目し合っている
それでも、
(ヒソヒソ)「
(ヒソヒソ)「いや、オレは一年の女子も含めて三股だって聞いたぞ」
(ヒソヒソ)「今年の生徒会は、どうなってんの?」
(ヒソヒソ)「こんな時こそ、あいらんど高校の文◯砲の出番だろう?」
(ヒソヒソ)「その役目をする新聞・放送部が、当事者じゃない」
(ヒソヒソ)「マスゴミの腐敗ぶり許しまじ!」
と言ったような声が、教室の隅や廊下など、あちこちから漏れ聞こえてきた。
そして、女子からは
もっとも。オレ自身の行動に責任がある可能性が高いことから、自分のことをウワサされるのは仕方のないことだが、その内容が幼なじみにして校内の中心人物である彼女や、新しい生徒会長にしてクラス委員のパートナーに及んでいるのを耳にするのは、心が痛い。
そんなことを考えながら、なんとか授業をやり過ごし、待ちわびた放課後の時間を迎えたオレは、
「今朝おこったことをなるべくわかりやすく説明するようにするから……」
と、LANEのメッセージを送ってから、
文化系クラブの部室が並ぶ3号館の校舎に移動し、部室のドアをノックすると、
「どうぞ」
と、室内から
先月まで、ウチのクラブの
「失礼します」
と、声をかけてから入室すると、先代の代表者は、クスクスと笑いながら返答した。
「あら、もう
「いや、卒業間際の部長に、わざわざ、時間を取ってもらって申し訳ない、と思うので……」
オレが、そんな風に答えると、
「そう……でも、それくらい、他の女の子たちにも気をつかうことが出来ていれば、今日みたいなことにはならなかったんじゃない?」
「いや……あ〜、そうですね……」
ハハハと苦笑しながら、そう答えつつ、この先輩は、どこまで自分や
新聞部と放送部を統合し、新たに設立したクラブの代表者を二年間も務めていただけあって、
それは、各クラブの人事編成から、校内男女の交際事情や教職員の異動情報に至るまで、あらゆる方面に対応している。
ただ、それでも、
他人に話したところで、頭がおかしくなったとしか思われないであろう荒唐無稽な自分の能力について、どこまで……あるいは、どのように話したものか……と、考えながら部室を見渡していると、見慣れたポスターが目に入った。
それは、自分たちの住む美しい
ただ、それは、日頃の部室で見慣れた
なにより、ポスターの右側の部分が、外国の片田舎の風景と巨大企業の創業者がスピーチで引用して有名になった
”Stay Hungry. Stay Foolish.”
の印象的な文言ではなく、
”We can’t put it together. It is together.”
という文言と、青い
(この
そんなことが、ふと頭をよぎる。
すると、オレの視線に気づいたのか、
「
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