第14話 繋がる心、広がる輪
春の暖かな日差しが店内を優しく照らす中、時ちゃんは何気ない日常に小さな変化を感じ始めていた。この日、「時ちゃんの、めざし道!」に、初めての外国人観光客が訪れた。ミッシェルのSNS投稿がきっかけで、遠く海外からもこの小さな店の噂が広がっていたのだ。
観光客は、自分たちがここを訪れることができた喜びを、簡単な日本語と身振り手振りで表現した。時ちゃんは、彼らの明るいエネルギーに心を動かされ、特別なめざし定食を心を込めて作り上げた。
その頃、店の常連客たちも一役買うことに。彼らは時ちゃんと外国人観光客の間で自然と通訳役を務め、互いの文化や食についての会話が弾んだ。この日、店内は言葉の壁を越えた笑顔と温かな交流で満ち溢れていた。
食事が終わる頃、観光客の一人が時ちゃんに感謝の意を伝え、「世界中どこにいても、ここでの経験とこの味を忘れない」と言った。時ちゃんは、その言葉が何よりの報酬であることを感じ、彼らに向けて最高の笑顔を見せた。
日が暮れて観光客たちが店を後にした後、時ちゃんは常連客たちと共にその日の出来事を振り返った。彼らは、「時ちゃんの、めざし道!」が単なる食堂ではなく、異文化を繋ぐ場所になっていることに改めて気づかされた。
この出来事から数週間後、店には世界各地からの手紙が届き始めた。それは、店を訪れた観光客たちからのもので、彼らが自国に帰ってからも、時ちゃんの店での体験を大切な人と分かち合い、再訪を夢見ていることが綴られていた。
時ちゃんは、これらの手紙を大切に保管し、店の一角に展示することにした。それは、遠く離れた場所にいる人々とも心が繋がっている証しであり、小さな店が世界へと広がる輪の一部であることを象徴していた。
「時ちゃんの、めざし道!」は、時ちゃんの想いと料理が生み出す小さな奇跡で、日々新しい物語を紡ぎ続けていた。そして時ちゃんは知ることになる、彼女の料理が人々の心をどれほど豊かにするかを。
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