第2章〜Everything Everyone All At Once〜④
「セカイ中が朝から大混乱だけど、
今朝のニュースで報道されていた内容だけでなく、大小の差はあるものの、オレたち以外でも、それぞれの置かれた立場や人間関係に認識の差があるようで、通学路を歩く生徒の顔色は、一様に困惑したものが浮かんでいた。
それでも、律儀に登校したり、勤め先に出勤する人間が多いのは、日本人の生真面目さをあらわしていると言えるのだろうか?
そんな中でも、親友の
そんな親友に対して、ある意味で尊敬の念を抱きながら、返答する。
「オレたちだけじゃなく、みんな、どこかオロオロしているようすなのに、
「ボクの知る限りじゃ、
「
ニコニコと笑いながら答える神経の図太さに感心しつつ、返事を返すと、親友は冷笑的な笑みを浮かべながら、
「政治の安定ねぇ……それは、政権基盤がしっかりしているからって言うより、どこの
などと、どの立場から語ってるんだ……と、ツッコミを入れたくなるような高校生離れした返答をよこす。
なにかにつけて、醒めた意見を語ることの多い
そんな、泰然自若とした雰囲気で笑顔を崩さない友人を少し羨ましく思いつつ、校門の前まで来ると、自宅から一緒に登校してきた幼なじみやクラス委員と親しい生徒が校舎の近くで待っているのがわかった。
「良かった! やっと、
嬉しそうな表情で、幼なじみの女子生徒に駆け寄ってきたのは、一年生の
中学校の卒業と同時に、オレたちの住む人工島に引っ越してきた関係で、高校からは新しく人間関係をこうちくしなくてはならなかったらしいが、以前からファンだったという
一方、一年の宮尾と同じくらいの背丈で、メガネを掛けた女子生徒が、安堵するような表情で、静かにクラス委員のもとに歩み寄ってきた。
「マーちゃん、いつもより遅かったから心配したよ……」
文芸部の部員にして、オレたちのクラスの図書委員を務める典型的な文学少女といった雰囲気を持つ同級生だ。
それぞれ、校内で親しくしている生徒から声をかけられたためか、
今朝から起きている奇妙な現象に、どれだけ自分が関わっているのかはわからないのだが――――――。
「セカイ中で、おかしなことが起こっていても、とりあえず、仲の良い生徒と会えると安心するよね」
「そうですね……」
と、静かにうなずく。
たしかに、オレ自身も
もちろん、それは、普段から……いや、今日はいつも以上に冷静な言動が目立つ親友の平静さに要因があるのかも知れないが……。
そんなことを考えていると、その親友は、
「みんな落ち着きを取り戻したみたいだし、これなら、なんとか放課後まで落ち着いて過ごせそうだね」
と、つぶやくように言ったあと、オレに対して、こんな提案をしてきた。
「ねぇ、
三学期になって、部活を引退しているとは言え、先代の部長の提案は絶対に受けるべきだろう。
卒業間近の先輩に、部室までご足労いただくことを申し訳なく思いつつも、オレは頼りになる先代部長に感謝しながら、放課後を待つことにした。
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